65歳以上の約7人に1人が認知症?元気なうちから相続のことを考えよう
ファイナンシャルフィールド / 2020年7月25日 9時30分
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元気なまま歳を重ねて、苦しまずにぽっくり逝きたいというのは、多くの方にとっての理想なのではないでしょうか。 ところが、2019年6月18日に取りまとめられた「認知症施策推進大綱」によると、2018年には認知症の人の数は500万人を超え、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症と見込まれており、認知症はだれにでもなり得るものなっています。 認知症になったとき、また亡くなったときのことを考えて家族が困らないよう、心身ともに元気なうちから少しずつ身辺の整理や相続対策をしていきましょう。
エンディングノート
市販のエンディングノートをうまく活用することで、家族の負担を減らすことができます。
いざとなったときに家族が困ることを大きく2つに分けると、金融資産の把握とライフプランをどうするかということです。エンディングノートを『金融資産の把握』『ライフプラン』と分けて利用しましょう。
まず『金融資産の把握』のエンディングノートには、お持ちの通帳、有価証券、保険証書、権利書等の金融資産の種類、口座番号、保管場所を記入しましょう。
またネット銀行の預金口座、証券口座、電子マネー、仮想通貨のようなデジタル資産を保有している場合は、資産の種類や口座番の他にIDやパスワードも忘れずに記入しましょう。
『ライフプラン』のエンディングノートには、心身ともに衰えたときに自宅で介護してもらいたいのか、施設に入りたいのかの希望、命に関わる病気になったときにどの程度の延命処置をしてほしいか、亡くなった後、葬儀はどのような形で行いたいか、だれを呼びたいかを書き留めておきましょう。
『ライフプラン』のエンディングノートには、普段は照れてしまい、口に出せない家族への思い、感謝の気持ちを書き留めておくのも良いでしょう。
任意後見契約
認知症等で判断力が不十分になったときに、当人が不利益をかぶらないよう、法的に「その人を援助する人=後見人」を決めておく制度に「成年後見制度」があります。「法定後見」と「任意後見」に分けられます。
「法定後見」が、すでに判断力が不十分になっている人を支援する後見人を裁判所が選任します。
対して「任意後見」は、自分が元気なうちから自分が信頼できる人を見つけて、その人との間で自分が老いて判断能力が衰えてきた場合等には、自分を代理して財産管理や必要な契約の締結等をしてくださいとお願いをして、これを引き受けてもらう契約を結びます。
この契約は、公証人が作成する公証証書ですることになりますが、認知症等にならずに判断能力が低下せず、大往生を遂げた場合は任意後見契約は無駄になってしまいます。しかし、いざとなったときに自分が信頼する人に面倒を見てもらえる、という安心感はあります。
任意後見人の仕事は、本人の判断能力が衰えたときに、任意後見人になることを引き受けた人や親族等が、家庭裁判所に対して任意後見事務を開始する旨が生じたので、「任意後見監督人」を選任してほしい旨の申し立てをします。
そして家庭裁判所が、任意後見人を監督すべき「任意後見監督人」を選任することにより、任意後見受任者は「任意後見人」として、契約に定められた仕事を開始することになります。
「任意後見人」の基本的な仕事は、2つあります。1つは、本人の財産をきちんと管理することです。もう1つは、介護や生活面のバックアップをしてあげることです。なお、任意後見は、あくまでも代理権なのでおむつを替えたり、掃除をしたりという事実行為は含まれません。
遺言
亡くなった後に、相続人間で相続財産を巡り争いが起きるのは珍しいことではありません。相続トラブルを防ぐ方法として、遺言があります。相続人を含む家族が相続問題で悩むことのないよう、元気なうちに遺言を作成しておくことをお勧めします。
遺言には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言があります。秘密証書遺言は、件数があまりないので割愛しますが、自筆証書遺言は遺言者自身が全文を考え、全文、日付、氏名を自署し、印を押す形式の遺言です。
公正証書遺言は、遺言の内容の趣旨を公証人に伝えて、公証人が作成する遺言です。どの遺言も作成時と内容を変えたいのであれば、何度でも作成変更をすることができます。
まとめ
元気なうちは、自分の判断力が低下することや、死後のことは想像できないかもしれません。あまり先のことを考えてくよくよし過ぎるのも良くありませんが、備えあれば憂いなしという言葉もあります。
最後まで自分の意思を実現するために、また家族が困らないように、元気な今から少しずついざというときのために準備を始めましょう。
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、第一種証券外務員、内部管理責任者
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