パートで働いているけど、年金制度改正でどんな影響があるの?
ファイナンシャルフィールド / 2020年7月14日 3時0分
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年金制度改正法が2020年5月29日の国会で成立し、同年6月5日に公布されました。今回の改正では厚生年金の適用となる条件が変わり、適用対象の人が増えると考えられています。 特にパート勤めの人への影響が大きいといわれている今回の制度改正の内容と、厚生年金のメリットについて紹介します。
厚生年金の対象となる人
今回の年金制度改正について触れる前に、現在の厚生年金の対象となるケースを見てみましょう。
まず、厚生年金の適用対象となるのは、勤務先が厚生年金の適用事業所の場合です。適用事業所は、株式会社などの法人の事業所です。また、従業員が5人以上いる個人事業所についても、農業やサービス業などの場合を除いて適用事業所となります。
次に、働き方によって適用対象となるかどうかが決まります。
フルタイムで働く一般社員は、まず適用対象です。パート勤めであっても、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上の場合は適用対象となります。つまり、パート勤めでも一般的に週30時間以上働いていれば、厚生年金の適用対象です。
さらに、2016年10月からはパート勤めの人に対して、次の5つの条件を満たす場合も適用対象となりました。
(1)週の労働時間が20時間以上
(2)月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
(3)勤務期間(雇用期間)が1年以上の見込みがあること
(4)学生でないこと
(5)従業員が500人を超える勤務先で働いていること(2017年4月からは使用者との合意がある場合は500人以下でも適用)
これにより、約46万人(2019年11月末時点)が適用対象となっています。
今回の改正で変わる点
今回の年金制度改正で大きく変わる点は、パート勤めの人に対する以下の条件です。
1つ目は、2022年10月から(3)の勤務期間に関する条件が撤廃となり、フルタイムの従業員と同じく2ヶ月超のケースに統一されます。
2つ目は、(5)の勤務先に関する条件です。2022年10月からは適用対象となる従業員数が101人以上、2024年10月からは51人以上に変わります。従業員の少ない勤務先まで適用条件が拡大されることから、65万人が新たに厚生年金の適用対象となると考えられています。
また、適用事業所の条件についても変更点があります。弁護士・税理士・社会保険労務士など、法律や会計事務を取り扱う士業について、2022年10月から個人事業所であっても従業員が5人以上いる場合は適用事業所になります。
勤務先の従業員が少なかったり、士業の個人事務所であるために厚生年金の適用対象外だった人も、今後は対象となるケースが増えるでしょう。
厚生年金加入にはメリットも
厚生年金に加入すると、厚生年金保険料や健康保険料を負担しなければなりません。そのため、給料の手取り額が減ることを気にする人もいるでしょう。
しかし、厚生年金に加入することでメリットもあります。
まず、本人の掛け金に応じて、老後に老齢厚生年金を受け取ることができます。長寿化・高齢化する社会において、老後収入の支えとなる年金を増やすことは大きなメリットです。また、障害厚生年金や遺族厚生年金の対象にもなります。
さらに、健康保険に加入することで、病気やケガで働けなくなったときの「傷病手当金」や、出産で仕事を休むときの「出産手当金」を受け取ることができるようになります。
月収8.8万円(年収106万円)の場合、厚生年金保険料で月額8100円、健康保険料で月額4400円の負担があります。もし10年間加入すると、老後に受け取れる老齢厚生年金として年額5万4700円(月額4600円)を終身で受け取ることができるようになります。
年金制度改正により厚生年金の対象となる可能性がある場合、厚生年金保険料や健康保険料の負担を気にするだけではなく、厚生年金に加入するメリットも考えて働き方を決めるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
厚生労働省 「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要(令和2年法律第40号、令和2年6月5日公布)」
日本年金機構 「適用事業所と被保険者」
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
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