マイホームを買い換えた場合の住宅ローン控除は適用できない場合があるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2020年2月16日 9時0分
![マイホームを買い換えた場合の住宅ローン控除は適用できない場合があるって本当?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_70027_0-small.jpg)
いよいよ確定申告シーズンに突入ですね。マイホームを買い換えて新たに住宅ローン控除を受けることを予定している方は、マイホームの買い換えに関わる住宅ローン控除の適用については制限があるため、注意が必要です。本稿では、その制限について簡単にご説明します。
住宅ローン控除とは
正しくは「住宅借入金等特別控除」といいます。住宅ローンを利用してマイホームの新築や取得、増改築等を行った場合に、一定の金額を税額控除するという制度です。この住宅ローン控除の適用を受けるためには、主に以下のような要件を満たす必要があります。
・新築または取得の日から6ヶ月以内に居住の用に供し、各適用年末まで引き続き住んでいること
・控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること
・新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上がもっぱら自己の居住の用に供するものであること
・10年以上の分割返済となっている、金融機関等からの住宅取得のための一定の借入金であること
なお、床面積要件は登記簿上の専有部分の床面積で判定します。登記簿上は壁の内側で計算する、つまり内法面積ですが、マンションのパンフレット等に記載される面積は壁の中心を基礎として計算する壁芯面積となっているでしょう。当然ながら、内法面積<壁芯面積となりますので、床面積判定の際には注意が必要です。
また、「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」の新築等を行った場合には、優遇措置があります。詳細は、国税庁タックスアンサー(※)を参照してください。
【PR】おすすめの住宅ローンはこちら
マイホームを売った場合の主な特例
マイホームを売って所得が生じた場合は、譲渡所得の確定申告が必要です。この譲渡所得申告については、税法上はいくつかの特例が用意されていますので、以下でご紹介します。申告時にこれらの特例を使うかどうかは、納税者の任意です。なお、それぞれの特例には要件が定められており、併用についても制限がありますので注意してください。
(1) 3000万円特別控除の特例
マイホームを所有していた期間の長さにかかわらず、譲渡所得から3000万円まで控除ができる規定です。
(2) 軽減税率の特例
マイホームを売った年の1月1日時点で、その売ったマイホームの家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えている等の一定の要件を満たす場合には、長期譲渡所得の計算における税率を通常よりも低くできる規定です。
(3) 特定の居住用財産の買い換え特例
特定のマイホームを売って代わりのマイホームに買い換えた場合において、一定の要件を満たすときは、譲渡益に対する課税を繰り延べることができます。
(4) 居住用財産の買い換え等の場合の損益通算・繰越控除の特例
マイホームを売って代わりのマイホームに買い換えた場合において、一定の要件を満たすときは、その売却によって生じた損失について、その年の給与所得や事業所得等の他の所得と損益通算をできる特例です。さらに、損益通算を行っても残ってしまった譲渡損失については、その売った年の翌年以後3年内に繰り越すことができます。
(5) 特定居住用財産の損益通算・繰越控除の特例
(4)と似ていますが、買い換えの必要はありません。ただし、売ったマイホームに住宅ローンが残っていたこと等の要件があります。適用要件を満たすときは、譲渡損失または残った住宅ローンの金額等を基礎に計算した金額を損益通算できるほか、損益通算を行っても残ってしまった譲渡損失について、その売った年の翌年以後3年内に繰り越すことができます。
住宅ローン控除との併用
マイホームの買い換えに伴い、新しく取得するマイホームについて新たに住宅ローン控除を受けようとする場合には、以下に掲げる規定とは併用ができませんので、注意をしてください。
(1) 3000万円特別控除の特例
(2) 軽減税率の特例
(3) 特定の居住用財産の買い換え特例
一方で、「(4) 居住用財産の買い換え等の場合の損益通算・繰越控除の特例」および「(5) 特定居住用財産の損益通算・繰越控除の特例」と住宅ローン控除は併用できます。
住宅取得資金の贈与を受けた場合
両親等の直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合も注意が必要です。この制度と住宅ローン控除の適用を併せて受けることは可能ですが、注意点があります。住宅ローン控除を受ける際には、対象となる住宅ローンの年末残高とマイホームの取得対価の額を比較して、いずれか低い金額を計算の基礎とします。
ここで、住宅取得等資金の贈与を受けている場合には、マイホームの取得対価の額からその贈与を受けた金額を差し引くこととされています。従って、贈与を受けなかった場合と比べると、適用を受けることができる住宅ローン控除の金額は小さくなります。
この点は、以前に多くの計算漏れが会計検査院の指摘から発覚したことがニュースになりました。注意しましょう。
おわりに
マイホームに関する税制は、特例が多く用意されているものの、仕組みが複雑です。必ず、適用年に対応する税法上の規定をよく確認してください。ご自身で申告する際、規定をなかなか理解できない場合は、所轄の税務署に早めに相談するか、税理士の力を借りることをお勧めします。確実な対応で、思わぬ損失を受けることを防ぎましょう。
(※)国税庁 タックスアンサー「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
執筆者:星田直太
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
関連記事
住宅ローン控除額はいくらになる?算出方法についておさらいしよう
住宅ローン控除(減税)のここが変わった! 増税によって変わった変更点まとめ
「住宅ローン控除」の申告ミスが発覚で追加納税も
【PR】おすすめの住宅ローンはこちら
この記事に関連するニュース
-
数年前、夫が亡くなり相続した自宅。住みながら子どもに譲りたいけど、生前贈与になる?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月16日 13時40分
-
息子のマンション購入費を「全額援助」しようとしたら、断られました。親からの援助は嬉しくないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月29日 2時10分
-
恐ろしい…空き家の「相続→売却」で「相続税+所得税」の往復ビンタ! 負担軽減の方法は?【税理士が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月27日 11時15分
-
30代前半の夫婦で住宅購入を検討しています。「100万円ずつ」頭金を出し合うなら、ローンも共同名義にした方がよいでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月27日 10時20分
-
相続税の計算は4段階!…相続専門税理士が教える、相続税のしくみと財産評価の超キホン
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月24日 14時15分
ランキング
-
1大谷翔平&真美子さんのレッドカーペット中継に… 人気アイドルが「思いっきり映ってる」と話題
Sirabee / 2024年7月18日 15時40分
-
2平日は毎日「レッドブル」を飲んでいます。「1日の飲料代」として高すぎますか? また、体への悪影響はないでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月20日 3時20分
-
3みなとみらいに爆誕「巨大フードコート」のスゴさ 「ワールドポーターズ」で世界の味を楽しめる
東洋経済オンライン / 2024年7月21日 12時0分
-
4【インプラント治療】どの歯科医師、歯科医院を選べばいいか?「“楽で簡単な治療”と広告でアピール」「治療費が安すぎる」には要注意
NEWSポストセブン / 2024年7月21日 11時14分
-
5新型コロナワクチンの定期接種、10月から開始…全額自己負担の任意接種費は1万5000円程度
読売新聞 / 2024年7月21日 19時21分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)