退職金を受け取ると、どんな税金がかかる?
ファイナンシャルフィールド / 2020年5月12日 9時30分
会社に勤めた後、退職すると、会社の規定により退職金が受け取れる場合があり、在職期間や在職中の給与や役職によって、その金額が変わることもあるでしょう。その受け取れる退職金には税金がかかり、退職金の全額が受け取れないことがあります。
退職金についての税金
退職時に会社の規定によって支給される退職一時金、確定拠出年金や確定給付企業年金の一時金としての老齢給付金を受け取った場合は、退職所得として所得税の課税対象になります。
退職所得にかかる所得税は他の所得と分離して計算されることになりますが、課税対象となる退職所得に所得税率をかけて算出することになります(【図表1】)。また、これに別途復興特別所得税額が加算されます(所得税額×2.1%の額)。
勤続年数によって控除される
受け取った退職金のすべてが課税の対象となるわけではありません。課税対象となる退職所得は、受け取る収入(退職金)から退職所得控除額を差し引いてその2分の1をかけて計算します(【図表2】)。その退職所得控除額は【図表2】のとおり、勤続年数に応じて計算されることになります。
10年であれば400万円(40万円×10)、20年であれば800万円(40万円×20)、30年であれば1500万円(40万円×20+70万円×10)が控除されます。
勤続年数の1年未満の端数については1年に切り上げて計算することになりますので、例えば、15年7ヶ月勤務して退職した場合は、計算式の勤続年数は16年となり、40万円×16の640万円が控除額となるでしょう。
また、障害者控除の対象となる障害を負ったことによって勤務できず退職する場合は、これに100万円が加算されることになります。そして、控除後に残った額についても、そのまま税率をかけず、原則、控除後の額の2分の1の額に税率をかけることになります。
仮に、退職金が2000万円、35年5ヶ月勤務であれば、退職所得控除額は「40万円×20+70万円×16」の1920万円となり、その結果、退職所得は「(2000万円-1920万円)×1/2」で、40万円になります。
退職所得40万円に所得税率5%をかけた2万円が所得税、その2万円に2.1%をかけた420円が復興特別所得税となり、合計で2万420円の課税となります。もし、控除額の範囲内の退職金であれば、課税されないことになるでしょう。
確定申告の必要性の有無
実際に所得税がかかる場合、退職金を受ける際に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出している人については、退職金を支払う会社が所得税額および復興特別所得税額を計算し、退職所得の金額に応じた税額が源泉徴収されることになります。
その場合、退職金を受け取る本人は原則として確定申告は必要ありません。
一方、会社への「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人については、退職金等の支払金額の20.42%の所得税額および復興特別所得税額が源泉徴収されます。この場合、退職金を受ける本人が確定申告を行うことで、税額を精算することになります。
なお、所得税のほかに住民税の課税対象にもなります。退職所得の10%の額が住民税となり、退職金から差し引かれることになります。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
関連記事
退職金にも税金はかかる だからこそ、事前に知っておきたい退職金の税金
退職金の受け取り方「一括」と「年金」どちらがお得なの?
退職金や確定拠出年金といった退職手当、どう受け取る?かかる税金はどう変わる?
この記事に関連するニュース
-
個人年金を受け取るときに、源泉徴収される人とされない人がいると聞きました。この違いは何ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月24日 23時0分
-
「所得税が0」なのに住民税が課税されるのはなぜ?
オールアバウト / 2024年12月17日 20時30分
-
iDeCoの一括受け取りは要注意! 退職所得控除を最大限使うために注意してほしいこと
MONEYPLUS / 2024年12月11日 7時30分
-
年末調整で生命保険の控除の提出がギリギリになり焦りました。保険料控除を申告しそびれた場合いくら損するのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月29日 22時20分
-
会社から勤続20年の表彰として「5万円分の商品券」をもらいました。現金ではない場合は税金がかからないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月27日 1時40分
ランキング
-
112月末まで!今年の「ふるさと納税」注意したい点 定額減税の影響は? 申し込む前に要チェック
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 13時0分
-
2女川原発、営業運転を再開=福島第1と同型で初―東北電力
時事通信 / 2024年12月26日 18時46分
-
3なぜスターバックスの「急激な拡大」は失敗に終わったのか…成長を一直線に目指した企業の末路
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 15時15分
-
4昭和的「日本企業」は人事改革で解体される? 若手社員への配慮と、シニアの活性化が注目される背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 5時55分
-
5焦点:日産との統合、ホンダから漏れる本音 幾重のハードル
ロイター / 2024年12月26日 14時46分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください