<寡婦控除><特別寡婦控除><寡夫控除>いったい、なにが違うの?
ファイナンシャルフィールド / 2020年1月26日 10時0分
所得税の年末調整や確定申告時期に聞いたことはあるけれど、いまひとつわかりづらいのが寡婦控除。 実際、適用漏れが多いとも聞きます。寡婦控除にはどのような人が対象となり、どのような仕組みになっているのでしょうか?
寡婦控除の趣旨とは?
寡婦控除とは、配偶者と離婚や死別などにより、一人で子育てをしている人たちについて、そのハンディキャップに着目し、所得税・住民税の負担を軽減するために設けられた所得控除の制度で、昭和26年に創設されました。
これは戦後の戦争未亡人に配慮してのことです。その後、平成元年に特別寡婦が創設され、一定要件に該当する場合、控除額が増額されるようになりました。
なお寡夫控除は昭和56年からと、遅れて制度が設けられました。
一人親世帯は経済的に裕福でない場合が多く、平成28年度の厚生労働省の調査によると、母子家庭の平均年間収入は243万円、父子世帯は420万円となっており、特に母子家庭は経済的に厳しい環境に置かれているのが現状です。
一般の寡婦控除、特別の寡婦とは?
では寡婦控除、特別の寡婦とはどのような人が対象となるのでしょうか。
寡婦とは納税者本人がその年の年末において、次に当てはまる場合とされています。
1、夫と死別、もしくは夫と離婚した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で扶養親族がいる人、または生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下となります。
2、夫と死別した後婚姻していない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は扶養親族などの要件はありません。なお夫は、民法上の婚姻関係にあるものをいい、事実婚・内縁関係は除外されます。
つまり、女性の場合、1の場合は本人の所得要件がありません。2は寡婦の原因が離婚ではなく死別等である場合、500万円以下の所得金額であれば、扶養親族は要件とならない点がポイントです。
次に、特別の寡婦とは、上記一般の寡婦に該当する人が次の要件全てを満たすときに、特別の寡婦に該当することとなります。
1、夫と死別しまたは夫と離婚した後婚姻していない人や夫の生死が明らかでない一定の人
2、扶養親族である子がいる人
3、合計所得金額が500万円以下であること。
寡夫控除とは?
次に、寡夫とはどのようなものでしょうか。寡夫とは納税者本人がその年の年末において、次の全てを満たす場合とされています。
1、合計所得金額が500万円以下であること
2、妻と死別、もしくは妻と離婚した後婚姻していないこと、または妻の生死が明らかでない一定の人であること
3、生計を一にする子がいること
男性の場合、特別の寡夫というものはありません。女性のほうが優遇されているといえるでしょう。
寡婦控除の適用漏れと今後の改正に注意!
いかがでしたでしょうか。女性は夫との死別等の場合適用漏れも多いと聞きます。確かに年末調整を会社で行う場合、プライバシ-の問題もあり、経理担当者が離婚か死別かといったことを聞きづらいのも事実ですが、控除額漏れがないよう気をつけたいところです。
なお、毎年12月頃になると税制改正大綱が発表さますが、2020年度の税制改正項目として、寡婦控除の改正が挙げられています。
内容としては、従来にあった「婚姻歴の有無による取り扱いの違い」「男性と女性のひとり親についての不平等の解消」となっており、婚姻歴のないシングルマザ-であっても適用が受けられるようにすること、および現在所得制限については男性だけ500万円以下の所得制限がありますが、女性にも同様の所得制限を設けることなどが改正案のポイントでとなっております。
改正案が通った場合、男女差がなくなり制度的にだいぶわかりやすくなりますね。改正案が通るかどうか気になるところです。
【参照】
厚生労働省平成29年12月15日「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」
執筆者:宮路幸人
税理士・AFP その他宅建、マンション管理士資格保有
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