【FP解説】年金の「知らないと損!」 障害年金は、請求を急ごう
ファイナンシャルフィールド / 2019年12月27日 9時30分
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みんなが加入しているのに、学校でも習わないし、周りに知っている人も少ない年金制度。そのような理由からか、「さあ、もらおう」とすると、すでに手遅れになっている場合も。「しまった!」と、ほぞをかむ思いをしなくてもすむように、あらかじめ知っておきたい知識の数々をお伝えします。 第6回は「障害年金は、請求を急ごう」です。
「請求する」と決めたなら、できるだけ早く
「障害年金を請求する」と決めたなら、できるだけ早く請求をしたほうが良い場合があります。まず、受給権が消えてしまう恐れがある場合です。詳しくは以下のとおりです。
請求者が存命中に
【1】余命宣告を受けている場合
障害年金の請求には、主として、障害認定日請求と事後重症請求があります。障害認定日請求の場合は、障害認定日当時の症状の重さで判定され、事後重症請求の場合は、請求日ごろの症状の重さで判定されます。
事後重症請求は、請求者が存命中に行わなければなりません。例えば、請求者が末期がんで余命宣告を受けている場合などは、1日でも早く請求手続きをしたほうが良いわけです。たとえ、障害年金を受給する期間が短くても、遺族年金につながる可能性もあります。
なお、障害認定日請求の場合は、本人が亡くなった後からでも遺族が行うことが可能です。
65歳の誕生日の前々日までに
【2】65歳の誕生日が目前である場合
障害年金の事後重症請求は、65歳の誕生日の前々日までに行わなければなりません。障害認定日請求の場合は、65歳の誕生日の前々日までという制限はありませんので、70歳になってからでも80歳になってからでも請求が可能です。
注意が必要なのは、65歳以前に初診日があるものの、障害認定日が65歳以降になる場合です。この場合は、障害認定日請求です。ところが、初診日が請求者の考えていた初診日よりもっと前であると認定された場合は、結果的に事後重症請求ということになります。その場合は、すでに65歳以上なので請求は却下されてしまいます。
請求が翌月や翌々月にならないほうが良い
次に、月単位で考えて、請求が翌月や翌々月にならないほうが良い場合です。詳しくは以下のとおりです。
1日違いで、1ヶ月分少なくなることも
【1】事後重症請求の場合
支給が決まった場合、請求月の翌月分から支給されます。このため、例えば、6月30日に請求をして認められた場合は、7月分から支給されますが、1日遅れの7月1日に請求をした場合は、8月分からの支給となります。
1日違いで受け取る年金が1ヶ月分少なくなってしまうのです。請求書類の大半がそろった場合は、残りの必要書類を大急ぎで集めて、何とか同月内に請求したいものです。
診断書の枚数を増やさないように
【2】障害認定日から1年以内の請求の場合
この場合は、請求書に添付する診断書は1枚です。障害認定日以後3ヶ月以内(20歳前障害の場合は、20歳になった日の前後3ヶ月以内)の現症を記載した診断書です。
しかし、障害認定日から1年以上たってしまうと、請求日前3ヶ月以内の現症を記載した診断書も必要です。診断書作成料金も少額ではありません。できれば、障害認定日から1年以内に請求するのが賢明です。
時効にも気を配ろう
【3】障害認定日から5年以上たって障害認定日請求をする場合
この場合に注意しなければならないのは、障害年金の支給には時効があることです。
例えば、障害認定日が10年前で、障害認定日請求が認められた場合、受給権の発生は10年前ですが、実際に年金が支払われるのは直近の5年分だけです。そういう意味では、障害認定日から5年以上たつと、ひと月ごとに、支給額が減っていることになります。
でも、拙速はダメ
このように、障害年金の請求はできるだけ早くしたほうが良いのですが、拙速はダメです。例えば、主治医に作成してもらった診断書に大きな間違いや弱点がある場合などは、たとえ1ヶ月遅れになっても、正確で問題のない内容に修正してもらってから提出するほうが良いわけです。
1ヶ月分の年金を惜しむあまり、障害年金そのものを失ってしまうわけにはいきません。
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
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