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2020年度から施行される税制改正。所得金額調整控除について予習しておこう(1)

ファイナンシャルフィールド / 2019年12月11日 10時0分

2020年度から施行される税制改正。所得金額調整控除について予習しておこう(1)

2020年度から施行される税制改正に、所得金額調整控除というものができるのをご存じですか?    これは2020年度から新規に創設される控除で、ある一定の条件を満たした場合、給与所得から一定額が控除され、対象の人は減税となるというもの。今年の年末調整や確定申告には関係ありませんが、来年度はこの制度が適用されることになります。少し気が早いかもしれませんが、早速この制度の概要を解説してみたいと思います。  

所得金額調整控除が創設された理由は…

2020年より、収入などの要件にかかわらず一律に適用される「基礎控除」が改正され、現行の38万円から一律10万円引き上げとなります。しかし高所得者は段階的に引き下げられ、所得が2500万円を超えると基礎控除がなくなってしまいます。
 
さらに基礎控除に加え、給与所得控除も変わります。
 
今回の改正では控除額が一律で10万円引き下げられるほか、給与所得控除はこれまで1000万円超の場合、控除額220万円が上限とされていましたが、2020年からは850万円超・上限195万円となります。このように控除額が引き下げられた高所得者の負担増を緩和するため、「所得金額調整控除」が設けられたのです。
 

所得金額調整控除には2種類ある

この制度には、給与所得だけの人に適用されるものと、給与所得と公的年金所得の両方がある人に適用されるものの2種類があります。
 

給与所得だけの人に適用される所得金額調整控除――適用要件

給与所得だけの人に適用される所得金額調整控除の適用要件は次の通りです。
 
1.その年の給与収入が850万円超の居住者であること
かつ、
2.次のいずれかに該当すること
(1)23歳未満の扶養親族を有すること
(2)本人が特別障害者であること
(3)特別障害者(※1)である同一生計配偶者または扶養親族を有すること

 
この制度は、特別障害者への税制優遇だけではなく、子育てを支援する目的等から23歳未満の扶養親族がいれば所得金額調整控除を受けることができます。
 
これまで「控除対象扶養親族」というと16歳以上の親族でしたが、新たに創設される所得金額調整控除においては0歳から22歳までの23歳未満の扶養親族であればその対象となります。
 

給与所得だけの人に適用される所得金額調整控除――控除される金額

給与所得だけの場合は、給与収入から850万円を控除した金額の10%が控除されます。具体的な控除額を試算して見ていきましょう。
 
<給与収入1200万円の場合の給与所得金額/所得金額調整控除が適用された場合>
2020年より、850万円超の給与収入がある場合、2020年度以降の給与所得控除は195万円(上限)となりますので、給与収入からまず195万円が控除されます。そして所得金額調整控除は上限1000万円から850万円を控除した額の10%です。以下を計算してみましょう。
 
1200万円-195万円-(1000万円-850万円)×10%=990万円
 
<給与収入1200万円の給与所得金額/所得金額調整控除が適用されない場合>
適用要件に該当せず、所得金額調整控除が受けられない場合は1200万円-195万円=1005万円です。
 
所得金額調整控除による給与所得金額差は、1005万円-990万円=15万円となりますので、所得金額調整控除によって、最大15万円所得金額が減ることになり、そのぶん減税になるということです。

給与所得だけの人に適用される所得金額調整控除――メリット

上述の通り、所得金額調整控除の対象者となれば減税メリットがあります。
(1)給与収入が1000万円超の場合、給与所得金額が最大15万円減る
(2)給与収入が850万円超から1000万円以下の場合、「(実際の給与収入-850万円)×10%」減る

 

給与収入だけの人に適用される所得金額調整控除は年末調整においても適用される 

給与収入だけの人に適用される所得金額調整控除は、年末調整でも適用されます。国税庁ホームページには、年末調整用の申告書のサンプルが掲載されています。
 
確定版はこれから公開されますので、詳細は申告書PDFをダウンロードし、確認してみてください。年末調整で申告し忘れた場合は、確定申告で行うこともできます。
 

まとめ

給与収入だけの人に適用される所得金額調整控除の概要は上記の通りです。今回は2種類ある所得金額調整控除のうちの一つについて説明しました。来年の年末調整へ向けて制度を理解し、減税の恩恵にあずかりましょう。次回「その2」では、給与収入と公的年金収入の両方がある人の場合を説明します。
 
[参考・引用]
(※1)国税庁「特別障害者」
国税庁「変更を予定している年末調整関係書類(事前の情報提供)」
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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