離婚の際、離婚協議書を公正証書で作った方が良いのはどうして?
ファイナンシャルフィールド / 2019年12月17日 10時15分
日本では、離婚のうち約9割が協議離婚で成立しています。財産分与や養育費などの財産上の取り決めをしなくとも離婚は成立します。 別れることを最優先にして、これらの取り決めをしないケースも少なくありませんが、離婚後の生活を考えた場合、取り決めをしておいたほうが良いでしょう。 この場合、公正証書にしておくことが大切です。
離婚の方法
離婚しようと気持ちが固まった場合、離婚するにはどのような方法があるのでしょうか。
離婚する手続きには大きく分けて、(1)協議離婚、(2)調停離婚、(3)裁判離婚があります。離婚手続きのうち約9割が協議離婚です(厚生労働省平成21年度「離婚に関する統計」の概況)。
協議離婚は、当事者の協議による合意の上、離婚届を市区町村長に届け出て受理されれば効力が生じます。
当事者で離婚の合意がまとまらない場合、家庭裁判所の調停手続により離婚を成立させるのが調停離婚です。調停は、原則相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てます。
調停では基本的に男女二人の調停委員が当事者の話を聞き、妥協点を見つけられるように話し合いを斡旋します。話し合いがまとまれば調停調書が作成され離婚が成立します。
調停が不調に終わった場合、裁判離婚の手続きに進みます。離婚しようとする者が離婚の訴えを家庭裁判所に提起し、確定判決を得て離婚を成立させます。離婚訴訟は相手方の住所地か自分の住所地の家庭裁判所に提起します。
日本ではまず調停を申し立てることが基本とされていますので、調停を経ずいきなり離婚を求める訴訟を提起することは原則できません(調停前置主義)。
裁判においては、民法770条が定める離婚原因が認められると離婚できます。
なぜ、公正証書を作ったほうが良いのか
前述のとおり、日本の離婚の約9割は協議離婚で成立しています。協議離婚は、調停離婚や裁判離婚と違い裁判所の関与がありません。
離婚届に夫婦双方が署名押印をし、証人2人にも署名押印してもらい、本籍地か住所地の市役所などの役場に提出し受理されれば協議離婚は効力を生じます。なお、未成年の子どもがいる場合は親権者を決めて離婚届に記載する必要があります。
離婚届では、財産分与や養育費、慰謝料といった財産上の問題については、取り決めをする必要はありません。このため、離婚届とは別に財産上の問題について離婚協議書を作成しておくことが大切です。
離婚協議書は、公正証書にすると安心
離婚協議書には、
(1)離婚の合意
(2)親権者と監護権者
(3)子どもとの面会交流
(4)子どもの養育費
(5)慰謝料
(6)財産分与
(7)住所変更等の通知義務
(8)清算条項
(9)強制執行認諾の各条項
以上のうち、当事者の要望・必要性に応じて、これらの項目の中から選んで記載し公正証書にします。単に離婚協議書を作成しただけでは、相手方が取り決めた内容を守らない場合、強制することができません。
公正証書にして、相手方が約束を守らなかった場合には強制執行する旨の条項(強制執行認諾の条項)を入れておけば、調停や裁判を起こすことなく、裁判所に強制執行を申し立てて、強制執行(給料の差し押さえなど)ができます。
公正証書を作成するには? その費用は?
公正証書は公証役場に行って公証人に作ってもらいます。どこの公証役場でも構いませんので最寄りの公証役場で作成すると良いでしょう。
なお、合意内容はあらかじめ決めておく必要があります。公正証書は夫婦そろって公証役場に行って作成します。作成された公正証書の原本は公証役場で保管され、当事者には謄本(コピー)が渡されます。
公正証書の作成費用は、財産分与や養育費等の額により変わってきます。慰謝料・財産分与と養育費は別個の法律行為として扱われ、それぞれの費用を算定し、その合計額がその証書の作成費用です。
なお、養育費の支払いは、支払期間が長期にわたる場合でも、10年分の金額のみが目的価額になります。公正証書の作成費用は2~3万円で済むことが多いのではないでしょうか。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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