マイホームを買い換えたときに知っておきたい、税金の特例って?
ファイナンシャルフィールド / 2020年7月21日 9時30分
夢のマイホームを購入して数年経ち、事情が変わって買い換えを考える方は多いでしょう。 子どもが増えて手狭になったり、終活だったりと、買い換えを検討する理由はさまざまです。 マイホーム買い換えのとき、できる限り古い家を高く売って手持ち資金を多く残したいという方もいるでしょう。 気になるのは税金です。 古い家を売って譲渡所得(利益、もうけ)が出た場合、譲渡所得に所得税がかかってしまいます。 所得税が高ければ住民税と復興所得税も高くなります。 できれば税金は低く抑えたいですね。 そこで今回はマイホーム買い替え時に適用できる所得税の特例をいくつかご紹介します。
マイホーム買い替えの特例その1 居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除
例えば、2000万円で購入したマイホームを5000万円で売った場合、その他控除できる費用を差し引いても結構な利益が出ます。
このようなケースでお得な制度が「居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除」です。
先ほどの例でいえば譲渡所得から3000万円差し引けるので、儲けはゼロになり、不動産売却にかかる所得税はかかりません。
3000万円特別控除は、所有期間の長短に関係なく受けられる点が便利です。
◇3000万円特別控除の主な適用要件◇
・自分が住んでいる家、家と併せて敷地や借地権の譲渡であること
なお、以前に住んでいた自宅や敷地の場合、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
・譲渡の当事者が親子や夫婦な特別の関係でないこと
・譲渡した年の前年および前々年に3000万円特別控除を受けていないこと
ほかにも細かな要件があるので、実際に適用するときは税務署に確認しましょう。
マイホーム買い替えの特例その2 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率
マイホームを譲渡して得た所得は、給料や事業所得と分離して課税されます。
分離課税の税率も給与などに適用される税率と異なり、図表1の区分になっています。
不動産譲渡で得た所得に図表2の税率を乗じます。
【図表1】
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
引用 「土地や建物を売ったとき」(国税庁)
しかし、売った年の1月1日現在で、そのマイホームの所有期間が10年を超えている場合、課税長期譲渡所得金額に対して居住用財産を譲渡した場合の軽減税率が適用されます(図表2)。
【図表2】居住用財産を譲渡した場合の軽減税率
課税長期譲渡所得金額 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
6000万円までの部分 | 10% | 4% |
6000万円を超える部分 | 15% | 5% |
引用 「譲渡益や譲渡損失がある場合の特例」(国税庁)
マイホーム買い替えの特例その3 買い換え特例
次の要件にあてはまる場合、買い換え特例を受けることができます。
・居住用の家屋と敷地の譲渡であること
・居住期間が10年以上であること
・所有期間が10年を超えていること
・譲渡に係る対価が1憶円以下であること
・買換え資産である住宅の居住の用に供する部分の床面積が50平米以上
このほかにも譲渡した家の築年数など細かい要件がありますが、譲渡所得が高くなるケースでは、買い換え特例を適用できると節税につながります。
注意! 住宅ローン控除とどちらがお得? 各特例の重複
マイホームを売ったり買ったりしたときの特例は、重複して受けられるものと受けられないものがあるので注意しなければなりません。
例えば、マイホームを購入した人が所得税から一定額を控除してもらえる住宅ローン控除は、買い換え特例との重複適用はできません。
◇住宅ローン控除と重複NG例◇
・居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除
・居住用財産を譲渡した場合の軽減税率
買い替えを検討する方は、どの特例を適用したら一番メリットがあるのかをよく確認することが大切です。
まとめ
賃貸からマイホーム購入に切り替える方に有利な制度はさまざまなサイトで紹介されています。
また、不動産譲渡にかかる税金も税理士事務所と提携した不動産会社や、不動産一括査定サイトなどで紹介しています。
しかし、マイホーム買い換えに関する特例は、大手の銀行や不動産会社のサイトでは紹介されていますが、あまり馴染みがない方もいらっしゃると思います。
マイホーム買い替えを検討中の方は、客観的で良質な情報を集めて節税に役立てましょう。
[出典]
国税庁「土地や建物を売ったとき 土地や建物の譲渡所得に対する税金」
国税庁「土地や建物を売ったとき 譲渡益や譲渡損失がある場合の特例」
執筆者:石井美和
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