ジュニアNISAは廃止。でも、これから使い勝手がよくなる?
ファイナンシャルフィールド / 2020年3月30日 9時15分
![ジュニアNISAは廃止。でも、これから使い勝手がよくなる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_73742_0-small.jpg)
昨年12月に2020年の税制改正大綱が発表されました。その中で、ジュニアNISAが2023年末をもって廃止されることが記載されています。理由は一般NISAやつみたてNISAと比べて人気のなさだといわれています。 それでも意外なことに、「廃止が決まったおかげで使い勝手がよくなる」「2023年まで投資する価値が出てきた」という声が上がっています。それはどういうことでしょうか? これから説明したいと思います。 ただし、2020年度の税制改正は今年3月の国会で可決されてから有効になります。成立はする見通しですが、まだ最終決定ではないということに注意して読んでください。
ジュニアNISAとは?
ジュニアNISAとは、2016年度から始まった未成年者を対象とした少額投資非課税制度です。
未成年者(0~19歳)を対象に、年間80万円分の非課税投資枠が設定され、上場株式や株式投資信託などの配当・譲渡益などが非課税対象となります。ジュニアNISAの非課税期間は5年間で5年終了後はロールオーバー*が可能でした。
この制度の問題点は子ども=未成年者が18歳になるまで、投資額が引き出せないことにありました。子どもが生まれたときから投資を始めたとしたら、18年間資金を据え置かねばなりません。小学校はおろか、中学、高校の入学金・授業料にも充当できないという使い勝手の悪さもあって、次の通り登録口座数が少ない状態で推移していました。
一般NISA口座数 約1162万口座
つみたてNISA口座数 約147万口座
ジュニアNISA口座数 約 33万口座
※金融庁「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査 (2019 年6月末時点)」より
*ロールオーバー
非課税期間の終了時、ジュニアNISA口座で保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移行(移管)すること。ロールオーバーすることにより、当初の非課税期間(5年間)が実質的に延長されることになる。
ジュニアNISAが廃止になると変わること。
今回ジュニアNISAが廃止になると、変わることは次の通りです。
1.従来まであった18歳までの払い出し制限が、廃止後の2024年以降は撤廃される。すなわち、2024年以降は、子どもが18歳未満でも払い出しができるようになる。
2.2023年末までの投資分は子どもが18歳になるまで非課税で保有できる。
18歳までの払い出し制限が撤廃され、払い出さなければ、18歳まで非課税の特典が継続されるということになるわけです。
今年生まれたばかりのお子さんがいた場合、今年からジュニアNISAを始めれば、80万円×4年=320万円を積み立てることができ、そのお子さんが4歳から18歳の期間でいつでも払い出すこと、また最長でお子さんが18歳になるまで、18年間非課税で預け続けることが可能になるので、今まであったジュニアNISAの制約が大きく改善されることになります。
それで「ジュニアNISAは廃止のおかげで、使い勝手がよくなる」という声が上がっているのです。
注意しなければいけないことは?
注意しなければならないこととして、次の点が挙げられます。
1.2024年以降、2023年までの投資分を一部払い出して、残りを非課税で保有し続けることができるか、または、払い出す場合は全額払い出さねばならないかが不明です。
税制改正大綱ではそこまではっきり書いていないので、税制改正大綱の成立後に定められる法令でどう規定されるかを確認する必要があります。
2.当然のことではありますが、2023年末でジュニアNISAが廃止された後は運用商品を変更することはできません。非課税商品として、そのまま値上がり・値下がりを許容するだけです。
まとめ
ジュニアNISAの廃止に伴う変化を説明しました。通常、廃止ならこれでおしまいなのですが、「使い勝手がよくなる」とこれからジュニアNISAに入ろうという動きが出てきた理由は、政府が廃止までに4年間の猶予を持たせたためです。意図してやったのかどうかは分かりませんが、面白いと思います。
[出典]
財務省「令和2年度税制改正の大綱の概要」(令和元年12月20日閣議決定)
財務省「令和2年度税制改正の大綱」(令和元年12月20日閣議決定)
金融庁「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査 (2019年6月末時点)」
大和総研「一般 NISA・つみたて NISA の期間延長が決定」
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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