年収1000万円でも手取りは年々減っている?給与所得者か自営業者かで扱いが違う?手取りの実態
ファイナンシャルフィールド / 2020年3月19日 3時0分
![年収1000万円でも手取りは年々減っている?給与所得者か自営業者かで扱いが違う?手取りの実態](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_72798_0-small.jpg)
一般に、「花形」「憧れ」とされることの多い年収1000万円。はたして、実際に到達するとどのような実態が見えてくるのでしょうか。
年収1000万円は、実際に1000万円がもらえるわけではない?
まず、世の中に比較的多い、給与所得者の年収をベースに考えていきます。言うまでもないかもしれませんが、年収1000万円といっても単純にそのまま額面金額1000万円がその人へ支給されるわけではありません。
所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料(40歳以上)と、実にさまざまな名目で控除がなされます。給与明細を見て最終的な手取りがずいぶん減っていると、ガッカリしたことのある方も多いのではないでしょうか。
これら控除は、基本的に年収額に比例して多くなっていくものですが、だいたい手取り年収=額面金額の70~80%程度と考えていただいて良いかと思います。
手取り年収は年々減っている?
問題は、この手取り年収が年々と減っていっていることです。計算方法によって若干の誤差もありますが、同じ「年収1000万円」でもこの20年ほどで、手取り金額は10%程度減少しています。これは、健康保険料や厚生年金保険料の値上げ、各種控除の縮小等が要因となっています。
加えて、消費税も上がっているわけですから、昔と今とでは年収1000万円といっても、家計が抱える経済的負担間はまったく異なるといって良いでしょう。
同じ年収1000万円でも、給与所得者と自営業者では扱いが全然違う
筆者は弁護士という仕事柄、「年収」という概念については、離婚に関するご相談を受ける際によく直面します。離婚に伴う養育費(あるいは夫婦関係調整中の婚姻費用)については、義務者(支払う者)と権利者(受け取る者)双方の年収で月々の金額が決まります。
この金額の算定については裁判所が「算定表」というものを発表していて、基本的にその金額に基づいて決まります。2019年12月23日には、その算定表そのものの改定もなされました。
算定表で基準となる総収入について、給与所得者の場合は「源泉徴収票の支払金額(額面)」を基に総収入が決まります。自営業者の場合は、「課税される所得」へ現実に支出されていない費用などを加えて総収入が決まります。
自営業者の場合、各種費用が加算されることに着目すれば総収入が上り、養育費等の支払金額が増えやすいと考えることもできますが、そもそも「課税される所得」を計算するにあたって、事業上の経費と生活費が区別しにくく、所得金額が実際の生活実態とかけ離れて低額に算出されてしまうこともあり得ます。
そうなってくると、養育費の支払金額も実態を反映していないものとなってしまい、権利者の保護に欠けますし、また給与所得者との間の不均衡が生じかねないともいえます。
自営業者との間でこのような不均衡が生じることは、給与所得者から見ればズルいと感じられるかもしれません。
もっとも、例えば交通事故に遭い休業損害や逸失利益を請求する場合は、自営業者は確定申告書上の「課税される所得」を基に従前の年収を計算する必要があり、実態がそれと異なる場合は被害者のほうで立証を頑張らなければならないということになって苦労をすることも多いのです。
弁護士としてさまざまな分野の仕事に携わっていると、給与所得者と自営業者のどちらが有利かとは一概には言い切れません。
年収1000万円の人が求められる資産防衛
いずれにしても、前述でも申し上げたとおり、今の年収1000万円と昔の1000万円とでは、家計の負担が大きく異なることは間違いありません。今や、「年収1000万円は決して楽ではない時代」に突入していると言って良いはずです。
今後は、世帯年収1000万円の家庭も資産防衛が必要です。具体的には、夫婦共働きや副業で収入源を複線化する、必要ではない支出の見直し、長期・分散・つみたて投資による健全な資産運用の3点いずれも心がける必要があります。
(参考)
厚生労働省「厚生年金保険料率の引上げが終了します 〜平成29年9月以降は、18.3%で固定されます〜
厚生労働省 委託事業「養育費相談支援センター」
執筆者:佐々木達憲
京都市役所前法律事務所弁護士
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