60歳を過ぎて給与が半減 どうやって生活しよう・・
ファイナンシャルフィールド / 2020年3月22日 0時50分
家族のため・自分の出世のために上司の命令を聞き、時には紙切れ1枚で転勤を受け入れ、がむしゃらになって働いて、課長や部長などの管理職になったとしても、多くの会社員は、おおよそ55歳前後になると役職定年を迎えます。 そして、60歳となると多くの人は定年退職となります。定年退職になると、退社するかそのまま残るか選択をしなければなりません。 平成25年度以降、高年齢者雇用安定法の改正により、雇用の継続を希望する全員を雇用することが義務化されていますので、希望すれば継続して雇用されることができます。 しかし、60歳を過ぎて雇用が継続されたとして給与が大幅に減少したり、責任のある仕事を任せてもらえなくなったりするなど、モチベーションがダウンするという実情もあるようです。 今回は、再雇用などの継続雇用の実態を見て、大幅に給与ダウンしたらどうしたら良いのかを考えてみたいと思います。
継続雇用制度の現状と課題
■継続雇用制度とは?
雇用継続制度とは、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する制度です。再雇用制度と勤務延長制度の2つがあります。
再雇用制度は、定年となったら退職し再度雇用契約を結ぶ制度です。一度退職するので、退職金を受け取ることができます。一方、勤務延長制度は、そのまま雇用を継続する制度です。退職をしないので、退職金は支払われません。
この制度の対象者は、以前は労使協定で定めた基準によって限定することが認められていましたが、高年齢者雇用安定法の改正により、平成25年度以降、希望者全員を対象とすることが必要となっています。また、継続雇用先は自社のみならずグループ会社とすることも認められています。
■継続雇用制度の現状
(1)約8割が定年後に継続して雇用
継続雇用を希望しない定年退職者も18.3%いらっしゃるようです。継続を希望しなかった理由としては、男性で最も多いのが「賃金」としており、「他の会社に転職したかった」「趣味やボランティアをしたかった」がという理由が続きます。
女性では、「趣味やボランティアをしたかった」「健康上の理由」が最も多く、「家族などの介護のため」が続きます。
(2)定年後、大企業において約4割の人の給料が50%以上の減少
雇用者数が1000人以上の企業の状況を見てみると、
1、50%以上減少が37.1%
2、40~50%未満減少が22.7%
3、30~40%未満減少が15.8%
4、20~30%未満減少が10.9%
5、増加、変化せず、10%未満減少、10~20%未満減少が8.0%
となっています。
給料減少を見込んで、定年を迎える前に資産を計画的に増やすことができていた人は問題ないと思いますが、そうではない人は給料の大幅ダウンに対策を講じないと、老後破産や老後破綻になりかねません。では、そうならないように対策を考えてみましょう。
給料が大幅ダウンしたらどうするか
■収入を増やす
副業やアルバイトなどを行って収入を増やすこと、配偶者がいらっしゃる方は、妻などの配偶者に働いてもらうことを考えても良いかもしれません。
あるいは、給与の高い会社へ転職することも視野に入れても良いでしょう。さらに、独立起業してもうひと花咲かせることも選択肢の1つとして考えられますが、相当にスキルの高い人や現役時代に周到な準備をした人以外は大変リスクが高いと思います。
いまは人生100年時代なので、65歳までといわずに、さらに長く働いて給与をもらい続けることも検討してみても良いかもしれません。
■資産運用でカバーする
資産運用して収入減をカバーすることも考えましょう。ただし、FXや株式、不動産投資といったリスクの高いものには、現役時代にかなりの経験のある人は除いて、避けたほうが良いと思います。
せっかく貯めた貯金や退職金を、減らしてしまうことになるかもしれません。リスクの低いネット銀行の定期預金や国債を活用することをお勧めします。
もちろん、余裕資金のある方はリスクの高い金融商品に投資しても良いですが、あくまで余裕資金の範囲にとどめたほうが無難です。
■支出を減らす
節約をして収入減をカバーするのは常套手段です。食費や光熱費、携帯電話代、住宅ローン、生命保険などを見直すと良いと思います。ただし、節約し過ぎて、趣味をやめて生きがいをなくしたり、健康を害したりすると本末転倒ですので、バランスをとることも必要だと思います。
また、物価の安い地方で暮らす「田舎暮らし」という方法もあるかもしれません。いずれにしても、自分自身がどういった老後を送りたいのかをよく考えて、対策をすることが重要です。
(出典)
厚生労働省「高年齢者の雇用」
厚生労働省「高年齢者の雇用・就業の現状と課題Ⅱ 4.高年齢者の継続雇用の現状と課題」
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
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