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マネーリテラシーは固定観念の先にある

ファイナンシャルフィールド / 2020年6月9日 11時15分

マネーリテラシーは固定観念の先にある

「お金を貯めたいのですが、どこに預ければいいでしょうか」。という相談を受けます。   私たち日本人にとって、お金の預け先というと、「銀行預金」が真っ先に頭に浮かぶと思います。そして、「金利低いからなぁ」ということで、一部の方は、普通預金ではなく定期預金や積立定期などの少し金利の高い金融商品を物色し始めます。   「それでも、金利低いからなぁ」ということで、子どもの進学資金を貯めるなら学資保険を、老後の生活資金を貯めるなら個人年金保険をなんとなく頭に浮かべる方もいます。   その結果、それ以外の金融商品は一般的に選ばれません。実際のご相談でも、このような傾向は感じます。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。   この疑問を投げかけられるかどうかが、マネーリテラシーを身につけている人とそうでない人との違いです。

学資保険や個人年金保険も金融商品

なぜ、子どもの進学資金を貯めるのは学資保険、老後の生活資金を貯めるのは個人年金保険と呪文のように唱えられるのでしょうか。これは、ひとえに日本人の保険神話によるところが大きいと思います。学資保険にしろ、個人年金保険にしろ、金融商品の1つにすぎません。
 
一般的には、学資保険や個人年金保険を保険商品と思いがちです。保険自体、金融の枠組みの中で組み立てられているため、金融商品であると理解する必要があります。
 
仮に、金融商品であると理解した場合、これを使ってお金を貯めようというなら、学資保険にしろ、個人年金保険にしろ、その利回りがどれくらいかを計算することが必要になります。金融商品である保険も金利に影響を受けているからです。
 
学資保険や個人年金保険などの貯蓄性のある保険では、金利は適用利率と表現されます。つまり、金利が付されている以上、その金融商品には利率があり、契約者から預かった保険料が何らかの金融商品で運用されていると理解する必要があります。
 
その運用先が一般的には国債となっています。そして、国債についている利回り、つまり、金利を参考に学資保険や個人年金保険の適用利率が決められる、という仕組みになっています。
 
保険会社としても利益を得て、契約者に利益を還元する必要があるため、通常、国債などの運用商品の利回り>適用利率で設定していきます。
 
学資保険や個人年金保険を検討する際は、まず、適用利率が何%で設定されているかと、その時点での国債の利回り(金利)が何%なのかを確認する必要があります。
 
この2つの間の金利差が広ければ、その学資保険や個人年金保険は貯蓄効率の高い金融商品である、逆に狭ければ貯蓄効率の低い金融商品であると判断できます。
 
また、学資保険や個人年金保険では、通常、戻り率という返戻率も同時に公表されています。例えば、103.0%といった値です。払い込んだすべての保険料の総額に対して給付される学資年金や年金などが戻ってくる割合です。
 
保険会社各社は、戻り率が高ければ良いとアピールしますが、これについては間違いではありません。しかし、他の金融商品と貯蓄効率を比較する場合、この数値だけでは比較することができません。なぜならば、1年当たりの運用利回りが見えないからです。
 
1年当たりの運用利回りを見るには、単純に保険料の払込期間を運用期間と仮定し、戻り率をこの年数で割れば確認することができます。戻り率が103.0%の場合、この保険商品の総運用利回りは3.0%になります。
 
そして、保険料の払込期間を15年とした場合、
(103.0%-100.0%)/15年=0.2%/年
となり、この保険商品の1年間の運用利回りは0.2%程度であろうと推察することができます。
 
年利0.2%を意味するため、例えば、ネット銀行における5年物定期預金と比べた場合、2020年3月現在の金利が最高で0.25%/年であるため、貯蓄効率は定期預金の方に軍配が上がってしまいます。
 
ただ、学資保険や個人年金保険は金融商品であると同時に保険商品でもあります。保険機能を備えた貯蓄性のある金融商品であるため、このような利回りの差は保険機能が付いているから見劣りしていると判断できます。
 
また、預け方でいうと、定期預金はある程度まとまった資金を預け入れる必要があるため、学資保険や個人年金保険と比べると、資金原資の準備という点で使い勝手が悪かったりします。
 
このような弱点を克服するために、積立定期と定期預金の合わせ技で預金していく方法が必要になりますが、手間がかかります。以上を踏まえて、総合的に学資保険や個人年金保険を利用するかどうかを判断していく必要があります。

まとめ

「お金を貯めたいのですが、どのような金融商品を選べばいいですか」。ミクロレベルでいうと、答えは、「それぞれの金融商品の仕組みを知り、計算により利回りを導き出す」というのが正解なのかもしれません。
 
しかし、ここまで考えるのは非常に難しいことのように思います。マネーリテラシーを身につけ伸ばすには、相手の立場に立って、親身に本当のことを伝えてくれる相談相手を持つことかもしれません。
 
その相談相手がどのような資格を持ち、またどのような教育を受け、どのような経験を積み上げているか、そして、その人がしっかりとした倫理と道徳心を持ち合わせているかを確認することもマネーリテラシーを育む1つの方法といえるでしょう。
 
自分で難しいことは人に託す。そういった判断力もマネーリテラシーを伸ばすきっかけになるかもしれません。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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