秋田県は自然減だけでなく社会減も深刻?秋田県からの人の転入出状況とは
ファイナンシャルフィールド / 2020年6月26日 3時0分
日本は人口が減少し始め、多くの都道府県では過疎化に悩んでいますが、一方で人が増え続けている魅力的な地域もあります。 日本の魅力はどこがあり、どこがないのかを知るには、人の動きを確認すると非常にわかりやすいです。そこで、統計データをもとに都道府県ごとの人の転入出状況を確認してみました。今回はその中でも秋田県に着目してみました。
秋田県は自然減だけでなく社会減も深刻
人口は出生や死亡による自然増減と、人の移動による社会増減によって変化します。今回取り上げるのは社会増減のみですが、人の移動は人の意思によってすることから、地域ごとの人気の有無がよくわかります。
魅力のある(住みたい)地域は転入者が増えやすく、魅力のない(住みたくない)地域は流出者が増えやすくなるからです。
まずは総務省の住民基本台帳人口移動報告から、2019年の秋田県内での移動者数、秋田県への転入者数、秋田県からの転出者数、転入超過数を確認してみました。
県内移動者……県内で市町村の境界を越えて住所を移した人
他都道府県からの転入者……他の都道府県から秋田県内へ住所を移した人
他都道府県への転出者……秋田県から他の都道府県へ住所を移した人
転入超過数……転入者数から転出者数を引いた数で転入超過数がマイナスは転出超過を示す
2019年の1年間に、秋田県へは他の都道府県から1万1205人が転入しており、秋田県内では9668人が県内の市町村から他の市町村へ移動しています。そして、他の都道府県へは1万5103人が転出していることで、秋田県の1年間の転入超過数は−3898人となっています。
性別では、県内移動者数にはほとんど差はありませんが、転入者と転出者はともに男性が多く、転入超過数は女性のほうが多くなっています。
秋田県の人口は、3898人の社会減だけでなく、出生数と死亡数による自然減もあります。秋田県のホームページ(平成30年人口動態統計)で確認すると、2018年は出生数5040人に対し死亡数は1万5434人で大幅な自然減になっているので、人口減少の流れを止めることは相当難しいといえます。
秋田県の転出超過は宮城県や東京都が要因
では、秋田県が転入超過なのはどこが要因となっているからなのでしょうか? 秋田県への転出超過数が、特に多い都道府県と少ない都道府県を探してみました。
秋田県への転出超過数が多い都道府県・少ない都道府県
秋田県の場合、東京都や大阪府と比べて人口が少ないので、移動者数もかなり少ないです。秋田県の転入超過数がマイナスになる主な要因は、表に記載の東京都(−1146人)、宮城県(−677人)、神奈川県(−534人)に対して、転出者の割に転入者が少ないからです。
ただ、転入超過数がマイナスになっているのは35都道府県に対してで、隣の山形県や遠く離れた宮崎県等に対しては、わずかですが転入超過となっています。
秋田県は慢性的転出超過だが2011年のひと月だけは例外
最後に秋田県の転出入状況を月ごとに15年間(180ヶ月)調べてグラフにしてみました。1つ目のグラフが直近の2015年4月からの5年間(60ヶ月)、2つ目はその前の2010年4月からの5年間、3つ目はさらに前の2005年4月からの5年間です。
資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
2015年4月以降の5年間では、3月と4月に合わせて約3000人の転出超過があり、その他の月でも慢性的に転出超過となっています。しかし、細かく見るとこの5年間で4回転入超過の月もあります。2012年12月から続いていた転出超過は2018年7月に67ヶ月連続でストップしました。
資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
2010年4月からの5年間も似たような傾向にありますが、2011年4月だけ極端に転入超過になっています。
普通の4月であれば千人程度のマイナスになっていたでしょうが、この年は3月に東北地方太平洋沖地震が発生しています。その直後の月なので、避難した人のうちの数千人が秋田県へ移動してきたと考えられます。
資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
2005年4月からも転入超過数がマイナスの月がほとんどで、2009年11月まで56ヶ月マイナスが続いています。特に2008年3月は−2477人で、15年間で最も転入超過数が多い月となっています。
15年間(180ヶ月)で、秋田県は転入超過数が−6万5523人と大きなマイナスです。180ヶ月のうち転入超過数がマイナスの月が169ヶ月もあり、社会減(転出超過)は構造的なものになってしまっています。
秋田県だけの問題ではないですが、社会減と自然減で人口減少が進行しており、過疎化を止めるには就職先や進学先を増やすだけでなく、他の部分も魅力を大胆に増していく必要がありそうです。
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者
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