中小企業者のためのセーフティネット保証制度とは?
ファイナンシャルフィールド / 2020年7月6日 11時50分
経営の安定に支障が生じている中小企業者に対して、資金供給の円滑化を図るため、中小企業信用保険法によるセーフティネット保証制度があります。 新型コロナウイルス感染症に対する措置として、これらのセーフティネット保証制度の対象が拡大されるなどの緩和措置が講じられています。ここでは、最も利用されることが多い「セーフティネット保証4号」の概要を中心にご説明したいと思います。
セーフティネット保証4号とは?
中小企業信用保険法には、経営安定関連保証として1号から8号までの制度があります。その中でも、セーフティネット保証4号は突発的災害(自然災害など)を対象としたものです。
もともとは、自然災害などの突発的事由(噴火、地震、台風など)によって、中小企業者の経営の安定に支障が生じている場合に円滑に資金を供給する目的で、災害救助法が適用された場合や都道府県からの要請によって国が指定する必要があると認めた場合に、信用保証協会が一般の保証限度額とは別枠で借入債務を100%保証する制度です。
最近ですと、令和元年台風第19号や第15号による災害や平成28年熊本地震などが制度の対象となっています。そして、令和2年3月からは、新型コロナウイルス感染症で影響を受けた中小企業者についても対象として指定されました。
対象となる中小企業者
以下の条件を満たす中小企業者が対象となります。
(1)指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること
(2)災害の発生に起因して、当該災害の影響を受けた後、原則として最近1ヶ月の売上高などが前年同月に比べて20%以上減少しており、かつ、その後2ヶ月を含む3ヶ月間の売上高などが前年同期に比べて20%以上減少することが見込まれること
対象となる中小企業者は、本店など(個人事業者は主たる事業所)が所在する市区町村の商工担当課などの窓口に認定申請書を2通提出し、市区町村長からの認定を受ける必要があります。
発行された認定書を、融資を希望する金融機関などに持参することで、100%保証付きの融資を申し込むことができます。
その他にもあるセーフティネット保証
さらに、業況が悪化している中小企業者を対象としたセーフティネット保証5号では、信用保証協会による80%保証を一般の保証限度枠とは別枠で設けることができます。
ただし、前記のセーフティネット保証4号との併用は可能ですが、同一の保証限度額(2億8000万円以内)となります。
もともとのセーフティネット保証5号の対象となる指定業種数は、日本標準産業分類の細分類で738業種でしたが、令和2年5月1日から令和3年1月31日については、全業種(1145業種)を指定することとされました。
対象となる中小企業者の条件は以下のとおりです。
(1)最近3ヶ月間の売上高などが前年同期比で5%以上減少していること(新型コロナウイルス感染症への時限的な運用緩和として、2月以降は売上高見込みを含む3ヶ月間の売上高の減少による算出を可能とする)
(2)製品などの原価のうち20%以上を占める原油などの仕入れ価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品などの価格に転嫁できていないこと
まとめ
民間金融機関による実質無利子、無担保で据置期間が最大5年の融資を利用する場合には、セーフティネット保証や危機関連保証(同じく中小企業信用保険法)を利用していることが要件とされています。そのため、限定されていた指定業種を全業種に拡大するなどの緩和措置が講じられているのです。
新型コロナウイルス感染症の影響はほとんどの中小企業者に及んでいるといっても過言ではないでしょう。さまざまな支援制度の情報を迅速に入手し、正確に理解することで、確実に実行に移していくことが重要となるでしょう。
参考 中小企業庁 「セーフティネット保証制度 中小企業信用保険法第2条第5項及び第6項」
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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