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退職したときのために知っておきたい医療費の知識

ファイナンシャルフィールド / 2020年2月3日 23時0分

退職したときのために知っておきたい医療費の知識

再雇用制度で60歳以降も勤務する人が増えてきました。「定年」は60歳で変わらないものの、実質的な退職は65歳となりつつあります。すると、65歳の段階で退職後の健康保険をどうするかを選ぶことになります。3つの方法があり、その中から選択します。  

前期高齢者納付金

1つは任意継続被保険者となり、今までの健康保険に継続して加入します。もう1つは、家族で健康保険に加入している人がいれば、その被扶養者となります。残りの1つは自治体の国民健康保険への加入です。
 
一番お得なのが、家族の被扶養者となることです。もちろん、その家族に養われていることが条件です。任意継続被保険者になるのと、国民健康保険に加入する、どちらかを選ぶなら保険料で比較検討すると良いでしょう。
 
勤務先の健保組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)に問い合わせると、任意継続をした場合の保険料を確認できます。国民健康保険の保険料はお住まいの市区町村の窓口で確認します。任意継続の申込期限が退職後20日以内となっていますので、すぐに確認をしましょう。
 
75歳になったら、全ての人が後期高齢者医療制度に加入します。任意継続ができるのは2年間だけですので、多くの人はそれまでの間、国民健康保険に加入します。 
65歳から74歳までの間は前期高齢者と区分されますが、年齢とともに医療費も増えていきます。そして、その年代の人は多くが国民健康保険に加入していますので、保険で賄われる医療費もかなりの金額です。
 
そこで、現役世代が多い健保組合や協会けんぽなどから、全国の国民健康保険に対して、「前期高齢者納付金」というものを払って、負担を調整しています。
 

前期高齢者の医療費が増えると納付金も増える

国民健康保険は、全ての加入者のうち前期高齢者の割合が42%にもなります。国民健康保険の現役世代だけでは支えきれません。
 
それに対して健康保険組合ではその割合は平均3.3%、協会けんぽだと7.9%です。公務員や教員が加入する共済組合では1.5%に過ぎません。全ての公的医療保険での平均は15.3%となっています(令和元年度見込み)。
 
そこで、どの医療保険でも前期高齢者の割合が15.3%として負担を分かち合おう、という仕組みになっています。前期高齢者の割合が15.3%より低い健保組合や協会けんぽ、共済組合は、平均との差額を納付金として支払い、高い国民健康保険は交付金を受けます。おおまかには、次のような式で納付金を算出します。
 
前期高齢者納付金 = その健保組合等の1人当たりの前期高齢者医療給付費 × その健保組合等の総加入者数 ×(すべての公的医療保険の前期高齢者加入率 - その健保組合等の前期高齢者加入率)
 
全ての公的医療保険での平均と、その健保組合の加入率の差をかけることで、加入者の差を調整しています。
 
ここで注目したいのが、医療費の基準を「その健保組合等の1人当たりの前期高齢者医療給付費」としていることです。実際にその健保組合等でかかった医療費を基準に、納付金を算出しています。
 
つまり、任意継続被保険者や家族の被扶養者となって加入している前期高齢者が病院にかかると、前期高齢者納付金が増える仕組みになっています。全ての公的医療保険での平均である15.3%と、その健保組合等の前期高齢者加入率の違いに応じて納付金の増え方は倍増します。
 
例えば、協会けんぽの場合、1人当たりの前期高齢者医療給付費が1万円増加すると、前期高齢者納付金も1万円増え、合計2万円の負担増です。共済組合では1万円増加が10万円の負担増になります。健保組合は組合ごとに前期高齢者の割合が異なります。1%の組合であれば、1万円の増加が15万円の負担増です。
 
前期高齢者の割合が低い組合ではその人数自体が少ないので、たった1人の医療費が増えただけで平均額が変わります。その結果、健保組合の負担は10倍にも15倍にもなります。金額によっては組合の財政状態にも影響しかねません。
 
健康にかかわることですから、遠慮して受診を控えるようなことがあってはいけません。ただ、健保組合などの負担が何倍にもなることを考えると、65歳から74歳までの前期高齢者の方は、安易なはしご受診は避けたいものです。
 
※ここでは前期高齢者加入率を見込みの数値のままで記載していますが、実際には確定した数値で精算されます。
 
執筆者:村井英一
国際公認投資アナリスト

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