所得税と住民税 課税の仕組みとその計算の仕方 その3
ファイナンシャルフィールド / 2020年6月9日 10時30分
![所得税と住民税 課税の仕組みとその計算の仕方 その3](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_78997_0-small.jpg)
その1、その2では給与所得者への所得税と住民税の課税の仕組みを解説してきました。その3では実際の税額計算のシミュレーションをしてみたいと思います。
税額計算シミュレーションの前提
シミュレーションを行うにあたり、前提を次の通りとします。
家庭環境:
夫45歳<給与所得者>、妻40歳<専業主婦>、子ども<15歳、12歳>の4人家族
夫の年収:600万円
試算の時期:2020年(令和2年)
所得税の計算
収入: 600万円
給与所得控除: △164万円*
所得金額: 436万円
<所得控除>
基礎控除: △48万円
配偶者控除: △38万円
社会保険料控除 △81万6600円
課税所得金額: 268万3000円(1000円未満の端数は切り捨て)
収入600万円に対し、給与所得控除164万円(600万円×20%+44万円)が決まります。所得控除は次の3項目に限定し、生命保険料控除などは含めないこととします。
1.基礎控除 48万円*
2.配偶者控除 38万円
妻は専業主婦で、夫の年収が900万円以下なので、満額の38万円が受けられます。
3.社会保険料控除 81.6万円
社会保険料は次の4項目から構成されますが、条件により若干異なります。細かいことを議論するのが本題ではないので、おおよそで上記の数字としています。
厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料
*給与所得控除と基礎控除は2020年から金額が変わったので、新しい金額を採用しています。
所得税額の計算
課税所得金額:268万3000円
所得税額:268万3000円×10%-9万7500円=17万800円
基準所得税額: 17万800円
復興特別所得税額:17万800円×2.1%=3586円
基準所得税額+復興特別所得税額 合計 17万4300円(100円未満の端数は切り捨て)
※なお、今回は税額控除はなしとしています
住民税の計算
収入 600万円
給与所得控除: △164万円
所得金額: 436万円
<所得控除>
基礎控除*: △43万円
配偶者控除*: △33万円
社会保険料控除 △81万6600円
課税所得金額: 278万3000円(1000円未満の端数は切り捨て)
*所得税の場合と控除額が異なる所得控除の項目
住民税額の計算
課税所得金額: 278万3000円
所得割額
市町村民税 278万3000円×6%=16万6900円(100円未満の端数は切り捨て)
都道府県民税 278万3000円×4%=11万1300円(同)
所得割額計 27万8200円
同上均等割:
市町村民税 3500円
都道府県民税 1500円
均等割額計 5000円
調整控除 △2500円
住民税額計 28万700円
※なお、今回は税額控除はなしとしています
所得税額+住民税額
収入 600万円
<課税所得金額>
所得税 268万3000円
住民税 278万3000円
<税額>
所得税額等 17万4300円(課税所得金額の6.5%)
住民税額 28万700円 [課税所得の10.1%]
計 45万5000円
まとめ
1.課税所得金額が住民税のほうが大きいということです。これは住民税の所得控除額が所得税の金額に比べ小さいことに由来します。
2.その結果、課税金額に対する税額を比べると、所得税が6.5%、住民税が10.1%と住民税額の割合のほうが高くなっていることが分かります。
3.所得税は超過累進税率が採用されていますが、課税所得金額が300万円弱であるなら、所得税のほうが安いことになります。収入およびそれに伴って課税所得金額が増えるに従い、所得税と住民税の税額が逆転します。
[出典]
国税庁「No.1410 給与所得控除」
国税庁「No.1199 基礎控除」
国税庁「No.1191 配偶者控除」
国税庁「手順4 税金の計算をする」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2018/a/03/order4/3-4_21.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/b/03/order4/3-4_41_1.htm
練馬区「調整控除」
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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