厚生年金保険の加入期間が40年に満たない…。そんな時に知っておきたい「経過的加算額」とは
ファイナンシャルフィールド / 2019年12月1日 10時15分
会社員として働いている方は、厚生年金に加入していることでしょう。厚生年金は年金の基礎となる国民年金に上乗せして支給される年金であり、老後の生活を支えるためには大切な資金です。そして知っておくべきことは、公的年金のベースである基礎年金(国民年金)の加入期間が40年ある場合と、そうでない場合とでは、受給額が違ってくるということです。 年金の加入期間が40年ある場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか? あわせて経過的加算額という制度について、また将来どのようなお金が給付されるのかも知っておきましょう。
国民年金および厚生年金保険は40年を目指す
22歳で大学を卒業してから60歳まで厚生年金に加入した場合、加入期間は38年です。しかし満額受給するためには、40年(480ヶ月)の加入期間が必要になっています。
ここで問題になってくるのが、国民年金の加入年齢は59歳11ヶ月までという年金のルールです。もし満額受給を目指すなら、60歳以降に任意で国民年金に加入するが必要となります。
国民年金の加入期間は最高で40年なのですが、厚生年金には別のルールがあり、40年以上加入できます。
いずれにしても年金加入期間が40年未満であれば、まずは40年を目指すことです。60歳以降も厚生年金に加入することで、受給額を増やすことができます。家計の状態を見ながら将来、支給される年金を上積みしていきましょう。
経過的加算額とは?
ここでぜひ、知っておいてほしいのが、経過的加算額のことです。何やら難しい呼び名で混乱してしまいそうですが、簡単に言うと、65歳から支給される老齢厚生年金に加算されるお金のことです。
そもそも65歳より前に支給されていた厚生年金の報酬比例部分は、65歳になると老齢厚生年金の支給に変わります。このとき、何か特別なものに変わった印象を持つ人もいるのですが、単純に名称が変わっただけです。
その理由は、65歳より前に支給されていた報酬比例部分と、65歳から支給される老齢厚生年金は、計算式が同じだからです。したがって、60歳以後に厚生年金の加入期間がなければ、支給される金額は同額となる仕組みなのです。
65歳になると定額部分にかわって老齢基礎年金が支給されますが、定額部分と老齢基礎年金では計算式が違っていますので、差額が生じます。このとき、差額部分をそのままにしておくと年金額が減ってしまいます。支給額が減るのは困りますよね…。
そのような「困った」を解消するために、65歳以後の年金額が減らないよう、差額分を「経過的加算額」として老齢厚生年金に加算しています。
経過的加算額の計算式は次の通りになります。
(1)厚生年金の定額単価(1625円) × 全厚生年金加入月数(限度 480ヶ月)
(2)老齢基礎年金満額(78万100円) × 20歳~60歳厚生年金加入月数/480
経過的加算 =(1)-(2)
年金はいつからもらえる?
公的年金は、年齢によって支給される年齢が違っています。
自分はいつから、どのようなものが支給されるのかを確認しておくことが大切です。
年金を確認するために最も便利なのが「ねんきん定期便」です。ねんきん定期便は毎年郵送されてくるのですが、その他に節目の年にも送られてきます(節目の年は特に重要)。自分の年金加入歴を確認し、不備がないかをチェックしましょう。
「もう少し増やしたい」と思うなら、60歳以降も厚生年金に加入できるよう働き続ける、個人年金保険やiDeCo等で運用することも考える必要があります。
よりお得になる方法を探すのは大切ですが、無理をしては元も子もありません。まずは今の状況を客観的に見つめ直し、将来どれくらいの年金が受け取れるのか、どのように準備すると安心かを考えていきましょう。
執筆者:飯田道子
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
出典
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
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