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新型コロナの影響でお勤めの会社を休む場合の「雇用調整助成金」ってなに?

ファイナンシャルフィールド / 2020年5月2日 5時50分

新型コロナの影響でお勤めの会社を休む場合の「雇用調整助成金」ってなに?

この記事は、令和2年4月17日時点の情報をもとに執筆しています。   新型コロナウイルス感染拡大にかかる緊急経済対策として「雇用調整助成金」が注目されています。端的にいうと、雇用主が社員・従業員に休業手当を払って休ませた場合、国が、事後的に事業主に雇用調整助成金を支給するという制度です。   雇用調整助成金は、社員・従業員に対して国が支給するものではありません。つまり、制度を活用するかどうかは、あくまでも事業主の判断に委ねられています。  

雇用調整助成金ってなに?

雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。雇用調整助成金は、通常、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、事業主が社員・従業員の雇用を守るために検討する制度の1つです。
 
例えば、2008年に起こったリーマンショックによる経済危機では、急激に経済環境が悪化し、経営が厳しくなる会社が増えました。
 
会社としては、社員・従業員を雇い続ける必要があるため、就業規則などにもとづき休業手当を払い雇用を維持しようとします。このとき、支払った休業手当について、国が会社に対し助成するものを雇用調整助成金といいます。
 
通常、雇用調整助成金は、雇用保険に加入している社員・従業員(雇用保険の被保険者)が対象ですが、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、特例措置が設けられるようになっています。

対応期間はいつまで?

緊急対応期間は、令和2年4月1日から6月30日まで
※要件の緩和を受けて、休業等の初日が令和2年1月24日以降に遡って適用されます。

対象となる事業主は?

新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主

雇用調整助成金は、通常、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主です。特例措置を受け、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける、全国、すべての業種の事業主が対象になっています。

助成率は?

助成率においても、通常、中小企業の場合、2/3、大企業の場合、1/2が、特例措置では、中小企業で4/5、大企業で2/3となっています。
 
ただし、解雇などを行わない場合は、中小企業で9/10、大企業で3/4と要件が緩和されています。それでは、中小企業が社員・従業員の解雇などを行わず、休業を実施した場合の計算式を確認してみましょう。
 
雇用調整助成金=休業手当相当額×9/10 ※限度額:対象労働者1人1日当たり8,330円
 
休業手当相当額は、事業所の前年度の1人1日当たりの平均賃金額に事業所の「休業手当等支払い率」を乗じて算出します。休業手当等支払い率は、労働基準法にもとづき60%以上と定められているため、先ほどの計算式を簡単に分解すると、次のようになります。
 
雇用調整助成金=休業手当×60%以上×9/10
 
雇用調整助成金の計算については、ほかの計算条件もあり複雑です。基本的なこととして、このような計算をもとに導き出されるという程度の理解でかまいません。
  
社員・従業員として理解しておく必要のあることは、雇用調整助成金の算出が、お勤めの会社の就業規則で定められている休業手当をもとにしているという点です。このため、休業手当の支払い率がお勤めの会社で何%に設定されているかどうかを確認しておいた方がいいように思います。
 
労働基準法では、原則、休業手当の支払い率は60%以上と定められているため、70%でも、80%でも、90%でも、100%でも、労使の合意にもとづいていれば良いとされています。
 
支払い率が高い方が家計にとっては助かるとはいえ、経営資金が潤沢ではない中小企業などが休業手当の支払い率を100%にしていると、資金繰りの面で大きな痛手となります。
 
ましてや、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、社員・従業員を解雇しない中小企業事業主に対しては、休業手当相当額が満額ではなく、90%の戻り支給となっています。なおさら雇用調整助成金を活用すべきかどうか悩ましいのが実情です。
 
社員・従業員としては、自分で自分の収入補償を行うことができないため、もどかしさを感じるかもしれません。しかし、雇用調整助成金は、あくまでも休業手当を払った事業主に対しての助成金。会社の事情も含め、助け合いという意味で理解する必要があるといえるでしょう。
 
社員・従業員の方にとっては、雇用調整助成金の理解はこの程度でかまいませんが、事業主が知っておく必要のあるポイントを簡単にまとめてみます。

支払限度日数は?

通常、雇用調整助成金の支払限度日数は1年間で100日ですが、緊急対応期間においては、限度日数とは別枠で利用することができます。

雇用保険に入っていない人の場合は?

通常、雇用調整助成金の対象者は雇用保険に加入している人(雇用保険の被保険者)ですが、特例措置においては、雇用保険に入っていない人でも対象になっています。

雇われてから6ヶ月経ってない人は?

通常、雇用調整助成金は、社員・従業員が雇用保険に6ヶ月以上加入していなければならないという要件がありますが、特例措置のもとではこの要件が撤廃されています。このため、新卒で就職し、継続して雇用された期間が6ヶ月未満の社員・従業員でも対象となります。

クーリング期間ってなに?

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主が、過去に雇用調整助成金を受給したことがある場合でも、その満了日から1年が経っていなくても対象になります。

その他

ほかの要件もいろいろとありますが、例えば、短時間休業や休業規模が緩和されたり、残業の相殺が停止されたり、生産指標や雇用量などの要件も緩和されています。詳しくは、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ雇用調整助成金の特例を拡充します」をご参照ください。

まとめ

雇用調整助成金は、会社などにお勤めの方にとっては、本来、家計収入を維持するために準備されている制度です。しかし、内容が複雑であるため、事業主にとっても理解しがたく、どのように判断したらいいか悩ましいのも実情かと思います。
 
お子さんが通っている小学校が休校になった場合、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」を活用すべきかどうかも含め検討します。
 
現実的にどちらを選択すべきかは、キャッシュフローの状況を見ながらの判断になります。最近筆者が法人企業の事業主から受けたご相談では、社会保険労務士と協力して対応しました。
 
事業主の方にとっては、社員・従業員の生活をしっかりと考えていきたいということでしたので真剣に向き合っていただけましたが、必ずしも、すべての事業主がそうであるとは限りません。
つまるところ、雇用調整助成金も、活用を事業主に委ねられている制度であるといえます。
 
出典:厚生労働省「雇用調整助成金」
   厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ雇用調整助成金の特例を拡充します」
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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