1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

繰下げの増額率がバブル期の金利より高いって本当なの?

ファイナンシャルフィールド / 2020年3月6日 8時30分

写真

今回は、老齢基礎年金の繰下げについて考えてみたいと思います。   年金の受給を1ヶ月繰下げすることによる増額率は0.7%です。最大5年(60ヶ月)の繰下げが可能ですから42%の増額が可能です。1年で考えると増額率は8.4%で、これはバブル期の預金利回りを上回っています。   現在の金融商品ではとても考えられない増額率ですから、資産運用として考えて良いかもしれません。現在、75歳までの繰下げが検討されています。1ヶ月0.7%のままなら10年で84%増加しますので、何ともすさまじい数字です。ただし、長生きすれば……ですが。   繰下げの受給を希望する方は、66歳から70歳までに請求します。前述のとおり、現在は最大5年(60ヶ月)の繰下げが可能です。  

繰下げの損益分岐点

公的年金は終身年金ですから、死亡するまで年金がもらえます。つまり、いつまで生きたら得をするかが重要になってきます。以下では、繰下げの損益分岐点を計算したいと思います。
 
[5年間老齢基礎年金を繰り下げた場合]
(1)まず、5年間の増額率を計算します。
0.7% ( 1ヶ月の増額率)×60月(5年遅く受給)= 42%(増額率)
 
(2)次に、70歳翌月から受給する老齢基礎年金の増額分がいくらになるかを計算します。
78万100円×42% = 32万7642円
 
(3)繰下げない場合の5年間の老齢基礎年金額の総受給額を計算します。
78万100円×5年=390万500円
 
(4)5年間で受給できる総額を70歳時点の増額分で割ると
390万500円(3)÷ 32万7642円(2) =11.9047(=11年11ヶ月)
 
(5)70歳+11年11ヶ月=81歳11ヶ月
 
81歳11ヶ月目で、本来受給額と繰下げ受給額がほぼ同額です。それ以降は繰下げ受給額が本来額を上回るので、長生きするほど得をすることになります。
 
計算式の解説をします。70歳で老齢基礎年金を繰下げ受給すると、70歳時点での増額分は32万7642円です。この増額分を加算した老齢基礎年金が、70歳1ヶ月目から受給することができる金額です。
 
次に、65 歳から70歳までの5年間は老齢基礎年金を受給していませんので、この部分を仮に受給したとすると、5年間で老齢基礎年金額は390万500円です。この5年間で受給できる総額を70歳時点での増額分で割ると 11.9047。小数点以下を月に換算すると11ヶ月になり、年と合算すると11年11ヶ月です。
 
70歳から11年11ヶ月目の81歳11ヶ月で、繰下げ受給総額と本来額の受給総額がほぼ同じになります。

繰下げをする判断は

年金を65歳で請求をするのか、または繰下げ請求を選択するのかは、当然一人ひとりの置かれた状況や考え方によって異なります。
 
請求する時期による損得の判断は、該当者があと何年生きるかわからないので難しいものです。その時点の健康状態・経済状態・家族の状況などいろいろと勘案し、納得したうえで請求することが大切です。
 
ちなみに、平成30年の「簡易生命表」によると、日本の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳です。65歳の平均余命は女性が24.50歳、男性が19.70歳。いずれも過去最高を更新しました。
 
また、健康寿命で考えると、2016年度の平均は男性72.14歳、女性74.79歳。前述の計算例から見ると、健康なうちに年金をもらいたいと考えている方には、繰下げはあまりお勧めできません。
 
注目したいのは、65歳の平均余命が、1年間で男性0.13歳、女性で0.07歳延びていることです。医学の進歩と健康意識の向上で、今後も平均寿命が延びていくことが考えられます。もしかしたら、繰下げをしたいという方が今後増えていくかもしれません。
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

関連記事

【相談】年金の繰り下げって本当にお得なのですか?
年金を受け取っている人のうち、繰下げ・繰上げ受給している人はどれくらい?
公的年金の「繰り下げ」、受給額が増えるメリットだけではない。4つの注意点
 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください