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年金の追納は、所得が多い年にするのがお得ってホント? いったいなぜ?

ファイナンシャルフィールド / 2020年7月27日 23時10分

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収入減少や失業などにより国民年金保険料の納付額を減らしたり、納付自体を止めたりしたことがある場合、後から「追納」できることをご存じですか?   年金保険料は税金控除の対象になるため、所得が多い年に追納すると、お得になるケースがあります。   いったいなぜなのか、追納の制度について確認しながら考えていきたいと思います。

「追納」とは何か?

年金保険料の納付について「免除」や「猶予」の承認を受けた期間がある場合に、後から納められる制度です。これらの場合、保険料を全額納付したときと比べて受給できる老齢基礎年金の年金額が少なくなります。
 
しかし後から追納すると、その分将来の年金額を増やすことができるのです。
 

追納できるのはどんな場合?

収入の減少や失業などによって保険料を納めることが難しくなり、次の制度を利用した場合に追納できます。
 

保険料免除制度

本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下、または失業するなど、保険料を納めることが経済的に難しい場合、申請書を提出することによって保険料の納付を免除されます。免除の割合は所得に応じて、全額・4分の3・半額・4分の1、のいずれかになり、年金額もそれに基づいて計算されます。
 

保険料納付猶予制度

20歳から50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合、申請書を提出することで保険料の納付が猶予されます。免除と違い、猶予期間分は年金額の計算に含まれません。あくまでも“猶予”であって、将来的に納付できるとみなされているためです。
 

学生納付特例制度

本人の所得が一定額以下の学生は、申請書を提出することで保険料の納付が猶予されます。家族の所得については問われません。「保険料納付猶予制度」と同様、猶予期間分は年金額の計算に含まれません。
 

追納する際に注意したい点

追納できるのは、追納が承認された月から10年以内に免除や猶予を受けた分に限られています。10年以上前にさかのぼって追納はできません。
 
また、免除や猶予を受けた翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、経過期間に応じて加算額が上乗せされます。加算額は免除割合や経過期間によって異なりますが、1年経過するごとに月々数十円〜数百円が加算されます。
 

所得が多い年に追納するとお得?

年金保険料は、年末調整や確定申告の際に「社会保険料控除」の対象になります。追納した場合、追納保険料も社会保険料控除の対象になるため課税所得が減り、結果的に所得税と住民税を抑えることができるのです。


収入と控除、課税所得の図 ※筆者が作成
 
所得税は、課税所得に応じて次のように算出します。


※国税庁 「No.2260 所得税の税率 所得税の速算表」より筆者が作成
 
住民税は所得割の税率が一律10%なので「課税所得×10%」で算出します。
 
例えば追納保険料が約40万円、課税所得が約300万円の場合、所得税と住民税を合わせて約8万円軽減することができます。課税所得が約500万円の場合は約12万円の軽減になります。
 
つまり課税所得が多くなるほど、社会保険料控除額の増加による節税効果は高くなります。前述したとおり、免除や猶予を受けてから3年度目以降は追納額が加算されます。しかし場合によっては3年度目以降でも、所得が増えたタイミングで追納した方が加算総額より節税額の方が多くなり、かえってお得になる可能性があります。
 

追納の手続き方法は?

最寄りの年金事務所で手続きができます。申請用紙は年金事務所で受け取る、または日本年金機構のホームページからダウンロードできます。申請用紙とともにマイナンバーカード、またはマイナンバーが確認できる書類と身分証を提示します。なお、口座振替やクレジットカード払いではなく、納付書での支払いになります。
 
追納すると将来支給される年金額が増える上に、追納した年はその分税金を減らすことができます。免除や猶予の制度を利用したことがある場合は、可能であれば追納することをおすすめします。
 
参考
日本年金機構 「国民年金保険料の追納制度」
日本年金機構 「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
日本年金機構 「国民年金保険料の学生納付特例制度」
日本年金機構 「国民年金保険料の追納をおすすめします!」
国税庁 「No.2260 所得税の税率」
 
執筆者:松木優子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。フリーライター。

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