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あなたが支払っている生命保険料の金額、どうやって決められているの?

ファイナンシャルフィールド / 2020年5月6日 23時15分

あなたが支払っている生命保険料の金額、どうやって決められているの?

生命保険文化センターが実施した「生活保障に関する調査」(個人調査)によると、1年間に支払う保険料は、男性で平均23.4万円、女性で平均16.8万円となっているそうです(※)。   平均の金額ではありますが、結構、大きな金額になります。では、この支払保険料の金額はどうやって決められているのかご存知でしょうか。  

支払保険料の金額は3つの利率で決められています。

私たちの支払う、生命保険の保険料の構成は、純保険料と付加保険料に分かれています。
 
純保険料とは、将来の保険金の支払いに充てられるもの、また、付加保険料とは、保険会社の運営するための経費に充てられるものです。そして、純保険料は「予定死亡率」と「予定利率」、付加保険料は「予定事業費率」によって決まります。
 
この3つの利率、「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」で支払保険料は決められるのです。そして、この3つの利率の、予定と実際の差によって利益が生じることがあります。この3つの利率の内容と、どうやって利益が生じるかを説明していきます。
 
・「予定死亡率」
過去の統計を基に、性別や年齢別の死亡者数を予測し、将来の保険金の支払いに充てるための必要額を計算するときに使われる死亡率のことです。
 
そして、実際の死亡率が予定死亡率よりも低くなった場合に利益が生じることを「死差益」といいます。
 
・「予定利率」
保険会社は支払保険料を運用しており、その運用利益を見込んで保険料が割り引かれています。この割引きに使用する利率が、予定利率です。
 
保険会社が運用成果を高く見込むと、支払保険料は安くなります。また、運用成果を低く見込むと、支払保険料は高くなります。
実際の運用収入が、予定利率で見込まれた運用収入よりも多くなった場合に生じることを「利差益」といいます。
 
また、この逆もあります。予定利率よりも実際の運用収入が少なかった場合は「利差損」が発生することもあります。
 
・「予定事業費率」
保険会社の運営にかかる諸経費の割合のことで、この経費をあらかじめ見込んで支払保険料の金額を決めています。
 
予定事業費率で見込まれた事業費よりも、実際のかかった事業費が少なかった場合に生じることを「費差益」といいます。
 
このように、保険料の金額は、3つの利率によって決められています。また、利益が生じる場合もあり、損失がある場合もあるわけです。
 

予定利率について、もう少し掘り下げてみます

「予定死亡率」は統計を基にしていますし、「予定事業費率」はある程度見通しを立てられます。では、「予定利率」はどのように決められていると思いますか。「予定利率」イコール「金融機関の金利」と思っておられる方も多いのではないでしょうか。
 
予定利率は、保険会社が支払われた保険料を運用するときに、契約者に約束する利率のことで、保険会社が契約時に決めています。契約時に決めたということは、「ずっとこの利率で運用します」ということです。
 
ここでまず知ってもらいたいのは、「予定利率」イコール「金融機関の定期預金等の金利」ではないということです。
予定利率とはあくまでも、保険会社が契約のときに約束し、保険会社が支払保険料を運用するときの利率のことなのです。
 
保険会社が予定利率を決める目安としているのが、金融庁が出している標準利率です。標準利率は、保険会社が契約者から預かった保険料を運用する際の目安となる利率です。
 
この標準利率より予定利率を高くすると、高くした分、保険会社の負担となるわけです。
 
この標準利率が2020年1月より0%となりました。(外貨建て保険、変額保険などを除く)
保険会社が予定利率の目安とする標準利率が「0」になったとすると、私たちが支払った保険料を運用する保険会社も、これからは契約するときに約束する予定利率を決めていくのが難しくなるのではないかと思います。
 

まとめ

以前のように、景気が良く予定利率も高く、経済が活動的なときなら、保険会社も支払保険料による運用で利益を見込むことが考えられたのでしょうが、今回お話してきたように、金融庁が出している「標準利率」が「0%」となると、保険会社も「予定利率」を契約時にお約束することが難しくなるのではないかと思います。
 
保険会社と契約するときに決められる予定利率が約束できないことになると、今後、支払保険料の値上げも考えられるかもしれません。しかしながら、最初に述べたように、「予定利率」だけで支払保険料は決められるものではありません。現在のような経済状況も加味して、ご自分のライフプランにあった保険を考えていく必要があるのではないでしょうか。
 
[出典]
(※)公益財団法人生命保険文化センター「生命保険の保険料は年間どれくらい払っている?」
 
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

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