こっそり学ぶ遺族年金(3) 受給のポイントは生計維持要件

ファイナンシャルフィールド / 2020年7月31日 10時10分

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一家の働き手が亡くなった後、配偶者や子供たちの生活を支えるのが遺族年金です。遺族年金についての知識は、誰もがあらかじめ持っておきたいものです。「こっそり学ぶ遺族年金」の第3回は「受給のポイントは生計維持要件」です。

遺族年金を受給できる遺族の要件は

シリーズ第1回の「基礎知識をざっくりと」で、遺族年金を受給できる遺族の要件を見てみました。
 
遺族厚生年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた人のうち、最も優先順位の高い人が受け取ることができるということでした。優先順位は次のとおりです。
 
(1)子のある妻、または子のある55歳以上の夫
(2)子
(3)子のない妻
(4)子のない55歳以上の夫
(5)55歳以上の父母
(6)孫
(7)55歳以上の祖父母

 
ただし、この優先順位に関しては、次の条件がありました。
 
▼子(「子のある妻」などの「子」を含む)や孫の場合は、
・亡くなった当時、18歳になった年度の3月31日までの間にあること。胎児であった子は出生以降に対象になる。
・20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にあること。
・婚姻していないこと。
 
▼子のない30歳未満の妻の場合は、5年間の有給給付となる。
 
▼夫、父母、祖父母の場合、受給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限って、60歳より前でも遺族厚生年金を併せて受給できる。
 
遺族基礎年金を受給できるのは、亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」でした。子の条件は、遺族厚生年金の場合と同じです。

「生計を維持されていた」とは

「生計を維持されていた」とは、原則として次の2つの条件を満たす場合です(以下、生計維持要件と表記します)。
 
【1】同居しているなど生計が同一であること(別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族になっている、などの条件が合えば認められます)。
 
【2】前年の収入が850万円未満であること。または、所得が655万5000円未満であること(亡くなった人の収入ではありません)。
 
上記の【1】を生計同一要件、【2】を収入要件と名付けるならば、「生計維持要件」=「生計同一要件」+「収入要件」の式が成り立ちます。
 
生計維持要件に関しては、注意しておかなければならないことがあります。次のとおりです。

【1】事実婚(内縁関係)の場合

法律婚の配偶者も事実婚の配偶者も、生計維持要件が必要なのは同じですが、実態としては、事実婚の場合、生計同一の証明にひと手間多くかかります。
 
遺族年金の請求に当たっては、同一世帯であることが分かる住民票や、別世帯になっていても住所が同じであることが分かる住民票などのほかに、次のようなものが有効になります。
 

遺族年金の請求
  • 被扶養者であることが分かる健康保険被保険者証
  • 扶養手当を受けていることが分かる源泉徴収票や給与明細書
  • 葬儀で喪主を務めたことを示す文書
  • 宛先が連名になっている郵便物
  • 受取人になっていることが分かる生命保険の保険証券、などです。

 
また、事実婚であったことについて第三者証明が求められる場合もあります。第三者には、3親等内の親族は当てはまりません。第三者証明は町内会長や勤務先の上司らに作成を依頼することが多いようです。

【2】夫婦が離縁している場合

離縁すると、通常は元配偶者と同居していないでしょうし、金銭面の支援もほとんどないことでしょう。一見すると、生計維持関係はありません。
 
ところが、例えば、元妻が子を引き取って育てており、元夫が子の養育費を支払っていた場合は、子が生計を維持されていたとみなされます。
 
ただし、この場合、子には生計を同じくする母親がいることから遺族基礎年金は支給停止になり、遺族厚生年金のみが支給されます。

【3】年収が850万円以上の場合

年収は、今後のおおむね5年以内を見ます。例えば、夫婦で事業を営んでおり、夫は社長で年収3000万円、妻は常務で年収850万円とします。
 
社長である夫が亡くなった場合、実際の生活費は夫の収入から出していたとしても、妻の年収が850万円なので、通常は生計維持をされていたとは認められません。
 
ところが、妻が常務というポストであっても、実質的な業務に携わっておらず、夫が亡くなったのに伴って5年以内に経営陣から外れる見通しならば、生計維持が認められる可能性があります。

次回は、「残念ながら……」の場合

以上、いずれも遺族年金が受給できる場合です。しかし、遺族年金は受給できる場合だけではありません。次回は、残念ながら受給できない場合を説明します。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

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