コロナ禍を通じて考える、生命保険の見直しとは
ファイナンシャルフィールド / 2020年8月2日 10時30分
新型コロナウイルス感染症の影響により、収入を失ったり、減収を余儀なくされたりした方もいらっしゃると思います。 フリーランスの筆者も例外ではなく、減収を余儀なくされてしまいました。自身が元気で働くことができるにも関わらず減収したのは、何ともいえぬやるせなさが募りました。しかし、嘆いてばかりもいられず、仕事の経費や生活費などを見直さなくてはなりませんでした。 このような場合、生活費の何を見直せば良いのでしょうか。
コロナ禍による減収に、どのように対応する?
支出を抑えるための効果的な方法の1つに、生命保険の見直しがあります。保険が役に立つのは「万が一」の時です。現在の生活環境に契約中の生命保険が本当に必要なものなのか、確認してみましょう。
生命保険の見直す方法として、以下に例を挙げてみます。
<掛け捨てタイプの生命保険の見直し>
期間が5年から20年程度の定期保険や収入保障保険などの、いわゆる掛け捨てタイプと区分される生命保険の見直しについて考えてみましょう。
掛け捨てタイプの生命保険の見直しには、以下のような選択肢があると考えられます。
- ★保険金額の減額(=一部解約)・・・解約返戻金はなし
- ★解約(=全部解約)・・・解約返戻金はなし、あってもごくわずかなことが多い
解約した場合、保障(=保険金額)の一部(=一部解約の場合)もしくは全部(=解約)の、いずれかがなくなります。しかし同時に、それ以降保険料を支払う必要がなくなります。保険料の支払いがなくなる分、家計からの支出が減る、つまり出費を抑えることができる、という効果を得ることができます。
<貯蓄タイプの生命保険の見直し>
養老保険、終身保険、個人年金保険などの、いわゆる「貯蓄タイプ」の生命保険の見直しには、どのような選択肢があるのでしょうか?
- ★払済保険への変更
- ★延長保険への変更
- ★契約者貸付の利用
- ★自動振替貸付
- ★保険金の減額(=一部解約)・・・減額に応じた解約返戻金を受け取れる
- ★解約(=全部解約)・・・解約返戻金を受け取れる
まず「払済保険への変更」について考えてみましょう。変更後は、保険料の支払いは不要です。保険金額は減りますが、保障(=保険金)を続けることができますし、保険期間は変わりません。
もし、保険金額の不足が心配なのでしたら、不足する保険金額の分を掛け捨てタイプの生命保険を新たに契約することでカバーすることも検討すると良いでしょう。
続いて「延長保険への変更」についてです。変更後は、保険料の支払いは不要です。保険期間が短くなりますが、同じ保険金額で契約を続けることができます。保険期間が短くなるとはいえ、少なくともある程度の期間は、保険料ゼロで同じ保障(=保険金額)を得ることができます。
なお、払済保険と延長保険、どちらに変更しても解約返戻金はあります。つまり、変更した後に解約しても解約返戻金を受け取ることができるのです。
「契約者貸付」の利用について考えてみます。解約返戻金の一定額を上限に、保険契約を担保にして貸付を受ける、というものです。
契約者貸付を利用して以後も変わらず保険料の支払いも保険契約も続きますが、短期間で現金を得ることができるので、コロナ禍による減収を補うことができるかもしれません。貸付ですので利息の支払いや返済が必要ですが、将来、解約返戻金や保険金と相殺もできます。
「自動振替貸付」についてです。保険料の引き落としがなされなかった場合、やはり解約返戻金の一定額を上限に、保険料の支払いを保険会社が立て替えてくれる、というものです。
利息の支払いや返済が必要ですが、将来、解約返戻金や保険金と相殺もできます。また、利息の支払いや返済という点を除けば、変わることなく保障(=保険金額)を得ることができます。
最後に、「保険金の減額や解約」は、例外はあるかと思いますが、前述の掛け捨てタイプの生命保険の場合と同様です。
掛け捨てタイプの生命保険は保険料が安い分、積立預金の併走も
「保険料が安いから」あるいは「生命保険の目的は保障のみで十分」という理由で、掛け捨てタイプの生命保険を検討し、契約するのでしたら、積立預金も同時に行う、つまり積立預金の併走も検討するという方法もあります。
掛け捨てタイプの生命保険の場合、解約しても解約返戻金を得ることができない分、積立預金などで今後の生活に備えることを検討する必要もあるのではないでしょうか。
掛け捨てタイプの生命保険は保険料が安いというメリットはありますが、その分しっかりとした家計のコントロールが求められると、筆者は思います。
まとめに代えて
コロナ禍によって減収を余儀なくされたことにより、生命保険を見直すことにした方もいらっしゃるでしょう。その際に考えていただきたいことは、「生命保険の目的は、あくまでも保障である」ということ。筆者は「生命保険に保障以外の効果、つまり貯蓄を求めることは控えたほうが良い」と考えます。
掛け捨てタイプの生命保険に加入している、または新規加入を検討している方は、積立預金などの「将来に備えた対策」も併せて検討することをおすすめします。生命保険の見直しは、現在の家庭環境、収入、家計、今後の備えも視野に入れてコントロールをすることが大切です。
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
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