確定拠出年金制度の基礎知識を解説
ファイナンシャルフィールド / 2020年4月30日 10時40分
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社会制度が複雑化し、超高齢化社会を受けて制度の改正が頻繁に行われるようになっている現在、暮らしとお金について、リテラシーを高めておく必要があると感じています。 特にファイナンシャル・プラニング上、老後の生活設計をどのように組み立てていくかについて、基本的な知識とスキルを身につけることが求められています。その最たる例として「確定拠出年金制度」があります。基本的な内容を確認していきましょう。
確定拠出年金制度の概要
確定拠出年金制度は、公的年金制度を補完する自助的な制度と位置づけられています。制度の内容としては、拠出した掛金をもとに、定期預金や個人年金保険、投資信託などで貯蓄・運用し、一定の年齢に達したら年金、もしくは、一時金として給付を受けるといったものです。
簡単にいうと、「公的年金以外の老後の生活保障は自分で努力して準備する」という目的ではじまった制度です。
確定拠出年金制度には、次のようなメリットがあります。加入の際は、「途中で解約できない」、「60歳まで引き出すことができない」といったデメリットも考慮するようにしてください。
(1)掛金が全額所得控除される
確定拠出年金制度を活用し貯蓄・運用する場合、掛金は小規模企業共済等掛金控除として全額、所得控除されます。結果的に、会社員などであれば、所得税などが節税され、還付される可能性があります。
(2)運用益が非課税
通常、定期預金で得た利息や投資信託からの分配金、売却益などのいわゆる運用益に対しては、源泉分離として、20.315%の税率が適用されます。
しかし、確定拠出年金制度を活用した場合、運用期間中の運用益に対しての課税は行われず、非課税で貯蓄・運用できるようになっています。
(3)受け取るときも大きな控除がある
確定拠出年金を受け取る場合、3つの方法があります。年金として受け取る方法、一時金として受け取る方法、そして、年金と一時金を組み合わせて受け取る方法です。
年金として受け取る場合は、所得税制における公的年金等控除が、一時金として受け取る場合は退職所得控除が差し引かれるため、所得税の納付が軽減される仕組みになっています。
確定拠出年金では、掛金に対しても運用益に対しても、そして受け取る年金や一時金に対しても、所得税の軽減が図られているのが特徴です。老後の生活資金を準備する方法としては、節税効果を含めてメリットの大きい貯蓄・運用方法であるといえます。
次に、確定拠出年金の加入対象者ですが、企業型の場合は従業員、個人型(iDeCo)の場合、自営業者や会社員、公務員、専業主婦も、加入できるようになっています。
そして、掛金は企業型の場合、原則、事業主が拠出するようになっています。企業型確定拠出年金の規約に定めた場合は、加入者である従業員も拠出することができます。
これに対し、個人型(iDeCo)の場合、掛金を拠出するのは、原則、加入者です。中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)を利用する場合は、事業主の拠出も認められるようになりました。
運用商品については、定期預金、個人年金保険、投資信託などから選択する必要があります。拠出限度額の範囲内で、どの金融商品をいくら購入するといった判断をすることになります。
最後に給付ですが、通常、年金として受け取る方が多いと思います。規定によっては一時金で受け取ることもできる場合があります。
現行の制度では、原則、60歳からの受給となっていますが、5年から20年の間での有期年金や金融機関によっては終身年金として受け取ることができるようになっています。ただし、加入期間に応じて、受給開始年齢がことなるため、事前に確認したうえで加入を検討しましょう。
確定拠出年金制度については、基本的な知識としては、おおよそ、このような点が要になると思います。ポータビリティといって、例えば、転職などをした際でも資産を移し替えることができるため、使い勝手としては良いと思われます。
まとめ
細かい制度の理解は難しいかもしれません。しかし、暮らしとお金についての金融リテラシーを磨くうえで、確定拠出年金制度に関連する知識やスキルは、今後、より重要性が増してくると思います。改正も含め、ときおり、チェックするようにしていきましょう。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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