残業代に頼る生活は危険。ちょっとしたことで生活が困窮する可能性も
ファイナンシャルフィールド / 2020年7月16日 10時30分
毎月のお給料のうち、残業代の占める割合はどの程度でしょうか? もし、収入から残業代を差し引いた後の金額では生活を維持できないというのであれば、要注意です。 ちょっとした事情によって生活が困窮してしまうかもしれません。
残業代は不安定なもの
残業代を稼ぐために残業を意図的に行う、いわゆる生活残業を毎月のようにしていると、それが当たり前になってきます。
すると、次第に残業代は安定して出るものだという感覚に陥ってしまいます。
しかし、残業代は基本給とも違えば、管理職手当や資格手当などでもありません。
何らかの事情により残業ができない状態になってしまえば、いとも簡単に残業代を得られなくなってしまうのです。
直近では、テレワークの導入や営業時間の短縮、休業要請に伴う休業などにより、多くの業種において残業時間は減少傾向にあります。
また、ここ数年、働き方改革によって、大手企業を中心に残業時間を減らす努力が進められており、テレワークの導入と併せて、残業時間は今後ますます減少していくことが予想されます。
残業代に頼る生活は簡単に崩れる
先に述べた通り、残業代は毎月支給額が確定されているわけではありません。
残業ができない状態になると、みなし残業が導入されていない限り、支給されなくなるのです。
つまり、残業代ありきで生計を立てていると、残業できない状態が続くことで、生活が簡単に崩れてしまうということです。
極論になりますが、月収30万のうち残業代が4万円を占めていた方が、テレワークの実施によって残業が一切できなくなってしまうと、月収は26万円にまで落ち込みます。
それまで月収は30万円であるものとして家賃やローンの支払い、子どもの養育費などを設定していた場合、それらを26万円でやりくりしなければならないのです。
そうなってしまえば、減った残業代分を切り詰めなくてはなりません。
支出を抑えたり、毎月の貯蓄額を減らしたりすることで対応できればよいのですが、残業代の減少分によっては、そうした対応だけでは追いつかなくなり、生活が崩壊する可能性もあります。
本当に安定した生活は残業代に頼らない生活
残業代に頼る生活は不安定である以上、できるだけ早く残業代に頼らない生活に切り替えていくべきです。
残業代に頼らないようにするには、次のような方法があります。
(1)昇給して基本給を上げる
(2)基本給の高い会社へ転職する
(3)副業を始める
基本的には、(1)にあるように働き方を変えて、残業で収入を上げる形から、昇給して基本給を上げていく方向に切り替えていくべきでしょう。
そうすることで、残業時間に関係なく、必要な収入を確保できるようになります。
(2)は、自身のスキルや社会情勢によっては今よりも収入が落ちてしまったり、転職先が見つからないことがあるため、安易に実行することは避けるほうがよいでしょう。
(3)は、勤め先によっては副業が禁じられていることもあります。
そのため、副業を行うのであれば、必ず勤務先に確認しましょう。
仮に副業が認められていたとしても、副業に熱中するあまり、本業に支障を来すような状況にはならないよう注意してください。
給与は金額だけでなく内訳についても考えるべき
給与は基本給や残業代、資格手当など、さまざまな要素から構成されています。
残業代や各種手当などは、事情が変わって支給する名目がなくなってしまえば、その分給与は減少してしまいます。
思わぬタイミングで給与が減ってしまい、生活が苦しくなってしまうことを防ぐためにも、残業代をアテにしているのであれば、あらためて仕事や生活について考えてみてはいかがでしょうか。
[出典]
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和2年3月分結果確報」(令和2年5月22日)
株式会社日本経済新聞「残業時間、3月7.4%減 最大の減少幅」(web版、2020年5月8日)
株式会社ダイヤモンド社「『残業代ゼロ時代』到来! 電通、三菱電機、JTですでに半減の社員ナマ情報」(ダイヤモンド・オンライン、2020年3月31日)
執筆者:柘植輝
行政書士
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