「オレオレ」言わない最近の詐欺の手口! あなたの親は大丈夫?(2)
ファイナンシャルフィールド / 2020年2月8日 10時30分
高齢者を狙う詐欺の手口は、日々変化しています。それは、銀行やコンビニなどのATMの見回りが厳しくなり、金融機関によっては1日におろせる現金の金額が少なくなっていることが関係していると考えられます。 持ち主に送金させるかつての間接的なやり方ではなく、すでに自宅にある現金やカードそのものを奪う直接的なやり方へと変わってきました。このため、犯罪グループが直接自宅に押し掛けて接触してくることが主流になりつつあります。 これは強盗や殺人事件にまで発展しないとも限らず、凶悪化が進んでいると言わざるを得ません。親の命と財産を守るために何ができるのか、それをゆくゆくは引き継ぐ子どもも真剣に考える時期がきています。
詐欺電話は「オレ」ではなく、警察官、銀行員、公的機関などを名乗る
これまでは、主に息子を持つ親がターゲットでしたが、今では息子のみならず娘を持つ親、あるいは子どもを持たない高齢者すらターゲットになり得ます。
その手口が息子を名乗る「オレ」ではなく、警察官、銀行員、○○財団、○○法人、○○組合など、実際に存在しないものも含めて、もっともらしい公的機関を名乗ることが多くなってきているからです。
<ケース1>
「あなたのカードが不正に使われました」「あなたのカードが機能しなくなっているので、新しいカードに取り換える必要があります」などと、まずカードに関するうその情報を電話で持ちかけられます。警察官を名乗る男からそう言われて、信じてしまうことから詐欺被害は始まります。
<ケース2>
銀行員、警察などを名乗る男から、「この地域で偽札が発見されました。あなたのところにも偽札が紛れ込んでいる可能性があるので、現金を確認させてほしい」という連絡があるようです。
カードから引き出される、現金を持ち逃げされる、など
いずれのケースも、電話があったすぐ後に、グループの仲間が自宅を訪ねてきます。ケース1では、「カードを預かるので暗証番号を教えてほしい、後日新しいカードを持ってくる」と言ってカードを持ち去り、現金を引き出されてしまうパターンです。
この場合のカードは、銀行の預金をおろすキャッシュカードや、署名や暗証番号で買い物ができるクレジットカードなど、両方の場合があるようです。
ケース2では、自宅にある現金の金額を問いただした上で、偽札を確認する目的と偽り、そのまま全ての現金を持ち去るパターンです。恐ろしいことにこれらのケースでは、電話を受けた後に家族や本当の警察に相談されては困るので、電話後に比較的短い時間で自宅を訪問されてしまうことです。
恐らく仲間が自宅付近で待機しているのでしょう。仮にすぐにおかしいと気づいたところで、本当の警察へ通報して警察官の到着を待つ暇もない可能性があります。つまり、電話を受けたその時点ですぐに「あやしい」と感じなければ、自宅まで訪問されてしまう危機に直面することになります。
防御の方法
1.電話を受けない
電話の段階で見抜くかどうか、で全てが決まることが多いです。
警察、デパート、公的機関など、信頼性の高い名前を語ってくるため、信用してしまいそうですが、カードの不正使用がわかれば、通常はそのカードを発行している機関(銀行・会社)から電話があるはずで、警察やデパートからかかってくることはありません。
とはいえ、なかなかそのような状況を、冷静に電話で瞬時に判断することは難しい可能性があります。そこで、電話を留守設定にして、相手が「知り合いの個人」である場合以外は応答しない、という方法があります。
詐欺グループであれば、証拠を残すことを嫌いますので、留守電に録音はしないで切るでしょう。万一、本当の警察や公的機関がかけてくることがあれば、きちんと留守録にメッセージや氏名と連絡先を残すでしょう。それから対応しても遅くはありません。
2.ニセ暗証番号を伝える
本当にカードを切り替える必然性があれば、新カードを送ってくることはあっても、旧カードを回収することも暗証番号を聞かれることも絶対にあり得ません。暗証番号は、いかなる理由でも、決して他人に教えてはいけません。
ただし、暗証番号を聞かれる状況ということは、すでに自宅に犯罪グループの訪問を受けていることになるので、仮にその段階で気づいたとしても撃退するのが難しくなります。
余裕があれば、何かのスキに警察に通報したいところですが、その時間がかせげない場合は、いったんうその暗証番号(ニセ暗証番号)、それもできるだけ本当の数字とは離れた番号を教えて、だまされたされたフリをしておくのも一法です。
詐欺グループが去った後は、直ちに警察へ通報します。カードは間違った暗証番号を一定回数入力すると使用停止になる場合が多く、再発行まで時間がかかる不便さはありますが、詐欺被害は免れることができる可能性は高いでしょう。
重要なのは、こうした手段を親御さんに常日頃からよく連絡しておき、実際にこうした防御法を実行してもらうことです。親の財産を守ることは、その財産を受け継ぐ子どもの財産を守ることです。
逆に親の財産を失うことは、子どもの財産を失うことと同じであることを深く認識しておくと、より切実な対応ができるかもしれません。
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
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