新型コロナの影響による休業や収入減少。フリーランス・自営業者などが利用できる3つの貸付制度を紹介
ファイナンシャルフィールド / 2020年6月9日 11時50分
新型コロナウイルス感染症の影響から国民生活を守るため、融資制度や貸付制度の創設・拡大が図られています。 そのなかでも特に影響を強く受けているフリーランスや自営業者、小規模の事業者が利用できる融資制度・貸付制度についてまとめました。
生活福祉資金貸付制度
新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したり、事業の廃業を余儀なくされ、生計の維持が困難となった場合は、「生活福祉資金貸付制度」(※1)の利用を検討してください。
生活福祉資金貸付制度には、大きく分けて「緊急小口資金」と「総合支援資金」があります。両者とも返済時期の経済状態によっては返済が免除されることもあります。詳細については、最寄りの社会福祉協議会に相談するようにしてください。
●緊急小口資金
緊急小口資金とは、緊急かつ一時的な資金を貸し付けるものです。最大20万円と貸付額が少額ではあるものの、無利子かつ無担保で借りられる点がメリットになります。
据置期間は1年以内、返済期限は2年以内と、要件が大幅に緩和されており、どうしても一時的に生活資金が不足してしまう場合に利用できる制度となっています。なお、この制度は収入が減少していれば、休業や廃業に至っていなくとも利用が可能です。
●総合支援資金
総合支援資金は、事業の廃業や生活ができなくなるほど収入が減少した場合に利用できる制度です。
こちらは、生活再建の間必要となる生活費を貸し付けるもので、単身世帯で月額15万円、2人以上の世帯で月額20万円を原則3ヶ月間借り受けることができます。もちろん、貸付は無利子・無保証で行われます。
据置期間は1年以内、返済期間は10年以内となっており、焦らず無理なく生活を立て直せるようになっています。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症の影響により、直近1ヶ月の売り上げが前年または前々年と比較して5%以上減少(3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合は過去3ヶ月など一定の期間をもとに算出)しているような場合に、最大6000万円を借り受けることのできる制度です(※2)。
使用用途が運転資金または設備資金と限定されているものの、無担保で借り受けることができます。金利も通常の場合に比べて優遇されており、無理なく事業の継続と返済ができるようになっています。
なお、この制度をフリーランスが利用する場合は、事業性のある場合に限られていることに注意してください。詳細については、日本政策金融公庫にご相談ください。
また、特別利子補給制度と組み合わせることで、実質的な無利子化も可能となります。特別利子補給制度の詳細は、中小企業金融・給付金相談窓口にお問い合わせください。
特例緊急経営安定貸付け
小規模企業共済に加入しており、同共済の貸付制度についての資格を有している場合、掛金に応じて事業資金を最大2000万円借り受けることができる制度です(※3・4)。
要件は、1ヶ月の売上高が前年、前々年と比較して5%以上減少していることとなります。無担保かつ無利子で借りられるうえ、据置期間が設定されたり、返済期間が延長されたりするなど、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた緩和措置が施されています。
フリーランス・個人事業主にも新型コロナウイルス感染症の影響による特例融資制度は用意されています
新型コロナウイルス感染症の影響を乗り切るための融資というと、一定規模以上の企業や事業主しか受けられないと思われることもありますが、そうではありません。生活資金はもちろん、事業資金についてフリーランスや個人事業主も受けられる融資制度はいくつもあります。
今回は、「生活福祉資金貸付制度」「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「特例緊急経営安定貸付け」という3つの貸付制度をご紹介しましたが、これら以外にも自治体独自の制度や金融機関独自の融資などもあります。
新型コロナウイルス感染症の影響を乗り切るための融資制度や補助、助成制度について、もし迷うようでしたら、各分野の専門家に相談するとよいでしょう。
[出典]
※1 全国社会福祉協議会「新型コロナウイルス感染症を踏まえた生活福祉資金制度による緊急小口貸付等の特別貸付を行っています」
※2 株式会社日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付」
※3 独立行政法人中小企業基盤整備機構「新型コロナウイルス感染症にかかる小規模企業共済制度の特例措置について」
※4 独立行政法人中小企業基盤整備機構「緊急経営安定貸付け」
経済産業省・厚生労働省・公正取引委員会「新型コロナウイルス感染症により影響を受ける個人事業主・フリーランスとの取引に関する配慮について」(令和2年3月10日)
執筆者:柘植輝
行政書士
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