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海外で診療を受けたとき、健康保険から給付はされるの?

ファイナンシャルフィールド / 2020年4月4日 1時30分

海外で診療を受けたとき、健康保険から給付はされるの?

新型コロナウイルスが世界で猛威を振るっています。もし、海外旅行中に病気やけがにより現地で診療などを受け医療費を払うことになった場合、日本の健康保険から給付が受けられるか見ていきたいと思います。

海外で支払った医療費の一部が戻ってくる海外療養費とは

日本で診療などを受けた場合には医療機関などの窓口へ健康保険証を提示することにより、かかった医療費のうち1割から3割負担で済みます。
 
では、海外旅行先で急な病気などにより現地の医療機関で診療を受けなければならなくなったときはどうでしょうか?
 
この場合は、もし健康保険証を持っていたとしても残念ながら海外では使用できません。そのため、海外現地の医療機関での支払いは全額自己負担になります。
 
「海外療養費」は、そのような海外の医療機関で医療費を支払ったときに請求できる給付金です。海外から帰国後に、加入している健康保険組合などに申請を行うことで、現地で支払った医療費の一部が海外療養費として戻ってきます。

かかった医療費はどのくらい戻ってくるのでしょう

例えば、健康保険の自己負担割合が3割の人が海外療養費を申請した場合に、海外の医療機関でかかった医療費の7割が戻ってくるかというとそういうわけではありません。
 
海外の医療費は各国でさまざまです。同じ治療でも医療費が同じとは限りません。そのため、海外療養費は日本で同じ治療などを受けた場合の医療費との比較をもとに計算されます。
 
海外療養費の計算では、「海外の医療機関で支払った医療費」と「国内で同じ治療を受けた場合の医療費」のどちらか低い方から自己負担分を差し引いた金額が海外療養費としての支給額となります。
 
健康保険の自己負担割合が3割の人で、海外での医療費(現地で実際に払った額)が50万円だった場合の2つのケースを見ていきます。
 
【ケース1 海外での医療費(50万円)> 国内での医療費(40万円)】
国内の医療費の方が低いので、国内での医療費を基準に海外療養費を計算します。
 
国内での医療費 40万円
自己負担分   40万円の3割 = 12万円
海外療養費   40万円(国内での医療費)- 12万円(自己負担分)= 28万円
 
実際の総負担額
50万円(現地で実際に払った額)-  28万円(海外療養費)= 22万円
 
【ケース2 海外での医療費(50万円)< 国内での医療費(60万円)】
海外の医療費の方が低いので、海外での医療費を基準に海外療養費を計算します。
 
海外での医療費 50万円
自己負担分   50万円の3割 = 15万円
海外療養費   50万円(海外での医療費)- 15万円(自己負担分)= 35万円
 
実際の総負担額
50万円(現地で実際に払った額)-  35万円(海外療養費)= 15万円
 
なお、外貨で医療費が支払われた場合は、支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いて円に換算し支給額を算出します。

給付対象にならないものがある?

以下のような場合は海外療養費の給付対象とならないので注意が必要です。
 
【給付対象にならない例】
・日本国内で保険適用となっていない医療行為
・日本国内で治療を受けることが可能なのに海外へ渡航し治療を受けること
・美容整形やインプラントなど
・業務上・通勤途上の災害による病気やけが

海外療養費の申請をするためには?

海外の医療機関で治療内容の証明書(診療内容明細書)と医療費の明細書(領収明細書)を受け取る必要があります。帰国してから海外の医療機関にそれらを依頼するのは大変です。
 
そのため海外旅行などをするときは、事前に加入している健康保険組合などから用紙を手に入れて、万が一の場合は現地で記入してもらえるよう一緒に持っていきましょう。
 
健康保険組合に申請をする際には、一般的には療養費支給申請書と日本語の翻訳文を添付した診療内容明細書と領収明細書、領収書の原本、パスポート(渡航歴のわかるもの)などが必要となります。申請期限は海外で支払った日の翌日から起算して2年です。

まとめ

海外療養費の申請には一部書類に翻訳文添付が必要など、少しハードルが高い部分がありますが、詳細などは加入する健康保険組合などに確認しながら手続きを進めましょう。
 
なお、海外療養費は民間の海外旅行保険などから保険金を受け取っても減額の対象とはなりません。ただし、海外旅行保険と併用できるのは現地で医療費を立て替え払いした場合に限ります。
 
海外旅行保険のキャッシュレスサービスを利用すると、海外療養費の申請に必要な医療費の領収書が発行されないため注意が必要です。
 
海外の医療費は高額になる場合があるため、国内の医療費との差が大きい場合は自己負担も高額になってしまうことも考えられます。そのため海外旅行保険の利用も検討するといいでしょう。
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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