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在宅勤務中に事故が発生。労災はどうなる?

ファイナンシャルフィールド / 2020年7月27日 11時0分

在宅勤務中に事故が発生。労災はどうなる?

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークが浸透し、自宅で業務を行うことも珍しくなくなりつつあります。そうなると、気になるのがテレワーク中にけがなどが起こった場合です。   今回は、テレワークと労災についてよくある疑問について解説していきます。

まずは労災保険についておさらい

労災保険とは、仕事や通勤中の出来事が原因でけがを負ったり病気を患ったりした場合に保険が給付される制度です。
 
労働者であれば、雇用形態にかかわらず、短時間勤務のパートやアルバイトでも加入する保険となります。保険料は全額事業主負担となり、労働者の負担分はありません。

テレワークで自宅にいても労災は適用される

労災保険(以下労災とします)は、職場の外にいても適用されます。テレワークの実施で自宅など会社のオフィス以外の場所で働いていても、労働者として勤務していることに違いはないからです。
 
例えば、テレワークの実施によって在宅勤務中、お手洗いへ行こうとしたときに立ち上がったところ、椅子から転げ落ちてけがをした、というケースで考えてみましょう。この場合、所定の労働時間内であれば、業務に付随する行為のなかでけがをしたと判断され、労災の対象とされます。
 
しかし、所定の労働時間外であったり、業務とは関係ない私的行為が原因であったりすれば、労災は適用されません。
 
例えば、業務中に私的な郵便物を受け取ろうとして腰を痛めたような場合は、労災の対象とはなりません。

労災が適用されるとどうなる?

労災が適用されると、治療費が無償となったり、4日以上休業した場合に休業補償給付を受けることができたりします。
 
そのほかにも、障害が残った場合には給付が受けられますし、万が一亡くなってしまった場合には遺族が給付を受けることができます。
 
労災は、災害の内容に応じて図表1のように分けられます。
 
【図表1】

給付の種類 内容
療養(補償)給付 業務または通勤が原因である傷病の療養を受けるときの給付
休業(補償)給付 業務または通勤が原因である傷病の療養のため労働することができず、賃金を受けられないときの給付
傷病(補償)年金 業務または通勤が原因である傷病の療養開始後、1年6ヶ月経過しても傷病が治ゆ(症状固定)せず、障害の程度が傷病等級に該当するときの給付
障害(補償)給付 業務または通勤が原因である傷病が治ゆ(症状固定)したものの、障害等級に該当する身体障害が残ったときの給付
遺族(補償)給付 労働者が死亡したときに受けられる給付
葬祭料・葬祭給付 労働者が死亡し、葬祭を行ったときに受けられる給付
介護(補償)給付 一定の障害により介護を受けているときの給付

テレワーク時に労災を正しく適用してもらうために必要なことは?

テレワーク時の労災の適用にあたり一番大切なのは、業務をしている時間と業務外の私的な時間とをきちんと分けることです。テレワーク中は、業務の時間とプライベートの時間が曖昧になりがちです。
 
業務中、ついつい気になって洗濯物を取り込んでしまったり、宅配で届く荷物を受け取ったりしてしまいがちです。
 
繰り返しになりますが、労災の適用がされるのは業務中の時間だけです。就業時間中であれ、間に私的なことを挟んでいたら、その時間に起こるけがは労災の適用対象外です。
 
業務の時間とプライベートの時間とを曖昧にしていると、本当に業務中のけがだったとしても、労災として認められない可能性もあります。

テレワーク中は普段以上にけがや病気にご注意を

自宅でテレワーク中とはいえど、普段オフィスで勤務するときと同様に労災の対象となります。
 
しかし、テレワーク中は普段と違う環境で業務を行うため、思わぬ場面でけがなどをするおそれがあります。また、業務中でも「少しくらいなら」と私的な行為をしていると、その間に発生したけがなどは労災の対象となりません。
 
テレワーク中は、業務とプライベートの時間をきちんと切り分け、けがや病気などに気をつけて業務を遂行するようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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