ほぼ、ネットオークション並みの手軽さ! 「公有財産」などのオークションとは?
ファイナンシャルフィールド / 2020年8月7日 10時0分
ITがどんどん発達して「ネット社会」といわれるような今の世の中です。新型コロナウイルス問題による外出自粛などもあってネット通販での購入機会が一段と増えている状況ですし、このほかにフリーマーケット、そしてオークションもネットで簡単に利用ができます。 物品をネットオークションで落札した経験のある方も少なくないと思いますが、こんな形のオークションもあるのをご存じでしょうか。
かなりの数の自治体が参加している「官公庁オークション」とは
【第1位:トラクタ、第2位:電子地図帳(DVD)、第3位:バイク、第4位:集音録音機】~何だか脈絡のないリストに見えます。実は、「Yahoo!官公庁オークション」の公有財産売却ランキング(2017年度)(※1)のうち「動産」ジャンルで人気が高かった(入札者が多かった)上位なのです。
「公有財産」とは地方自治体が所有する財産ですが、その内容、管理および処分などについては地方自治法で定められています。そして不要になったりすると、同法に基づいて売却処分される場合があります。
「Yahoo!官公庁オークション」は、地方自治体による行政手続きの一部をインターネット上で実施するサービスで、次の2つがあります。
(1)公有財産売却
・対象は、公有財産
・地方自治法などにのっとった手続き
(落札代金は、自治体の歳入になる)
(2)インターネット公売
・対象は、各自治体が税金などの滞納者から差し押さえた財産
・国税徴収法などにのっとった手続き
(落札代金は、滞納者の未納税金などの支払いにあてられる)
年間スケジュールのもとで2020年度は、(1)が6回、(2)が8回実施される予定です。先ほどの(※1)などによれば、2017年度は約550以上、2018年度は約620以上の自治体が公有財産売却に参加していて、これは全自治体の約3分の1にものぼります。
どんなものが出品されているの
それでは、具体的にどんなものが出品されているのでしょうか。公有財産の売却と聞くと、土地や土地付き建物などの不動産がまず思い浮かぶかもしれません。しかし、先ほどの人気ランキングのような「動産」、そして自動車の物件も多数あり、今年4月の出品事例(参加申込期間は既に終了)をいくつか挙げると次のようなところです。
<事例1> 消防ポンプ車
・1992年式、走行距離約7430キロメートル
・開始価格10万円
<事例2> 電動バイク
・2010年式、走行距離約2792キロメートル
・開始価格1000円
<事例3> 電子ホッチキス
・50~100枚の厚い書類を処理できる強力パワー
・開始価格1000円
<事例4> ご当地デザインマンホール蓋
・3町合併による新市発足で廃盤となった旧町のデザインマンホール蓋
・開始価格1000円
<事例1>以外にも消防車や救急車の出品例は結構見られますが、こうしたものを個人でも買えるのでしょうか。末尾(※2)のように「行政機関は一時抹消登録をし、赤色灯・サイレン・無線機などを撤去して緊急車両の要件を備えていない状態で引き渡しますので、個人でも購入は可能です。ただし、公道を走るには規制や条件などを事前にご確認ください」と説明されています。
手間な点やメリット、そしてまとめ
こうした官公庁オークションですが、通常のインターネットオークションに比べて次のような点が手間です。
(ア) 「参加申込期間」と「入札期間」が別にあり、入札物件ごとにまず参加申込み手続きが必要。
(イ) 参加申込時に保証金を納付する。(物件によっては不要な場合もある)
(ウ) 参加申込のすべての手続きが完了すると、入札期間内に入札ができる。
なお、入札には「せり売形式」(インターネット公売のみ。入札は何回でも可能。入札価格は公開)と「入札形式」(入札は1回のみ。入札価格は未公開)の2つがあり、いずれも最高金額で入札した者が落札者となります。
一方で、市価よりも安い見積額をもとに価格設定されている場合が多く、結果的に割安に落札して購入できる場合があります。レアな掘り出し物に出会えるチャンスがある点や、取引相手が自治体で安心できることもメリットといえるでしょう。
不動産や特殊な自動車などは、プロやマニア向けのような印象もありますが、通常のインターネットオークションで見られるようなジャンルの出品も多数あります。どんなものがどんな開始価格で出品されているのか。実際に入札するかどうかはともかく、まずはネットサーフィン感覚で気楽に一度のぞいてみてはいかがでしょう。
[出典]
(※1)ヤフー株式会社「官公庁オークション」~「2017年度公有財産売却ランキング」
(※2)ヤフー株式会社「官公庁オークション」~「はじめてのかたへ」~「FAQ よくあるご質問」
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
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