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デジタル遺産から考える終活のやり方

ファイナンシャルフィールド / 2020年4月18日 9時30分

デジタル遺産から考える終活のやり方

近年、私たちの生活は、スマートフォン(以後スマホと表記)やインターネットの発達により、大変便利になりました。   しかし、本人に万が一のことがあった場合、それらのデジタル遺産が適切に管理されていないと、残された遺族はその整理に大変な思いをすることになります。今回は、意外と見落としがちな、デジタル資産の終活についてお話ししたいと思います。  

デジタル資産とは

デジタル資産は、Web上のデータ、金融関係のオンライン口座、ネットショッピングや有料サービスのアカウントなどがあります。それらのサービスはすべてスマホやパソコンなどを通して利用します。表1はそれらの代表的なものの一覧です。
 

スマホの起動パスワードはエンディングノートに

最近は、高齢者でもスマホを利用している方が多くなってきました。キャッシュレス決済でも、スマホは欠かせないものとなりつつあります。
 
また、キャッシュレス決済や金融機関の多くは2段階認証を採用しているため、IDとパスワードだけではログインできないことが多々あります。2段階認証の多くはスマホの機能を利用しているため、本人のスマホが使用できないと遺族は何もできなくなってしまいます。
 
このように、スマホはさまざまなデジタル資産の認証機能を提供していますので、起動パスワードの管理は重要です。スマホの起動パスワードがわからないと、これだけは専門の業者でもリセットすることができません。
 
そのため、デジタル終活の一番大事なこととして、スマホの起動パスワードをエンディングノートに書いておくことをお勧めします。エンディングノートであれば、パスワードを変更した時にも簡単に書き換えることができます。
 
スマホの起動パスワードがわかれば、遺族は指紋などの生体認証を解除することができます。また後述のように、いろいろなアカウントのパスワードがわからなくなった場合、スマホを使用してパスワードのリセットをすることも可能です。
 
遺族はこのようなデジタル遺産の整理のために、しばらくはスマホの契約を解除しないほうが良いでしょう。携帯料金がもったいないからとすぐに解約してしまうと、電話番号を利用したショートメッセージが受け取れなくなり、デジタル遺産の整理ができなくなる可能性があります。

金融関連の情報もスマホで管理

デジタル資産の中には、金融関係のような重要なものも含まれています。最近は、クレジットカードも利用明細を電子メールで通知するところが増えてきました。
 
またネット証券やネットバンクは通帳がなく、いろいろな通知も電子メールを利用しているため、万が一の場合にその存在を家族が知らないと大変なことになります。
 
今までの終活といえば、エンディングノートなどに金融機関と口座番号を書いておくという方法でしたが、その方法ではどうしても漏れが出てくる恐れがあります。スマホのロックを遺族が解除することができれば、デジタル遺産の存在に気づき金融機関に相談できます。

各種サービスのパスワードもスマホで管理

いろいろなサービス(デジタル資産)を使用するために必要なのが、本人であることを確認するためのIDとパスワードです。
 
日々増え続ける新しいサービスを利用するために、新しいアカウントIDとパスワードが増えていきます。それらはもはや人が管理できる限界を超えています。
 
結果として、パスワードの使いまわしや、覚えやすいパスワードを使用している方も多いようです。そのことによりハッキングの被害に遭うリスクが非常に高くなります。
 
パスワードの使いまわしを防ぐには、できるだけ2段階認証機能やスマホのパスワード記憶機能を使うようにしましょう。スマホの起動パスワードとロック解除のパスワードさえ厳重に管理すれば、あとのパスワードは覚えておく必要がありません。
 
各種サービスのパスワードがわからくなってしまった場合、ほとんどのサービスは、登録しているメールアドレスやスマホのショートメールを使用して、パスワードをリセットすることが可能です。
 
ショートメールを受け取れるよう、各種サービスのアカウントにスマホの電話番号を登録しておきましょう。こうすることで、本人だけでなく遺族もそのスマホでパスワードをリセットすることが可能になります。
 
また、通常使用している電子メールはスマホで確認できるようにしておきましょう。ほとんどのメールは、スマホに登録することで見ることができるようになります。各種ポイントや取引、請求などの重要な通知が届きますので、遺族がそれを見ることで取引があることに気づくことができます。
 
唯一の問題は、遺族に見られたくないメールや写真などを全部見られてしまうことです。どうしても遺族に見られたくないメールなどがある場合は、デジタル遺産用とは別のスマホを用意して、本人以外は解除できないようにしておくのも1つの方法です。

不要なアカウントやサービスは解約

いろいろなサービスの中には有料のものもあります。
 
知らない間に毎月、または毎年口座から引き落とされていたり、クレジットカードに請求が来ていたりする場合があります。特に初年度は会費無料とか、最初の3カ月は無料などのサービスは注意が必要です。いつの間にか、月額料金や年会費が請求されている場合があります。
 
まずは、預金通帳とカードの利用明細を、過去1年分確認しましょう。身に覚えのない不明な請求金額が見つかった場合は、たとえ小額でもその請求が何かを調べ、不要な契約は解約しておきましょう。遺族がそれらの解約手続きをするのは大変です。

まとめ

最近はデジタル遺産用のアプリも徐々に出てきましたが、まだまだ一般的ではありません。今回ご紹介しましたデジタル資産の終活のポイントは、今すぐできるスマホの活用です。
 
各種サービスのパスワード管理は、できるだけ2段階認証機能やスマホのパスワード記憶機能を使うようにしましょう。そしてエンディングノートに、スマホの起動パスワードを書いておきましょう。
 
遺族がそのスマホのロックを解除できれば、デジタル遺産の存在を知ることができるとともに、ほとんどのサービスが使用できるようになり、デジタル遺産の整理がしやすくなります。
 
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)

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