70歳まで働き続ける?「70歳定年法」で働き方はどう変わるのか
ファイナンシャルフィールド / 2020年2月4日 23時10分
人生100年時代。金融庁が、公的年金以外に老後資金が2000万円必要だとの報告書が問題となったのも記憶に新しいかと思います。そんな大金、急に言われてもすぐに準備できる人はそう多くはないのでしょうか。 ではどうするのか? 節約をしながら老後資金を計画的に貯蓄したり、共働きで世帯収入を増やしたり、資産を運用することなどが考えられます。もしくは、地方に移住して生活コストを下げることも選択肢としてはあるかもしれません。手っ取り早いのは、健康であれば、働き続けて生活資金を稼ぐことなのかもしれません。 そういった中で、老後資金の確保などのため高齢者が働き続けるようにするべく、日本政府は高年齢者雇用安定法で、企業に対して希望者全員に65歳まで雇用を義務付けるようにしているのはご存じのことかと思います。 さらに、政府は希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための、改正案の骨子を発表しています。改正案は通称「70歳定年法」といわれており、2019年6月の閣議で決定され、国会で法律が成立すれば早ければ2021年4月から実施されます。 今回は、この「70歳定年法」の内容について確認し、働き方がどのように変わるのかをご紹介します。
現在の「高齢者雇用安定法」とは?
■法律の趣旨
厚生労働省は、「少子高齢化が急速に進展し、若者、女性、高齢者、障がい者など働くことができる人全ての就労促進を図り、社会を支える全員参加型社会の実現が求められている中、高齢者の就労促進の一環として、継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が定める基準に関する規定を削除し、高年齢者の雇用確保措置を充実させる等の所要の改正を行う」と公表しています。
■具体的な内容
1、定年を定める場合には、60歳を下回ることはできません。つまり、定年は60歳以上の年齢とする必要があります。
2、65歳未満の定年を定めている事業主は、希望者全員に対して65歳までの雇用を確保するために、
(1)定年の引き上げ
(2)継続雇用制度の導入
(3)定年の定めの廃止高齢者雇用安定法
のいずれかの措置を取らなければなりません。ただし、継続雇用先は自社のみならずグループ会社とすることも認められています。
3、義務違反の企業に対する公表規定の導入がされています。すなわち、高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定を設けることが規定されています。
通称「70歳定年法」で何が変わる
人生100年時代を迎え、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるように、高齢者の活躍の場を整備することを目的に、法律が改正されます。そして、70歳までの就業機会の確保を円滑にする観点から、この仕組みを二段階に分けて進める予定で、まず、第一段階の法制の整備を行っていくようです。
「全世代型社会保障検討会議 中間報告」によると、内容は以下のとおりです。
■第一段階の法制
第一段階では、下記について事業主に対して努力規定を設けるとしています。あくまで、努力規定なので、企業への罰則や公表規定はありません。
1、雇用による措置
以下の4つが雇用による措置として規定されています。
(1)定年廃止
(2)70歳までの雇用延長
(3)定年後または65歳までの継続雇用終了後も70歳まで引き続いて雇用(子会社・関連会社等を含む)
(4)定年後または65歳までの継続雇用終了後、子会社・関連会社等以外の再就職の実現
2、雇用以外の措置
以下の2つが雇用以外の措置として規定されています。
(1)定年後または65歳までの継続雇用終了後に創業(フリーランス・起業)する者との間で、70歳まで継続的に業務委託契約を締結
(2)定年後または65歳までの継続雇用終了後に以下のいずれかの事業による活動に70歳まで継続的に従事する
・事業主が自ら実施する事業
・事業主が委託、助成、出資等するNPO等の団体が行う事業
■第二段階の法制
第二段階の法制では、第一段階の進捗を踏まえて、現行法のような企業名公表による担保(いわゆる義務化)のための法改正を検討するようです。
この際、かつての立法例のように、健康状態が良くない、出勤率が低いなどで労使が合意した場合について、 適用除外規定を設けることについて検討するとしています。
(出典)
厚生労働省「高年齢者の雇用」
厚生労働省 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」の概要
内閣官房全世代型社会保障検討室「全世代型社会保障検討会議 中間報告」P.6〜s8
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
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