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社員が新型コロナウイルスに感染!会社が取るべき正しい対処法

ファイナンシャルフィールド / 2020年2月26日 10時50分

社員が新型コロナウイルスに感染!会社が取るべき正しい対処法

中国から発生した新型コロナウイルスの感染が止まりません。どこの薬局でも「今日の分のマスクは完売しました」もしくは「おひとりさま1つまでの販売とさせていただきます」というメッセージが掲げられています。   中国では、すでにSARSの死者を上回ったそうです。この状態はいつ落ち着くか、先が見えません。ただ、どんなにウイルスが心配でも、会社がずっと労働者を休業させる、もしくは在宅勤務にできるわけではありません。   今回は、このような突発的な事態に会社がすべき対応を、厚生労働省から公開されたQ&A(※)をもとに考えてみます。  

労働者を就業禁止にできるのはどういう時?

2020年2月1日付で、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められました。感染した場合には、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院等の勧告を行うことができます。ただ、感染しても、すぐに新型コロナウイルスか通常のインフルエンザ等かどうかの判断はまだつかない場合のほうが多いかもしれません。
 
通常、感染症の場合には14日潜伏期間といわれますが、労働者本人も、体調が悪くてもすぐに会社を休むことはしないでしょうし、会社側も冬に体調が悪くなるという労働者をその都度休ませていては業務が進まないでしょう。もし、家族や同居人に感染者が出てしまったとしても、会社に来ようとする労働者をすぐに就業禁止にできません。
 
もし、「心配だから」という理由なら、会社が休業を「命じる」という流れになるでしょう。労働者が自主的に休む場合には、通常の病欠と同じ取り扱いとなります。本人が、「有休を取得します」ということであれば、有給で処理をし、もし会社に病気休業の規定があるのであれば、その規定に基づく病気休業を取得することになるでしょう。

労働者への給料は払う? 払わない?

労働者の体調が悪く病欠をする時には、有給休暇が残っているのであれば、まず有給休暇の取得をすることが多いでしょう。ただ、自分の有給休暇が何日残っているのかがわかっていない労働者もいますし、そもそも使い切ってしまっているという場合もあります。
 
最近は、電話で欠勤を連絡するのではなく、LINEやメールで一方的に連絡するという方もいるかもしれません。どんな病状なのか、通常の風邪なのか、インフルエンザか、単なる体調不良かなど、詳細が聞けないままで「とりあえず休む」という連絡であった場合、会社側が事後の労働者の届出によりこれを有給に振り替えるのか、欠勤で1日分を控除するのか、就業規則にどう記載しているかの確認しておくべきでしょう。
 
厚生労働省のホームページには、感染した場合には「使用者の責めに帰すべき事由による休業に該当しないので、休業手当を支払う必要はありません」と回答されています。ですから、感染と確定していない場合には、休ませてしまうと休業手当を支払う必要があります。
 
新型コロナウイルスに感染したと確定すればそのまま休業してもらい、各健康保険の規定による傷病手当金を申請して、標準報酬日額の3分の2を受給するという流れになります。通常の賃金を支払う必要はありません。

就業規則の記載は自社用にカスタマイズしているか確認を

有給休暇の取得や私傷病による休職に関する記載については、厚生労働省によるひな形をダウンロードしてそのまま使用している会社もあるかもしれません。
 
やはり、社会保険労務士などの専門家に依頼すると、手数料の支払いが発生するので、厚生労働省が作成したものであれば問題はないだろうという思惑はわかります。ただ、業種、業態、労働者の構成などによって、病気休職や有給休暇についての規定は自社に合うものをちゃんと考えておくべきです。
 
例えば、有給休暇については、「原則として、労働者が請求する時季に与えなければなりません」ので、会社が一方的に、この日に取得してくださいということはできません。
 
また、病気休業も、単に「1ヶ月休職させる」「3ヶ月休職させる」など期間を書いているだけかもしれませんが、その期間は無給なのか有給なのか、そして復職させる場合にはどうするのか、会社で運用しやすいようにダウンロードしたひな形を変更しておくのが望ましいでしょう。
 
以前、大騒ぎとなったSARSの時にも、「もし労働者が感染したらどうするのか?」「子どもや配偶者が感染していたら、労働者本人を休ませるのか?」など、さまざまなケースがありました。
 
ただ、結局、家族が感染していても必ず感染したとは決めつけられませんし、感染していない状態で休業させると、「事業主の責めに帰すべき休業」です。休業手当の支給が必要か、それとも通常の賃金を支払うのかなど、なかなか答えのはっきりできない難しい問題が発生することになるので、明確な答えは出ないまま収束に向かいました。
 
「予想外の事態」と言いつつも、さまざまな事態に備える規定、もしくは柔軟に対応できる規定を会社として考えておくべきでしょう。
 
(※)厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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