高齢で亡くなった親の借金が発覚。そんな場合どうすればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2020年5月5日 10時15分
![高齢で亡くなった親の借金が発覚。そんな場合どうすればいい?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_76466_0-small.jpg)
高齢化により判断能力が衰えたり、情に厚いがゆえに借金を重ねてしまったりして、それが亡くなった後に発覚するという相続問題が増えています。 相続の際にそのような場面に出くわした場合、どうするのが正解なのでしょうか? また、それに対する予防策はあるのでしょうか?
高齢者の法的トラブルはなぜ続出する?
加齢によって物忘れが多くなったり、多少判断能力が低下したりしても、契約を結ぶことは可能です。
そのため、「亡くなった母親が莫大な借金をしていた」「亡くなった父が知り合いの保証人になっていた」といった法的トラブルが続出しているのです。
また、核家族化や家族関係の希薄化によって親子間での交流が減少し、高齢の親が一人暮らしをしているものの、普段の行動をあまり把握していないケースが増えてきていることもその理由の1つに挙げられます。
亡くなった後に借金や連帯保証人としての地位が発覚した場合はどうすればいい?
もし、亡くなった親に多額の借金や連帯保証人としての地位が発覚し、それを背負い切れない場合はどうすればいいのでしょうか?対応としては下記の3つが挙げられます。
しかし、どれもメリットとデメリットがあるため、その点を理解しておくことが重要です。
(1)相続放棄
相続放棄とは、その相続に初めから相続人とならなかったものとみなされる制度です(民法939条)。
そのため、相続放棄をすることで借金や連帯保証人の地位を親から受け継ぐことはなくなりますが、同時に親のもつプラスの財産を受け継ぐこともできなくなります。
相続人でないとされた結果、次の順位の相続人(亡くなった人の兄弟や孫など)に相続権が移動するため、その方たちも必要に応じて相続放棄などをする必要があります。
また、原則として、相続について知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きしなければ単純承認(プラスの財産もマイナスの財産もすべてまとめて相続すること)とみなされてしまいます(民法921条2項)。
(2)限定承認
限定承認とは、相続するプラスの財産の範囲内でマイナスの財産をも相続するものです(民法922条)。
ただし、相続人が複数人いる場合は全員で限定承認をしなければならなかったり、3ヶ月以内に財産の目録を作成して家庭裁判所で手続きしなければならないなど、手間のかかる方法ではあります(民法923条、924条)。
(3)あえてすべて相続(単純承認)する
単純承認による相続は、亡くなった人の権利と義務のすべてを相続人が相続するもので、特別な手続きを必要としません(民法920条)。
つまり、借金や連帯保証人となることの原因となった契約に問題があれば、その点を指摘して対抗することができるのです。
例えば、契約の原因が脅迫や暴力など不法な行為に基づくものであった場合や、利息の額が異様に高く、利息制限法に違反している場合などが挙げられます。
ただし、むやみに単純相続しても、法的に対抗できると思ったら実は対抗できなかったり、後々さらに隠れた負債が発見されたりと大変危険です。
安易な単純承認は絶対にしないでください。
どうすれば高齢者の散財や連帯保証人といった問題を防ぐことができる?
一番の対策は親と連絡を頻繁に取り、お互いに近況を報告し合い、何かあれば相談するようにすることです。
そうすることで、散財や怪しい契約を結ぶのを防ぐことができます。
頻繁に連絡を取り合うことで、仮に事後であったとしても早期に発見することができ、問題が大きくなる前に落ち着いて対処できます。
また、後見制度を利用することも効果的です。後見制度には法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度を利用することで、判断能力の度合いに応じて1人で行える法律行為を制限することができます。
判断能力が十分ある場合でも、任意後見制度を利用することで、将来の判断能力低下に備えて後見人となる人を自身で信頼できる人に頼んでおくことができます。
任意後見制度については、最寄りの公証役場にお問い合わせください。
相続問題は事前の対策が大切
借金の発覚や連帯保証人としての地位の発覚といった相続事件が年々増えています。大切なのは事前の対策です。
高齢のご家族とは頻繁に連絡を取り合ったり、元気なうちに任意後見人を選んでおくなど、日頃から話し合っておくことが肝要です。
執筆者:柘植輝
行政書士
関連記事
亡くなった親に借金が…相続しなきゃいけない?どう対応すればいいの?
借金を残して親が亡くなった……。限定承認すれば、負の遺産は引き継がなくて済むってホント?
隣の家のふところ事情 借金のある世帯が抱える平均額は1357万円
この記事に関連するニュース
-
富裕層の「認知症対策」…資産と家族を守る〈民事信託・成年後見〉の超キホン【相続専門税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月9日 11時15分
-
友だちの叔父さんは、財産を「後見人」が管理しているそうです。資産家なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月6日 0時0分
-
70代の父、突然の病で危篤に。元気な母には「認知症」の兆候が…長男と二男で「遺産分割」を進めることは可能か?【司法書士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月4日 11時15分
-
「新NISAで増やしたお金」を自分で使えるとは限らない…自分の財産を守るために知っておくべき"重要知識"
プレジデントオンライン / 2024年6月26日 10時15分
-
認知症になると銀行口座が凍結される?親が診断を受ける前にやるべき5つのこと
MONEYPLUS / 2024年6月23日 18時0分
ランキング
-
1「土用の丑の日」物価高でも…あの手この手の“うなぎ商戦” 大手スーパーの目玉は「超特大」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 19時59分
-
2小林製薬、会長と社長が辞任へ…「紅麹」サプリ問題の対応遅れで経営責任明確化
読売新聞 / 2024年7月22日 21時37分
-
3「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分
-
4世界最大級・ファンボロー国際航空ショー開幕…三菱重工など日本企業14社も出展
読売新聞 / 2024年7月22日 21時54分
-
5「最高益の会社」の株価が上がらない当然の理由 相場に影響を与えるのは過去のデータではない
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 16時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)