中小企業200万円、個人事業主100万円。「持続化給付金」の活用の意味を考える
ファイナンシャルフィールド / 2020年5月3日 5時50分
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この記事は、令和2年4月17日時点の情報をもとに執筆しています。 新型コロナウイルス感染症にかかる緊急経済対策として、国は、中小企業などに対し200万円、個人事業主に対して100万円の支給を検討しています。 「持続化給付金」と呼ばれるもので、事業主にとっては経営を維持・継続するために必要不可欠な制度といえます。この制度について、ポイントを確認していきたいと思います。
持続化給付金とは
新型コロナウィルス感染症の拡大により、特に大きな影響を受ける事業差に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を支給します。
持続化給付金は経済対策の一環で、管轄の省庁は経済産業省です。
ポイントは、給付金の使い道が限定されていないこと。このため、幅広い経営支援策と位置づけられます。
ただ、問題があるとすれば、売上の減少率という条件が厳しい点です。
新型コロナウィルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者
緊急経済対策が延長され、また、経済状況が回復するまでに長い時間がかかるだろうといわれています。売上が前年同月比で50%以上減少せず、事業を継続していかざるを得ない事業主も多く存在すると考えられます。
実際、地元の商工会の理事をしている傍ら、会員企業の事業主にヒアリングをしていると、売上が50%以上減っているという方よりも、それに満たない減少率の事業主の方が多いような印象を受けます。
国としては、これが中小企業や個人事業主に対する目いっぱいの直接給付かもしれません。しかしこのまま、1回きりの支援で終わってしまうと、数ヶ月後、事業の継続がままならない会社が少なからず出てくるでしょう。
対象となる会社などの範囲は?
持続化給付金を受けられる会社は、資本金が10億円以上の大企業を除く、次のような会社です。
◦中堅企業
◦中小企業
◦小規模事業者
◦フリーランスを含む個人事業者
◦医療法人・農業法人・NPO法人・社会福祉法人などの会社以外の法人
対象となる会社の範囲を見ると、一見、幅広く対象となっているように見えます。
しかし、これらの会社などに給付額を照らし合わせてみると、かならずしも十分な金額であるとはいえないことがわかります。
給付額
法人:200万円
個人事業者:100万円
※ただし、昨年1年間の売上からの減少分が上限
○売上減少分の計算方法
前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)
日本経済を支える会社の多くは中小零細企業です。中小零細企業の中には小規模事業者や個人事業者も含まれますが、たしかかに100万円が一時金として給付されるのはありがたいことだと思います。
しかし、このような事業者で、特に、社員・従業員を雇っているような会社の場合、給与・賞与の支払いや社会保険料・税の納付、水道光熱費や家賃などの固定費の支払いなど、経営にかかるさまざまなランニングコストだけで、この100万円は時を待たずして消えていく可能性があります。
ましてや、緊急事態宣言が発出された中、休業の要請を受けた会社も、そうでない会社も、事業の先行きが見通せない状況では、主に融資に頼らざるを得ない状況に晒されます。
このため、持続化給付金の位置づけは、減少率が50%以上の事業主にとっては、必然的に緊急経済対策のもと準備されている融資と、同時並行的に活用することを前提にしていると考える必要があります。
まとめ
持続化給付金についても、今行われている補正予算案の審議により微修正が加えられ、世に出てくる制度ですが、新型コロナウイルス感染症の影響が表れてから時間がかかりすぎていることを考慮すると、給付が始まるタイミングとしては非常に遅いと危惧されます。
事業主としては、持続化給付金は1つの単なる支援策と捉え、ほかの経済対策も活用し、この難局を乗り切る必要があるといえるでしょう。
出典:経済産業省「持続化給付金に関するお知らせ」
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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