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2020年4月から養育費を払わない人の財産状況の調査がしやすくなりました

ファイナンシャルフィールド / 2020年5月1日 10時15分

2020年4月から養育費を払わない人の財産状況の調査がしやすくなりました

2020年4月から改正民事執行法が施行され、養育費を支払わない人(債務者)の財産状況をより調査しやすくなりました。   強制執行の申し立てには、債務者の財産を特定する必要がありますが困難でした。改正民事執行法により、養育費を払わない人の預貯金口座や勤務先の特定が容易になり、差し押さえしやすくなりました。   養育費の取り決めをしても未払いで受け取りをあきらめていた方には朗報です。主な改正点をお伝えします。  

養育費の支払い状況

離婚によって親権者でなくなった親であっても、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な、衣食住の経費、教育費、医療費などの養育費の支払義務を負います。しかし、現実には、養育費が支払われないケースが多くあります。
 
養育費を取り決めている家庭の割合について見てみましょう。厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、養育費を取り決めている家庭の割合は、母子家庭で 42.9%、父子家庭で 20.8%となっています。
 
また、同調査によると、養育費を受け取っている割合は、母子家庭で 24.3%、父子家庭では3.2%です。
 
このうち養育費の取り決めをしている場合に養育費を受け取っている割合は、母子家庭で53.3%、父子家庭で14.3%であるのに対して、取り決めをしていない場合の養育費を受け取っている割合は母子家庭で2.5%、父子家庭で0.0%という結果になっています。

養育費の支払いが履行されない場合

養育費の支払いが履行されない場合、公正証書で事前に取り決めていれば家庭裁判所に強制執行の申し立てをして、動産や不動産の差し押さえなどができます。
 
公正証書がない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てや履行勧告の申し出をしたのちに、強制執行の申し立てができます。公正証書で事前に取り決めをしておいたほうが良いでしょう。
 
強制執行の申し立てには債務者の財産を特定する必要があります。相手の財産がわからないときには「財産開示手続」が利用できます。
 
「財産開示手続」は、確定判決などの債務名義を持つ債権者(養育費を請求する人など)が裁判所に申し立てをすると一定の要件を満たす場合、財産開示手続の実施を決定して、債務者(養育費を払わない人など)を裁判所に呼び出します。
 
呼び出しを受けた債務者は、裁判所に出頭して自己の財産がどのくらいあるのか裁判官の前で陳述しなければなりません。

改正民事執行法 主な改正点

●財産開示手続の見直し

改正前は手続きの申立権者が、確定判決などを持つ債権者に限定されていましたが、改正後では申立権者の範囲が拡大されました。公正証書により金銭(養育費など)の支払いを取り決めた人も利用が可能になりました。
 
また改正前は、債務者の不出頭や虚偽陳述をしても30万円以下の過料でしたが、改正後は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金の刑事罰となり、罰則が強化されました。

●債務者以外の第3者からの情報取得手続を新設

財産開示手続の見直しに加え、債務者以外の第3者からの情報取得が可能になりました。
 
債務名義を持つ人は、裁判所に申し立て、債務者の財産に関する情報のうち、1.預貯金等については銀行等に対し、2.不動産については登記所に対し、3.勤務先については市町村や年金事務所に対し、強制執行の申し立てに必要な情報の提供を命じてもらうことができます。
 
このように裁判所を通じて債務者の財産に関する情報を取得することができるようになりました。
 
基本的に、財産開示の手続きをとってから、第3者からの情報取得手続を行うという流れになります。しかし、財産開示の手続きをとっている間に預貯金を隠されるおそれがありますので、預貯金等に関しては財産開示手続を先行してする必要がないことになっています。
 
(参考)厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

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