60歳を過ぎてもiDeCoに加入できる?改正で何が変わった?加入要件って?
ファイナンシャルフィールド / 2020年8月10日 9時0分
年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律が、令和2年6月5日に公布されました。公的年金の見直しとともに、確定拠出年金も加入可能要件の見直し等が行われました。 老確定拠出年金は老後を支える公的年金に上乗せするものであるので、土台となる公的年金により加入要件が異なります。また、公的年金の受給上限が75歳に引き上げられることから、確定拠出年金の受給上限年齢も75歳に引き上げられます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入要件
令和2年度の改正により、老後生活を支える公的年金に上乗せする個人型確定拠出年金(iDeCo)は、国民年金被保険者であれば加入が可能になります(令和4年5月施行)。
「国民年金被保険者」の資格は、第1号被保険者(個人事業主、個人事業主の配偶者等)の場合は60歳未満、第2号被保険者(会社員・公務員)の場合は65歳未満、第3号被保険者(2号の配偶者)は60歳未満、国民年金任意加入被保険者の場合は65歳未満で加入期間が480ヶ月になるまでです。
任意加入被保険者とは、国民年金は480ヶ月加入で満額になりますが、60歳時点で加入期間が480ヶ月に満たない場合、60歳を過ぎても(最長65歳になるまで)国民年金に加入して、加入期間が480ヶ月になるまで年金額を増やすことができます。
現行、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できるのは60歳になるまでです。つまり、掛金を出すことができるのは60歳になるまでです。
しかし、見直し後は、国民年金の被保険者であれば個人型確定拠出年金に加入ができるので、第2号被保険者は最長65歳になるまで、任意加入者は国民年金加入期間が480ヶ月になるまで(最長65歳になるまで)、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できます。
例えば、会社員は第2号被保険者であるので、65歳まで個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入可能です。掛金全額所得控除の税制優遇を受けながら、65歳の老齢年金受給まで老後の資産形成をすることができます。
しかし、自営業者である国民年金第1号被保険者は60歳までです。任意加入の場合でも480ヶ月加入したらそれ以上の加入はできません。
企業型確定拠出年金の加入要件
企業型確定拠出年金の場合は、厚生年金被保険者(70歳未満)であれば企業型確定拠出年金に加入できるようになります(令和4年5月施行)。
現行の企業型確定拠出年金は、60歳を超えても加入ができますが(加入年齢は65歳未満、各会社の規約によります。)、60歳前に会社での企業型確定拠出年金に加入していて、かつ同じ会社で続けて加入している厚生年金の被保険者であることが条件です。
働き方が多様になり、60歳を過ぎても元気で働く方が増えています。
もし、企業型確定拠出年金の加入者が60歳前に転職し、転職先の会社にも企業型確定拠出年金が導入されていれば加入できますが、60歳を過ぎての転職の場合、転職先の会社が企業型確定拠出年金を導入していても加入することはできませんでした。
しかし、今回の改定により、60歳過ぎてからの転職でも、新たに加入する場合でも、企業型確定拠出年金に加入ができるようになります(加入年齢は各企業によって違います)。
受取上限が75歳に
現行は、60歳から70歳の間で受取開始時期を選択できますが、公的年金の繰下げ受給上限年齢75歳に合わせて、上限年齢が75歳に引き上げられます。(令和4年4月施行)
ところで、確定拠出年金の受け取りを60歳から開始できる人は、10年以上の加入期間がある場合です。
加入期間が10年に満たない場合、8年以上10年未満の加入で61歳から、6年以上8年未満の加入で62歳から、4年以上6年未満の加入で63歳から、2年以上4年未満の加入で64歳から、1ヶ月以上2年未満の加入で65歳からの老齢給付金の請求ができます。
今回の改正で、60歳前に企業型確定拠出年金に加入期間がない場合でも、60歳以降の加入が可能になりますが、老齢給付金の請求まで5年間経過することが必要です。例えば、62歳で初めて企業型確定拠出年金に加入した場合、67歳以降で老齢給付金の請求をすることができます。
(参考・引用)
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」
厚生労働省「第11回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 2020年6月17日 参考資料1 2020年改正の施行について」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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