日本の年金保険料は世界と比べて高いのか安いのか
ファイナンシャルフィールド / 2020年3月1日 23時10分
![日本の年金保険料は世界と比べて高いのか安いのか](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_71278_0-small.jpg)
日本の年金保険料は、長年値上げが続いていましたが、平成29年(2017年)から基本的に定額になりました。ところで、この保険料は、世界から見ると高いのでしょうか。それとも安いのでしょうか。そこで今回は、日本の年金保険料を、世界の国々の年金保険料と比較して見てみましょう。
日本の年金制度と世界の国々の年金制度を比べてみると
ここでは、アメリカ、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンの欧米5ヵ国と、日本の年金制度の違いについて確認することにしましょう。
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年金制度において大きな違いは、日本は全居住者が被保険者になっているのに対し、欧米5ヵ国は、被用者と一定の所得がある自営業者のみを被保険者としている点です。なお、スウェーデンは、所得の低い者を対象とした保証年金制度があります。
年金構造の違いは、日本の年金制度は、基礎年金と厚生年金の2階建てになっているのに対して、欧米の5ヵ国は、いずれも日本の厚生年金保険に相当する1階建てになっています。
また、老齢年金の支給開始年齢は、スウェーデンを除き日本が一番早いことが分かります。そして、多くの国が支給開始年齢の引き上げを進めています。
日本の年金保険料と世界の国々の保険料を比べてみると
日本の年金保険料は、平成16年(2004年)の年金制度改正によって上限額が定められ、その額に向かって計画的に引き上げられてきました。そして、平成29年にその上限額に到達して、国民年金保険料が1万6900円(令和元年度からは制度改正により1万7000円)に保険料改定率を掛けた額に、厚生年金保険料は18.3%(労使折半)の定額となりました。
日本の厚生年金保険料には、国民年金保険料を含んでいるととらえられるため、ここでは、厚生年金保険料と他国の年金保険料を比較することにします。
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被用者用の保険料率は、アメリカの12.4%が最も低く、英国の25.8%が最高になっています。日本の保険料率18.3%は欧米5ヵ国と比較すると上から3番目、下から4番目に相当します。なお、英国の保険料は、年金以外の社会保障給付にも充てられていますので単純には比較できません。
そして、被用者の保険料は、各国とも労使がそれぞれ負担しています。そこで、被用者本人が負担する保険料で比較してみましょう。ここでも、アメリカの6.2%が最も低く、英国の12.0%が最も高くなっています。日本の保険料率9.15%は上から3番目、下から4番目となります。
年金財政について日本と世界の国々を比較してみよう
次に年金財政の違いについても見てみましょう。
年金の財政方式には、積立方式と賦課方式(※2)がありますが、スウェーデンが一部積立方式を採用しているほかは、各国とも賦課方式を採用しています。
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また、国庫負担について見てみると、日本が基礎年金給付費の50%(2分の1)を拠出しているのに対して、アメリカと英国は全く拠出していません。なお、スウェーデンは、低所得者に給付している保証年金は政府が全額負担しています。
まとめ
日本の年金制度は、全居住者を対象とした「国民皆保険」を特徴としており、基礎年金給付費の50%を国が負担するなど、他国に比べて手厚い制度になっています。そして、厚生年金保険料は、欧米5ヵ国と比較してもほぼ平均の値となっていることが確認できました。
出典
(※1)厚生労働省 海外の年金制度
(※2)厚生労働省 厚生年金、国民年季の財政
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
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