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家族を守る遺言書。知っておきたい5つの種類とは?

ファイナンシャルフィールド / 2020年6月21日 9時30分

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「天国からのラブレター」。相続診断協会のイベントで、こんな落語を見たことがあります。『不慮の事故で天国にいってしまった父親が、生前にしっかりと遺言を準備していなかったことで、仲が良かったはずの息子&娘(3兄弟)が財産争いをすることになってしまう。   しかし、神様の助けで、天国にいる自分が息子たちに遺言書を届けることができ、感動のフィナーレを迎える』というような内容ですが、面白くて笑いどころ満載なのですが、現実的に真剣に考えなくてはいけない示唆に富んだ内容でもあります。   「相続」が「争族」にならないためにすべきこと、それは「準備」です。死後でも家族を守ることができる「遺言書」。今回はこの遺言書について考えてみましょう。

5つの遺言書の種類

私たちは、コロナショックで「死」と正面から向き合うことの大切さを学びました。
 
年老いて、枯れるように死ねたらいいなと思うこともありますが、しかし「おひとりさま」で、不動産資産を所有している筆者自身、それは不可能。自分は枯れても、資産は枯れません。そのためには、しっかりと「遺言書の準備」が必要だと思っています。
 
「遺言書」には、一般的には3つの種類があります
1:自筆証書遺言
2:公正証書遺言
3:秘密証書遺言

 
上記の遺言書は「普通方式遺言」と呼ばれるものですが、その他に下記2つの「特別方式遺言」があります。
4:緊急時遺言
5:隔絶地遺言

 
以下、種類別に説明していきます。

自筆証書遺言

・遺言者が紙にペンを使い自筆で作成
・特別な手続きは不要
・遺言者本人がすべての内容を記し日付・氏名・押印が必要
・コストが不要
・財産目録はパソコンで一覧を作成することは可能
(ただし、この法律が改正され施行されたのは、平成31年1月13日で、それ以前の「自筆証書遺言」の添付書類としては認められません)
 
■デメリット
・遺言者の死後、内容の是非で親族間においてもめることもある
・注意としては、相続人が家庭裁判所に遺言書を提出し検認手続きが必要

公正証書遺言

・公証役場で遺言内容を伝えて作成
・より確実にするには、相続に強い弁護士・司法書士の協力を得て作成することができる
・専門家の元で作成するので、遺言者の死後もめることが少ない
・確実性が高い
・弁護士・司法書士に関与してもらうことで、死後の手続きがスムーズ
・2名の証人の同行必要(専門家への依頼も可能)
・公証役場で遺言書が保管される
 
■デメリット
・手続きに時間とコストがかかる

秘密証書遺言

・遺言者が自分で用意した「遺言書」を公証役場に持ち込む
・2名の証人の同行が必要
・「遺言書」の内容は秘密で「遺言書所在」のみを明らかにするもの
・公証人・証人にも内容は開示しない
・遺言者作成の際は、署名と押印のみは自分でする(内容は他の人の代筆・パソコン作成も可能)
 
■デメリット
・内容に不備がある場合、遺言者の死後、もめることがある
・公証役場で遺言書の保管はできない
・コストがかかる
 
※今回は、一般的に用いられる遺言についての説明になり、「特別方式遺言」については次回に譲ります。

遺言書の作成前に考えること

相続の現場を知る専門家としては、下記の場合は、公正証書遺言を専門家の立ち会いのもと、行うことが望ましいと思います。
 
・2人以上の法定相続人がいる場合
・法定相続人が高齢者や未成年の場合
・法定相続人が認知症や病気の場合
・法定相続人がいない場合
・離婚し、前の配偶者との間に子どもがいる場合
・相続人が兄弟姉妹だけの場合
・その他、特別な事情がある場合
 
また、遺言書を依頼する専門家も安易に決めずに、専門性があることと、盤石な専門家チームを組める人脈の多い「コンサルタント」に依頼することも大切です。

相続対策で必要なチーム

■コンサルタント(相続診断士・終活カウンセラー・FP/相続の勉強をしている人等)

・全体のコーディネイト進行のまとめ:大勢の人が関わり、時間もかかる内容なので、舵取り役は必須です。
・難しい専門用語の解説:士業の方の説明は一般の方には難しいので説明をしてもらい、後からもめないようにすることは大切なことです。
 
・必要に応じた専門家を収集:多様化の時代、問題は各家庭異なります。下記の士業の方の招集以外にも、相続に強い保険業者・土地鑑定師・空き家問題の専門家・介護専門家・遺品整理業者etc. 有能なコンサルタントにオーガナイズしてもらうことで解決ができます。
 
・話の聞き役:人が亡くなると、想像もつかないことが起こります。資産の匂いがすると、今まで疎遠だった親族や近所の人や知人も寄ってくるもの。そんな時に、信頼がおけるコンサルタントがいると、精神的に安堵(あんど)できます。

■法律の専門家(弁護士/司法書士/行政書士)

・複雑な案件や争う可能性がある場合→弁護士:何かあった場合の対応が迅速で的確
・不動産資産がある場合(司法書士):不動産の名義変更手続きも行ってもらえる「家族信託」を組む際は、家族信託に詳しい、若手の司法書士へ
・不動産資産はなく、比較的平和な場合(行政書士)。コストが安い

■税務の専門家(税理士)

相続の税理士は、特別なスキルが必要です。専門知識がない税理士に依頼すると、相続税で損をしてしまうこともあります。それと大切なことは「遺言執行者」と「死後事務委任契約」を考えておくことです。
 
*遺言執行者とは
実際に作成した遺言を、遺言者の意向どおりに実現する人が「遺言執行者」です。相続人が複数いる場合や、判断能力が未熟な人がいる場合に、リーダー的な存在としてまとめる役割もします。
 
「遺言執行者」は、死後の手続きにおいて重要な役割を担います。なので、できたら1名ではなく、2名指定しておくことが理想です。遺言執行者も人間です。何があるかわかりません。そうすることで、リスク回避になると思います。
 
遺言作成を依頼する、専門家でももちろん可能です。できれば、事前に相続人と顔合わせをしておくと、死後の手続きがスムーズにいくかもしれません。

■死後事務委任契約

「死後事務委任契約」も併せて専門家に依頼しておくと、遺された家族がずいぶん楽になると思います。
 
今の世の中、仕事を持っている人がほとんどです。仕事の合間に、遺言者の事務作業をするのはなかなか大変なこと。ここは、専門家に任せたほうがよいと思います。遺言執行者と同様の方でも良いです。
 
なぜ「遺言執行者」と「死後事務委任契約」は別かというと、遺言執行者は法律問題だけなのに対して、死後事務委任契約は自由に内容を決めることができます。
 
例えば、葬儀の手配、また訃報を知らせたい人、ペットの引継ぎなど「遺言執行者」には依頼できないこともお願いできます。特に、おひとりさまが増えた現在「死後事務委任契約」を結んでおくことは重要だと思います。

まとめ

自分が年老いてから、また病気等になって不安になってから、さまざまな手続きを進めると、急ぐあまりに不備が出てくる可能性もあります。60歳を過ぎたら、拙速にならず、時間をかけて家族のために遺言書作成の事務手続きを進めていくのが安心です。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士

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