高層マンションの固定資産税・相続税を見直し。高層階は増税、低層階は減税で「タワマン節税」に待った!
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月19日 7時50分
価格は高いのに評価額は同じ 居住用高層建築物、つまり高層マンション(タワーマンション)は、1999年の建築規制の緩和により、都市圏で増え続けています。現在、マンションの固定資産税や相続税の算定基準となる固定資産税評価額は […]
価格は高いのに評価額は同じ
居住用高層建築物、つまり高層マンション(タワーマンション)は、1999年の建築規制の緩和により、都市圏で増え続けています。現在、マンションの固定資産税や相続税の算定基準となる固定資産税評価額は、土地の公示価格や建物の時価などを参考にしたマンション1棟分の評価額を、全室の専有面積で割ってあん分しています。つまり、同じ専有面積であれば高層階でも低層階でも同じ評価額となるのです。ところが、取引価格は、高層階ほど高くなるのは周知の事実です。一般財団法人資産評価システム研究センターの調査によると、高層マンションの最上階の分譲価格は、床面積当たりの平均で、最下階の約1.46倍となっています。
節税対策としての高層階マンション購入
ここに目をつけた人たちがいます。富裕層のなかには、同じ金額を現金で持っているよりも、高層マンションの高層階を購入して相続するほうが、ずっと相続税がかからないのです。利便性がいい場所にあり、ランドマークになっているような高層マンションの高層階は、売却しても購入時ほどの価格で売れることも多く、資産価値もあります。しかも、高層マンションは戸数が多いので、あん分も、土地の部分に関しては低層マンションよりも割安になるのです。こうして、節税対策として高層マンションの高層階を購入する人がでてきました。高い価格にもかかわらず、高層階がどんどん売れているのです。平成27年に相続税の引き上げがなされてからは、この「タワマン節税」がお金をたくさんもっている方々にさらに注目されています。こうした富裕層にしかできない節税対策に批判の声が上がり、また不公平感を是正するために検討され、税制改革大綱に具体的に発表されたのが「階層別専有床面積補正率」です。今までのあん分の仕方を、これによって補正するというもので、以下がその内容になります。
発表された補正率とは?
高さが60mを超える居住用超高層建築物では、固定資産税(都市計画税)を、階層別専有面積補正率によって補正します。1階を100とし、階が1増すごとに、これに10を39で除した数を加えた数値とする。??? なんだかキツネにつままれたみたいですね。「除する」とは割ることですから、例えば2階に住んでいるとなれば、100+10/39✕(2-1)=100.26。つまり、例えば同じ100㎡という床面積を専有していても、2階の人は100.25㎡の部屋に住んでいるというように補正していきます。P階に住むならば、100+0.26✕(P-1)、つまり、40階に住む人は、同じ床面積の1階の人よりも一割広い部屋に住んでいることになります。これらを全て足してから、それぞれの補正率で補正された専有面積であん分していくので、マンション全体としての税額は変わらず、下層階ほど減税、上層階ほど増税となるわけです。
ただしもしも、区分所有者全員が申し出た場合は、この方法ではなく申し出の割合に従うこともできます。この補正率は不動産取得税にも適用されますが、まだまだ、階による販売価格の差には、この補正率では届いていないという批判の声もきかれます。
現在すでに高層階に住んでいる住民からの批判を避けるため、平成30年1月1日以降に引き渡す新築物件が対象。ただし引き渡しが来年でも、今年4月1日以前に売買契約をしたものは除かれます。今年は駆け込み購入などもみられるのかもしれません。もしかしたらそれを見込んだ高層階の高騰などもあるのかも。
憧れのタワマン。居住階や専有面積、向きなどで、同じマンション内で格差・格付けが生まれているという実態が、昨年10月からのTBSのドラマでも取り上げられ話題となりました。今後は購入金額以外にも、いろいろと考慮すべき点が増えそうです。
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