みんなはいつまで働きたい? 働くシニアは仕事に満足している? シニアが仕事に不満な点は「賃金」
ファイナンシャルフィールド / 2020年3月24日 8時30分
2019年、金融庁は「人生100年時代」を踏まえて、老後30年生きると仮定すると2000万円の貯蓄が必要であると発表し、「老後2000万円問題」として話題となりました。 これを受けて現役世代の間でも、自分がいつまで働くべきなのか、いつまで働きたいのかが大きな関心となっています。そこで、その参考として、現在実際に働いているシニア世代が自分の仕事に満足しているのかどうか見ていきましょう。
シニア世代の仕事の実態とは?
日本労働組合総連合会(連合)は、2019年に45歳から69歳の有職者1000名を対象としたインターネットリサーチを行い、高齢者雇用に関するミドル世代からシニア世代の意識や実態を調査しました。
この調査のうち、60歳以上の400名に対する調査結果に注目すると、現在の仕事の内容は「事務・オフィスワーク」が全体の30.3%と最も多くなりました。また、一日の労働時間は42.0%の人が「8時間」と答え、平均は6.8時間という結果となり、1週間あたりの労働日数に関しては、「5日」と答えた人が最も多く、平均は4.5日となりました。
そして、1ヶ月の賃金について聞いてみたところ、その平均は18万9000円という結果となりました。雇用形態別に平均を調べると、正規雇用では33万1000円、正規以外の雇用形態では13万円となりました。
「働き方」に満足しているシニア世代は多い一方、課題は「賃金」
では、働くシニア世代は自分の仕事に満足しているのでしょうか。連合の調査によると、「働き方」や「労働時間」、「労働日数」や「仕事内容」では7割以上の人が満足していると回答し、シニア世代が自分の仕事におおむね納得していることがうかがえる結果となりました。
一連の調査の中で59歳以下の回答者の8割が、「60歳以上の従業員と上手くコミュニケーションが取れている」と回答していることから、シニア世代が職場の環境を居心地が良いと感じているであろうことが、「働き方」への満足度に繋がっていると考えられます。
一方、「働き方」への満足とは対象的に、「賃金」に満足していると回答したシニア世代は44.0%と半数以下にとどまり、シニア世代の多くが賃金には納得できていないことがわかる調査結果となりました。
シニア世代が60歳以降も働きたいと思う理由の8割近くが「生活の糧を得るため」であることを考えれば、十分な賃金が得られなければ満足できないことは当たり前といえるかもしれません。
「働き方」と「賃金」、どちらを優先する?
賃金に不満を抱えるシニア世代が多い一方で、前述のように正規雇用であれば1ヶ月の賃金の平均が33万1000円であり、賃金への不満はなくなるように考えられます。では、シニア世代になったときに正規雇用での働き方を希望している人はどれほどいるのでしょうか。
連合は、65歳以上も働きたいと考えている780名に65歳以降の働き方の希望を聞いてみたところ、「現役時代と同じ会社で正規以外の雇用形態で働く」ことを希望する人が最も多く、「現役時代と同じ会社で正社員として働く」ことを希望する人よりも多いことがわかりました。
このことから、シニア世代の働き方として「賃金」に大きな不安を抱えている人がたくさんいる一方で、「賃金」を多少犠牲にしてでも、「労働時間」や「労働日数」といった「働き方」を重視してシニア世代になったときの働き方を考えている人が多いことがうかがえます。
これからの時代、70歳まで働ける?
日本政府は現在、70歳までの就労機会確保に向けた施策の推進を行っています。これにより、人手不足の解消のみならず、賃金に不安を抱えるシニア世代も十分な賃金を得られるようになることが期待される一方、年金支給年齢が上がってしまうのではないかという懸念も広がっています。
また、70歳まで働けるようになったとしても、当然ながら、体が健康でなければ働くことはできません。働くことができなければ、年金支給年齢が上がるだけでデメリットしかなく、こういったことを踏まえてシニア世代の働き方を考える必要がありそうです。
「働き方」と「賃金」、自分の目的に合ったシニアとしての働き方を考えよう
少子高齢化が進む現代の日本において、65歳以上の就労が当たり前となる時代はすぐそこまで迫っているのかもしれません。
生活の糧を得るために働くのか、それとも、日々の生活を豊かにするため働くのか、「働き方」と「賃金」のどちらに重きを置いてシニア世代として働くのかを今のうちから考えておくことが、充実したシニアとしての生活を送る鍵になるかもしれませんね。
[出典]日本労働組合総連合会「高齢者雇用に関する調査」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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