離婚したいけど生活費や養育費はどうする?離婚前に準備すること・シングルマザーが利用できる制度
ファイナンシャルフィールド / 2020年7月21日 3時10分
新型コロナウイルス感染症対策に伴う自粛生活により、家族で時間を共有することが増えました。 そのため、絆が深まった夫婦がある一方で、けんかの頻度が増えた夫婦もあるでしょう。 けんかの頻度が増えると頭をよぎるのは、「離婚」という二文字です。 ところが、生活を夫婦の一方の収入に頼っている専業主婦(夫)にとって、離婚後の生活は不安以外ありません。 離婚前に知っておきたい離婚後のお金の話をまとめてみました。
離婚するときの不安の種類
離婚をするとき、下記のような不安があります。
●生活費の確保
●子どもの養育費の確保
●再就職できるかどうか
●住む家の確保
など
一番の気がかりは、お金のことになります。
そもそも生活費は、一方の収入でやりくりしているからといって、その一方だけのおかげで成り立っているわけではありません。
結婚後に築き上げたお金は夫婦のもの、という財産分与の考え方があります。
また、子どもにかかるお金についても、もちろんふたりの子どもであることは事実であり、ふたりで育てる必要があるため、養育費の考え方があります。
離婚前に準備すること
離婚決意後の気がかりは、専業主婦(夫)をやめて働く必要があるということです。
そのため、離婚までにできることを少しずつ着実に進めておくことが大切です。
(1)離婚が決定・実行されるまでにかかる費用の試算
離婚を決意してから離婚の決定に至るまでにはお金がかかります。
●調停や裁判の費用
もめればもめるほど費用が増えます。
裁判となると弁護士費用もかかります。
●別居に伴う費用
離婚を切り出した後に一緒に生活するのは難しく、別居を選択される人が多いです。
そのときの引っ越し費用や賃貸費用等を見積もっておきます。
(2)コツコツお金を貯めておくこと
上記(1)に書いたように、離婚をするまでにも費用がかかります。
そのため、毎月の生活費をやりくりし、いかに手元にお金を残しておくか、考える必要があります。
(3)離婚決定後の日常生活にかかる費用を試算
住まいの確保にかかる賃貸費用や食費、光熱費など、いわゆる日常生活を送るのに必要な費用を考える必要があります。
考えておかないと、収入がいくら必要か、分かりません。
住まいについて、実家に戻ることは費用がかからないので有力な選択肢の一つです。
もちろん、子どもの成長に伴い、保育園や学童保育の費用、教育費についても、しっかり考えておく必要があります。
(4)離婚時に相手からもらえるお金を把握しておく
●婚姻費用分担請求
正規な離婚までにかかる費用(裁判費用や調停費用、別居に伴う費用)については、婚姻関係がある間は扶養義務があるため、婚姻期間中の費用として相手に請求できます。
●慰謝料
相手による不倫や暴力等が原因であれば、請求できます。
●財産分与
婚姻期間中に増えた資産は、ふたりで築いたものと認識されるため、相手の全資産をしっかり把握し、その一部を請求できます。
●養育費
子どもがいる場合は、養育費を請求できます。
●老後の年金の一部
2004(平成16)年の改正後、離婚後に相手の年金の一部を請求できるようになりました。
シングルマザーが利用できる制度
離婚後、いわゆるシングルマザーとなった場合には、以下のような支援制度があります。
●児童手当
●児童扶養手当
●母子家庭の住宅手当
●母子家庭(ひとり親家庭)の医療費助成制度
●こども医療費助成
●特別児童扶養手当
●障害児福祉手当
●生活保護
●母子家庭の遺族年金
●児童育成手当
●税金の寡婦控除等
●国民健康保険の免除
●国民年金の免除
●電車やバスの割引制度
●粗大ごみの手数料を減免
●上下水道料金の割引
●保育料の免除や減額
ざっと書き上げただけでもこれだけあります。
それぞれの制度の対象者や条件は、お住まいの自治体により異なります。
必ずお住まいの自治体に確認してください。
生活していくうえで困ったことは一人で抱え込まず、必ず相談しましょう。
いろいろな提案をいただけます。
離婚を決意したら、まずは冷静に考えてみること
厚生労働省「平成30年(2018)人口動態統計の年間推計」(※)によると、人口1000人に対する婚姻率は4.7、離婚率は1.66と推計されています。
離婚率はピーク時の2002(平成14)年の2.30に比べると減少しています。
昔に比べると離婚がしやすい国になり、離婚後の生活に対してもさまざまな制度が用意されており、人生の再起を応援する環境が整っています。
しかしながら、縁あって婚姻をしたふたりが離婚をすることは、心身ともに大変な作業といわれます。
そこを踏まえたうえで、我慢をすることなく冷静に現状と今後を分析し、新たな一歩を踏み出してほしいものです。
出典
※厚生労働省「平成30年(2018)人口動態統計の年間推計」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
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