所得が低い未婚者が対象。国民年金保険料全額免除になるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2019年12月4日 10時15分
![所得が低い未婚者が対象。国民年金保険料全額免除になるって本当?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_64196_0-small.jpg)
将来の収入の柱は公的年金ということはわかっていても、支払いができない状況の方もいるかと思います。そんなときは放置せず、手続きをすることにより受給への道が築けます。まずは、調べてみてください。
未婚のひとり親支援の強化を検討
厚生労働省は2019年10月30日の社会保障審議会年金部会で、所得が低い未婚のひとり親らについて、国民年金保険料の支払いを免除する案を示しました。現在、国民年金の保険料は月1万6410円ですが、低所得者にとっては毎月の支出は厳しいものとなっています。
離婚したり、配偶者と死別したりした女性は、年収125万円以下であれば申請すると保険料が全額免除されます。しかし、最近の傾向として、そもそも結婚せずに親となる人も増え、経済的に困窮するひとり親も多いとか。男女問わず、免除対象に加える方針となりました。
さらに、離婚や配偶者と死別した低所得者の男性についても、免除をすることを視野に入れているようです。また、未婚のひとり親への支援策として、税制優遇処置も検討しているとのことです。
年金の免除とは?
国民にとって、年金の支払いは義務ですが、事情があり働くことができなかったり、低所得者だったりする場合は、年金の支払いを緩和するシステムがあります。未納のままにせず手続きをして承認されると、年金の受給資格に反映されます。
ただし、将来の年金を計算する場合には一定のカットがあり、納付猶予期間に関しては年金には反映されません。
<保険料の免除>
本人・世帯主・配偶者の所得が一定額以下の場合や失業した時。免除される割合は4種類あります(全額・4分の3・半額・4分の1)。
<保険料納付猶予制度>
20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の所得が一定額以下の時(平成28年6月までは30歳未満でしたが、平成28年7月以降は50歳となりました)。
申請のメリット
これらの申請は手続きを自ら行わないと「免除」「納付猶予」とはなりません。必ず手続きを行ってください。
保険料を「免除」された期間は、老齢年金を受け取る際に税金部分の2分の1を受け取ることができます。ただし、手続きをしないと「未納」という扱いになり、受け取れません。「ねんきん定期便」やお知らせのハガキ等で確認してください。
万が一、「免除」「納付猶予」期間に、けがや病気で障害や死亡等の不慮の事態が発生した場合には、「遺族基礎年金」と「障害基礎年金」を受け取ることができます。「納付猶予」期間については、将来の年金額に反映はされませんが、受給資格に反映されます。なお、年金の受給資格は10年(120ヶ月)です。
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任意加入制度を利用して満額受給を目指そう
筆者への個別相談でよく「若気の至りで年金を支払っていなかったのが悔しくて」というお話を聞くことがあります。残念ながら年金は、過去にさかのぼって支払いができるのは2年間のみ。
しかし、「免除」や「納付猶予」の手続きをして承認されれば、将来余裕がでた際に追納できます(過去10年以内分・経過期間の加算額あり)。支払いをした時には、社会保険料控除により所得税・住民税が軽減されます。何より、老齢基礎年金の支給額を増やすことができます。
また、60歳時点で満額支給の480ヶ月に満たない方は「任意加入制度」というシステムを利用したらいかがでしょうか? この「任意加入制度」も本人の手続きが必要です。
<加入条件>
(1)日本国内に住所を有する60歳~65歳未満の方
(2)老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
(3)年金保険料が480ヶ月に満たない方
(4)厚生年金に加入していない方
上記4つの条件全部がそろう方と、下記の方。
・年金の受給資格を満たしていない65歳以上70歳未満の方
・外国に居住される日本人、20歳から65歳未満の方
もし、皆さんの親御さんやお知り合いで満額受給できない方がいらしたら、この制度を教えてあげてください。現在はしっかり働いている方でも「学生時代払わなかった」という方も多いものです。この制度が将来も継続されることを祈りつつ、満額受給を目指しましょう。
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
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