認知症に備える「認知症保険」は必要か? 保障内容と傾向を解説
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月28日 9時30分
![認知症に備える「認知症保険」は必要か? 保障内容と傾向を解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_63809_0-small.jpg)
高齢者の増加とともに、認知症の人も増えています。高齢者の運転ミスによる自動車事故が世間の注目を浴びるなど、認知症に対する関心も高まっています。それを受けてか、認知症になった場合に備える保険商品が登場するようになりました。生命保険各社が、新たに認知症保険を発売し、その種類も増えてきています。
増える認知症の高齢者
ある調査によると認知症の患者数は、認知症となる割合に変化がない場合で、2025年には675万人ですが、2040年に802万人、2060年には850万人になると予想されています。
糖尿病の増加などにより認知症患者が増える場合には、2040年に800~950万人、2060年には850~1150万人にもなると推計されています(九州大学大学院 二宮利治氏らの研究「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」による)。
およそ10人に1人が認知症となる計算で、国や自治体の認知症対策が急がれますが、自分自身でどのように備えるかも考えておきたいものです。
65歳以上は社会保障制度の介護保険の対象です。介護が必要になったら、1~3割の自己負担で、介護状態に応じて一定の範囲内で介護保険サービスが利用できます。身体の衰えだけでなく、認知症も介護が必要とみなされますので、介護保険サービスの対象です。
ただ、身体の状況と異なり、認知症には状態に波があり、「要介護」のランクが軽めに認定され、介護保険サービスの利用枠が小さくなる場合があります。その割に、家族の負担は小さくありません。身体が衰えていないだけに行動の制約がないので、家族が目を離せなくなります。
デイサービス(高齢者が施設で日中過ごす日帰りの介護サービス)を利用しようにも、介護保険の利用枠を超えてしまうと、全額が自己負担となり、金銭的な負担が重くなります。介護の中でも認知症は、家族の手間と経済的な負担が大きいと言えるでしょう。
「認知症保険」の傾向
そこで、認知症になった場合の費用の負担に備えるために、認知症保険が登場しました。認知症保険の誕生は2016年で、その後は徐々に販売する保険会社が増えています。
保険商品のタイプとしては、保険会社が販売する介護保険に特約として付加されるものと、単独の保険商品のものがあります。中には、骨折の治療費のための保険をメインの契約とし、認知症の保険を特約としている保険商品もあります。いずれも、保険料支払いと保障が一生続く終身保険となっています。
保険金(給付金)が支払われるのは、「医師に認知症と診断された場合」となっている保険が多いのですが、「医師に認知症と診断され、その状態が180日継続した場合」「医師に認知症と診断され、公的介護保険の要介護と認定された場合」などとしている商品もあります。
認知症の手前の「軽度認知障害」と診断された時点で、給付金が一部出る商品もあります。保障内容は、支払い条件に該当した場合に、一時金で100~300万円が出るというものがほとんどです。中には年金形式で毎年少しずつ出るものもあります。
いずれにしろ、認知症となったら一定のお金が支払われるというだけで、事故にあった際や事故を起こした際の保障は付きません。認知症に備えた保険ですが、認知症にかかわる特別なリスクに備えているわけではありません。
「認知症保険」は必要か?
社会保障である介護保険とは別に、保険会社でも「介護保険」を発売しています。一定の介護状態になった場合に保険金が出る保険です。介護のための費用をまかなうのに利用されています。こちらも、「要介護2」などと認定された場合に、一時金または年金が出るようになっています。
認知症と診断される状態であれば、「要介護」のランクでもある程度の段階に認定されるでしょうから、保険会社の「介護保険」からも保険金が出ると考えられます。
「介護保険」の場合は、認知症以外でも対象になっていますから、こちらの方が対象は広くなっています。ちょうど、医療保険が全ての病気を対象にしているのに対して、がん保険はがんだけを対象とし、保障が充実しているのと同じような関係です。
介護費用の準備ができていないのであれば、「介護保険」への加入を検討すべきでしょう。ある程度の準備はできているものの、特に認知症が心配だというのであれば、認知症保険に加入するとよいでしょう。いずれにしても、十分な貯蓄があるのでしたら、特に保険で備える必要はないのではないでしょうか。
執筆者:村井英一
国際公認投資アナリスト
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