今回のコロナ禍で、じっくりと読む機会が増えたかもしれない週刊誌。「定期購読」した場合はおトクなの?
ファイナンシャルフィールド / 2020年6月6日 9時15分
新型コロナウイルス感染拡大問題による外出自粛要請が長く続き、日常生活のシーンやリズムも様変わりしました。 例えば、紙媒体の新聞や雑誌が身近な存在だった人。在宅テレワークになれば通勤もなくなり、朝夕の車中や職場でこれらを読んでいた機会もお預けです。図書館で閲覧することもできていたのに、こちらも一時休館になってしまいました。
紙の媒体には逆風の環境
緊急事態宣言が解除され、こうした一時的なシーンも解消されていくでしょうが、外出自粛の“非日常的“な時期に自宅でいつもよりじっくりと活字に目をとおすようになった人も少なくないと思います。
こうしたときに紙媒体を手に入れるのに、新聞は宅配が継続しました。雑誌や家読み以外の新聞を通勤の際に駅売りなどで買っていた人は、家の近くのコンビニや書店などを代わりに利用したことでしょう。
ところで、書籍や雑誌などの紙媒体を「販売」する場である本屋さん(書店)の動向について以前に書いたことがあります。かつては2万を超えていた日本の書店数は、2018年度には1万の大台を切り、売り場面積もここ10数年間のピーク時から15%もの減少傾向でした。
さらに、「活字離れ」や「紙離れ」の進展に加えて、わざわざ店先まで出掛けなくても簡単にネットで購入できることも書店にとって逆風でしょう。通常の書籍だけでなく雑誌類でも、簡単に配送してくれるのです。
週刊誌の定期購読とは
雑誌類などでも、紙媒体を「発行」する側の出版社が発行部数や読者層を維持していくためにさまざまな策を講じていると思われますが、その1つが「定期購読」です。
日本雑誌協会が公表するデータ(3ヶ月間)の直近分によれば、週刊誌印刷部数の上位は、「週刊文春」(約57.7万部)や「週刊新潮」(約39.0万部)でした(※1)。
この2誌が、ともに自誌上へ定期購読の広告を継続的に掲載しています(※2、※3)。その要点は、【図表1】のとおりです(金額は税込み、2020年5月時点の数値等)。
仮に毎号の定価440円とすると、2誌の各プランの1冊当たり価格(送料込み)は、次のようになります。
「週刊文春」
⇒ 「月額払い」1冊から12冊 220円、13冊以降 396円
「6ヶ月」と「1年」 490円
「週刊新潮」
⇒ 「月額払い」・「6ヶ月」・「1年」とも 530円
例えば、約4ヶ月[16冊(本誌の定価7040円)]定期購読するケースでの“おトク度”は、2誌で次のように大きく差が出ることになります。
・「週刊文春」の送料込み総額 4224円(本誌の定価よりも40%割安)
・「週刊新潮」の送料込み総額 8480円(本誌の定価よりも約20%割高)
2誌の内容だけでいえば、定期購読は送料分だけ割高につくケースが多く、しかも発売日当日には手にできない可能性も大きいようです。もしも生活利便圏内にコンビニや書店があるのであれば、定期購読のメリットは感じられません。
ただし、「週刊文春」を「月額払い」で定期購読を続ける場合、定価440円として送料込みで220円(12冊まで)や396円(13冊以降)でずっと購読できるので、同誌の「6ヶ月」や「1年」のプランに比べてもそれなりにおトクです。(もっとも、こちらは期間限定のキャンペーンであると、広告に表示されていますが)
まとめ
以上が、「紙媒体」の週刊誌を定期購読する際のおトク度合いの事例でした。
しかし時代は、IT技術やネット環境の進展等によって紙媒体に頼らなくてもスマホ・タブレットなどのモバイル機器で活字や画像に容易にアクセスできる「紙離れ」の流れです。
さらに、現物を買って所有する「モノ」から、必要なときだけ利用する「コト」へと価値観のシフトも進んでいます。
雑誌などに関しても、こうしたトレンドをサブスクリプション(定額制サービス)で実現した「雑誌読み放題サービス」をいろいろな業者が提供しています。月額400円台くらいから利用可能で対象が数百誌以上は珍しくなく、今回の2誌を含めた多くの週刊誌をカバーしているところも多数あります。
それでも「紙媒体」の現物が選ばれるのは、【パッと一覧できて、見たい記事もすぐに探し当てられる】といった手軽さに対して、まだまだ根強いニーズや支持があるからなのでしょうか。
[出典]
(※1)一般社団法人日本雑誌協会「雑誌各種データ」~「印刷部数公表」~「[2019年1月~3月]一般週刊誌」
(※2)株式会社富士山マガジンサービス「定期購読」~「週刊文春」
(※3)株式会社富士山マガジンサービス「定期購読」~「週刊新潮」
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
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