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事業者が知っておきたいコロナ支援策「雇用調整助成金」とは?

ファイナンシャルフィールド / 2020年6月29日 9時10分

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新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、マスコミでは連日世界の感染状況、日常生活における注意事項、経済などに関するニュースが取り上げられています。   今回の外出自粛に伴う企業、とりわけ中小企業への経済支援策の1つである「雇用調整助成金」については、4月以降その申請方法が「分かりづらい」「手続きが煩雑で一般の人にはできない」などと批判を受けています。   また批判を受け、手続きの簡素化などの改善策を講じているものの、不十分だとしていまだ批判はやまず、追加の改善が行われています。挙げ句の果てに申請をオンライン化したものの、利用開始直後に不具合発生となり、結局利用できないと散々な状況でした。   一方で「助成額が少ない」という批判から1日当たりの上限額の引き上げや、休業した従業員側からの申請による助成金(休業者給付金)の方針が5月末に国会で固められたものの、具体的な内容(申請書の変更の有無、適用時期など)については現時点(6月5日)ではまだ何も決定されておらず、こちらも利用者側が困惑する状況が続いています。   もともと分かりづらい助成金制度であったことに加え、度重なる制度面、手続き面の変更措置でどのタイミングの情報が最新なのか、当事者である事業者の方、従業員の方の中には混乱している人もいると思います。   そこでいったん状況を整理して、今後の対応方法についてアドバイスしたいと思います。 ※この記事は、令和2年6月5日時点の情報を基に執筆しています。

雇用調整助成金とは?

まず簡単に制度を紹介すると、雇用調整助成金は企業が従業員を休業させた場合に支払う休業手当に対して助成(お金を補助)を行う制度です。
 
4月7日の緊急事態宣言に伴い多くの企業が事業活動を縮小し、そのため従業員を休業させる措置が今までにない大きな規模で行われています。国は、従業員の生活を守る目的で休業期間中も休業手当を支払う、雇用を継続する(解雇しない)企業に対して本制度を適用します。

これまでの簡素化措置

ではこの助成金の手続きにおいて、何が分かりづらくて批判されていたのか、またそのためにどういった改善策がされたのかを見ていきましょう。

(1)労使間での休業の取り決めに関する書類

そもそも従業員への休業措置が事業者側の不当な措置でなく、休業手当の支払いを前提に労働者側の合意を得ていたものでなければなりません。そのため、それを証明する就業規則、休業協定書などのやや専門的な書類が必要でした。
 
<変更後>
その後、5月後半になって小規模事業者(従業員がおおむね20人以下、または個人事業主)のみこうした書類が不要となりました。

(2)助成額の算出方法

当初、助成金の対象は雇用保険に加入している従業員(主に正社員)の休業についてだけでした。助成額の算出方法は、毎年6月(今回は2019年)に提出される労働保険確定保険料申告書の申告額をベースにしていました。
 
これは一人ひとりの休業手当ではなく、1年前の雇用保険に加入している従業員の賃金総額から算出した1人当たりの平均賃金額という分かりづらいもので、各従業員への休業手当がそのまま助成されると勘違いされている人も多くいました。
 
<変更後>
5月後半の変更で、小規模事業者は実際に支払った休業手当をベースに助成額を算出できるよう変更されました(ただし、この時点では上限額は8330円のまま)。

(3)助成額の助成率および上限額の引き上げ

助成額について一般の給与相場と乖離(かいり)があり、十分でないという批判から、一部の中小企業については5月1日に助成率を9/10から10/10へ引き上げました。しかし1日当たりの上限額が8330円であることに変わりはないため、効果は少ないといえるものでした。
 
<変更後>
助成額の上限を1万5000円へと引き上げる議論がされ始め、5月下旬に閣議決定されました。しかし、実際の開始時期など詳細については決まっておらず、次項(4)の休業者給付金とともに6月半ばまでの成立が見込まれています。

(4)従業員が申請できる休業者給付金の適用

新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされたものの、企業側から休業手当が支給されない従業員の方に対して直接支給される休業者給付金が検討されています。
 
もちろん企業側が休業手当を支払うのが望ましいのですが、長引く自粛要請で事業資金が底をつけば支払うことはできません。そこで従業員本人が直接申請して、給付金を受給できるようにするというものです。
※詳細については未定。前項(3)とともに6月半ばまでの成立が期待されています。

これから申請する事業者は?

●申請のタイミング

長期の休業で資金繰りの厳しい事業者は早めに手続きした方がよいでしょう。6月に入り、今まで様子を見ていた事業者が手続きを始めることで混雑が予想され、申請から支給までの期間が長くなる可能性があります。
 
一方、手元資金にまだ余裕がある事業者は、もう少し様子を見るという選択肢もあります。これは前述(3)のとおり、給付額の上限が引き上げられた後から申請した方が得になる可能性が否定できないためです。
 
また、(4)の給付金を従業員が直接受給した方が、休業手当より金額が多くなる可能性も考えられます。

●申請方法

管轄のハローワークへの書類の提出、オンライン申請、事務センターへの郵送による方法があります(オンライン申請は6月5日時点では停止されています)。
 
社会保険労務士のような専門業者でなく自身で手続きをされる場合は、できればハローワークへ出向いて提出することをお勧めします。書類の不備があった場合にその場で指摘され、結果的に早く処理が進むためです。窓口は混雑のため待ち時間が発生する場合もありますが、一番確実です。

●コールセンターへの問い合わせ

雇用調整助成金について分からないことは、厚生労働省が開設しているコールセンター(0120-60-3999)や各都道府県の労働局・ハローワークに問い合わせてみましょう。また、東京都社会保険労務士会がホットライン(社労士110番)を開設していますので、そちらも利用してみてください。
 
参考
厚生労働省 雇用調整助成金のお問い合わせ先一覧
東京都社会保険労務士会 「雇用調整助成金 社労士ホットライン」を5月1日より開設、土曜日も電話相談対応!
 
執筆者:蓑田透
ライフメイツ社会保険労務士事務所代表

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