1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

離婚したら、年金はどれだけもらえるか?

ファイナンシャルフィールド / 2020年3月3日 10時15分

離婚したら、年金はどれだけもらえるか?

離婚時の年金分割制度は2007年(平成19年)から施行されています。   今では、「離婚しても年金はもらえるから安心」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか? でも、本当に安心していいのでしょうか? 年金分割の仕組みを解説するとともに、実際にどのくらいもらえるものか確認してみましょう。  

年金分割の考え方

以下の説明は、勤労者である夫の年金を妻がもらうという前提で書いています。逆の場合も同じことなので、適宜読み替えてください。年金は離婚時の共有財産の分与とは別に決めます。それは、年金の分割には、共有財産の分与とは別の考え方があるからなのです。その考え方を整理してみます。
 
1.年金分割の対象は、老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金は含まれない。
2.分割の対象となるのは、婚姻期間に加入していた老齢厚生年金のみ。夫が結婚するまでに納付した分および離婚後に夫が納入する分に関する年金は、妻はもらうことができない。
3.妻は、分割の対象となる婚姻期間中の老齢厚生年金の最大半分しかもらうことができない。

 
これだけ書けば、漠然と「夫の年金の半分はもらえる」と思っていた方はその間違いに気づかれたと思います。【図1】をご覧ください。
 
【図1】離婚時の厚生年金の分割のイメージ図


※厚生労働省ホームページより抜粋

年金分割でどのくらいもらえるか?

離婚しても、夫の年金の半分がもらえるわけではないことが分かったと思います。では、どのくらいの金額がもらえるのでしょうか?厚生労働省が作成している「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で検証してみましょう。
 
この資料は老齢厚生年金や国民年金などの支払い実績などを記載したものですが、その中に「厚生年金保険(第1号)における離婚等に伴う年金分割の状況」(P.32)という資料があります。それによると次の通りです。
 
「離婚分割 受給権者の分割改定前後の平均年金月額等の推移」
合意分割および3号分割を含む 
第1号改定者(年金を分割する者)改定前平均年金月額 14万3208円(基礎年金を含む)
第2号改定者(年金を受け取る者)平均年金月額 変動差 3万1265円
 
難しい言葉が並んでいますが、分かりやすく解説すると次の通りです。第1号改定者とは年金を分割する者で、この場合でいうと「夫」です。分割する前にもらっていた年金の月額は基礎年金を入れて14万3208円です。
 
第2号改定者は年金を受け取る者で、この場合でいうと「妻」です。変動差とは、年金分割によって増えた妻の年金をいいます。それが月額で3万1265円ということになり、年額換算で約37万円になります。これは平均値なので、これより多い人も少ない人もいますが、おそらく多くはこの程度の変動差だと考えられます。
 
年額37万円は、ないよりはいいですが、生活を支えていくのに十分な金額とはいえないことがお分かりいただけたと思います。

まとめ

離婚の際の年金分割に期待し過ぎてはいけないというのが、この記事の結論です。機会を見て、合意分割や3号分割など、年金分割の具体的方法についても解説したいと思います。
 
[参考]
日本年金機構「離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)」
厚生労働省「離婚時の厚生年金の分割(平成19年4月施行)」
厚生労働省「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

関連記事

「5年前に離婚したんですが、元夫の年金を半分もらえるんですよね?」熟年離婚で多い思い込みとは
「離婚しても元夫の年金を半分受け取れる」って本当? 年金分割の仕組みと注意点
離婚直前「『年金分割』の金額が知りたいのですが、事前に知る事はできますか!?」
 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください