【おさらい】進みつつある「テレワーク」。それって、どんなことだった?
ファイナンシャルフィールド / 2020年4月22日 9時10分
「テレワーク」という言葉を聞く機会の多い昨今です。新型コロナウイルス感染拡大問題のため導入せざるを得ない状況も、いやおうなく進んでいます。 会社の自席以外の場所でパソコンや携帯電話などの電子機器を使いながら働くようなイメージがあり、働き方改革の大きな流れの中でも脚光をあびています。その内容をおさらいしてみましょう。
「テレ」のもともとの意味は
「テレ」と聞くと、電話=テレフォン(telephone)や電報=テレグラム(telegram)が思い浮かぶかもしれません。しかし「tele」は、もともと「離れた場所」を意味するもので、いきなり電子機器等を表わしているわけではありません。
日本テレワーク協会のサイト(※1)では、テレワークを次のように説明しています。
・テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。(「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語)
・働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つに分けられる。
(1)在宅勤務
自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、ファクスで連絡をとる働き方。
(2)モバイルワーク
顧客先や移動中に、パソコンや携帯電話を使う働き方。
(3)サテライトオフィス勤務
勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方。一社専用で社内LANがつながるスポットオフィス、専用サテライト、数社の共同サテライト、レンタルオフィスなどの施設が利用され、都市企業は郊外にサテライトを、地方企業は都心部にサテライトを置く。
「テレワーク・デイズ2020」が実施される予定でしたが……
もともと、2020東京オリンピック・パラリンピックの会期中の交通混雑緩和を目的として、関係府省・団体が連携して「テレワーク・デイズ(デイ)」が2017年から実施されていて、2019年には全国で2887団体・約68万人もの規模の参加がありました。
大会本番に向けて1月29日に公表された「テレワーク・デイズ2020」の実施方針(※2)では、全国で約3000団体以上の参加、都内の企業などについては従業員の1割のテレワークなどの実施、そして都心の大企業などにはそれ以上の大規模実施を呼びかける内容となっていました。
しかし、東京オリンピック・パラリンピックの開催延期にともない、今年分の内容見直しや来年分の追加などが予想されます。
テレワークの効果とは
テレワークの効果はいろいろとありますが、先ほどのサイト(※1)では、次の7つにまとめています。
(1)事業継続性の確保(BCP)
(2)環境負荷の軽減
(3)生産性の向上
(4)ワーク・ライフ・バランスの実現
(5)優秀な社員の確保
(6)オフィスコスト削減
(7)雇用創出と労働力創造
テレワークの導入により数字に表れやすい効果は、通勤時間が縮減できることです。この点に関して、2つのシンクタンクのレポート(※3、※4)では、年間で【3500億円】や【約4300億円】といった数値が試算されています。
試算の前提は少し違いますが、通勤時間を労働時間に転換することでざっくり年間4000億円前後もの経済効果が期待できる状況のようです。
まとめ
テレワークは、企業に、働く人に、そして社会全体にとっても、いろいろな効果やメリットをもたらします。企業でのテレワークの導入率は【在宅勤務29.9%、モバイルワーク56.4%、サテライトオフィス勤務12.1%】といわれていました(※5)が、今後さらに増えていくことが予想されます。
一方で、テレワークにはなじまない仕事も数多くありますし、テレワーク自体のルールや環境の整備、働き方の意識改革、労務管理、社外での情報セキュリティ管理など課題も決して少なくないようです。
通勤をして、決まった場所で決まった時間を働く。そんな旧来のワークスタイルは、いずれ過去のものになっていくのでしょうか。
[出典]
(※1)一般社団法人日本テレワーク協会「テレワークとは」
(※2)総務省「「テレワーク・デイズ2020」実施方針の決定について」(経済産業省、厚生労働省、国土交通省も同時発表)
(※3)株式会社第一生命経済研究所「テレワークの経済効果」
(※4)みずほ総合研究所株式会社「テレワークの経済効果」
(※5)総務省「平成30年版 情報通信白書のポイント」 ~「企業におけるテレワーク利用~広がるテレワーク利用」
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
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