株式投資の基本― PER、PBR、ROE―投資に迷ったら、株価の指標を確認しよう!
ファイナンシャルフィールド / 2020年7月15日 11時0分
2020年3月、新型コロナショックで全世界的に株価が急落しました。 その後、意外なことにニューヨークダウや日経平均も5月から6月にかけてV字回復しています。 コロナバブルに乗り遅れて、急落したときに買っておけばと、悔しい思いをしている人もいると思います。 また、今までは株式には手を出していなかったが、これから株式投資を始めようと思っている人もいるかもしれません。 今後株価がどういう動きをするか予測しがたいところですが、この際、株式投資の基本を一から勉強してみましょう。 まず、今回はPER、PBR、ROEについて解説してみたいと思います。
PER、PBR、ROEとは?
PER、PBR、ROEとは、株価を評価する指標です。それぞれの正式名称は次のとおりです。
PER Price Earnings Ratio 株価収益率
PBR Price Book Value Ratio 株価純資産倍率
ROE Return On Equity 自己資本利益率
これらの指標は株価が企業の経営成績や財政状態と比べて高いのか安いのかを判断する指標です。
具体的には、企業の損益計算書や貸借対照表を基にしてこれらの指標を算出します。
それでは1つ1つ見ていきましょう。
PER(株価収益率)とは?
PERとは、現在の株価がその企業の1株当たりの純利益の何倍に当たるかという指標です。
1株当たりの純利益とは次の様に求められます。
売上
△経費
利益
△税金
純利益
この純利益を株数で割ったものが1株当たりの純利益となり、実際の株価がその何倍に当たるかを示すのがPERという指標です。
すなわち、
PER=株価/1株当たり純利益
となります。
一般に、PERが15倍前後であれば、株価は適正だといわれています。
企業の純利益は、株主に対し配当の支払いおよび企業の純資産の増加という形で還元されます。
純資産の増加は株価の上昇に寄与するわけです。
持ち主が変わっても、企業が存続する限り、株主は存在しますから、企業の15年間分の純利益が株価の価値として適正だということになります。
昨年2019年東証一部の加重平均PERは14倍から16倍で推移しています。
ですから、一般的には、PERが15倍以下であれば、株価は割安なので投資する価値がある、15倍以上の場合は割高なので要注意ということがいえます。
PBR(株価純資産倍率)とは?
PBRは、現在の株価がその企業の1株当たり純資産の何倍に相当するかという指標です。
すなわち、PBR=株価/1株当たり純資産という式で求められます。
純資産とは、企業の資産から負債を引いたものです。
具体的には、企業の資産である土地、建物、現金預金、有価証券などの合計額から、借入金などの負債の合計額を引いたものになります。
すなわち、現時点で企業が解散したら株主の手元にはいくら残るかが、純資産という指標で表されます。
企業は正常な状態であれば、今後も営業活動を行い、利益を蓄積していくので、現時点での解散価値とは、企業の底値ということができます。
すなわち、企業の底値から見て、株価が何倍であるかを示す指標がPBRということになります。
説明したように、企業が通常の状態であれば、その純資産を活用して利益を生み出す活動をするので、企業の解散価値+αが適正な株価ということになります。
PBRが1倍未満であるなら、株価は適正水準を割り込んでいるので、割安=買いということができます。
昨年2019年における東証一部の加重平均PBRは1.1~1.2倍で推移しています。
ROE(自己資本利益率)とは?
ROEとは、企業がそのオーナーである株主が拠出した資本を使ってどれだけの利益を上げたかという指標です。
すなわち、企業がその資本をどれだけ有効に活用しているかを示すものといえます。
ROE=当期純利益/自己資本となります。(自己資本は純資産とほぼ同じと考えて結構です)
純資産が30億円で、年間20億円の純利益を挙げているA社と、純資産100億円で年間20億円の純利益を上げているB社を比較しましょう。
利益の大きさは同じですが、利益を上げるために要した投資額は30億円に対し100億円とB社は3倍以上もかかっています。
どちらが経営効率がいいかといえば、圧倒的にA社で、将来的な成長力もA社の方があると評価されます。
ですから、株式を買うならA社ということになります。
3つの指標を市場平均と比べて投資の是非を判断する
投資の判断に迷ったときは、3つの指標がそれぞれどのレベルにあるかを確認した上で、どの株式に投資するかの目安にすることが可能です。
また、自分でいろいろ調べたチャート分析や今後の経営見通しに加えて、これらの指標が市場平均のどのくらいのレベルにあるかを確認した上で投資すべき銘柄を最終判断することも有効な方法であるといえます。
参考
日本取引所グループ 6.平均PER・PBR
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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